乳がんステージ2と診断された38歳女性の選択、切除部分は再建せず「自分への戒めに」

2023年12月19日 08時30分

ライフスタイル eltha



自身の経験を発信している、乳がんサバイバーMegさん


 日本人女性の9人に1人が罹患すると言われている乳がん。2021年10月に告知を受け、手術で左乳房を全摘、現在も治療を続けているMegさん(@megxlife)は、「乳がん初期症状 絶対に見逃してほしくない9つのサイン」という動画をYouTubeに投稿し、457万もの再生回数を記録した。闘病の日々、かかる治療費、主治医との関係性まで包み隠さず明かし、「一人でも多くの人が自分と同じ思いをしなくてもいいように」と早期発見のための乳がん検診の重要性を発信しています。再建手術を選ばなかった理由として「自分への戒め」の意味もあると、その意志を貫くMegさんの心情に迫りました。


【動画】458万回再生された、Megさん悲痛の声「私が見逃がした…」


■悪化や転移の不安を抱え…セカンドオピニオンを受ける「気力も体力もなかった」


━━まず初めに、乳がんと診断されるに至った経緯を教えてください。


Meg 2021年の9月に左胸にしこりを発見しました。そのまま放置していたところ、痛みが出てきて、そのときは乳腺外科の存在を知らなかったので、婦人科に行くべきなのかどうなのか迷い、#7119に相談の電話をかけたんです。症状を話したら、近くの乳腺外科を紹介してくださり、翌日受診し、乳がんのステージ1と診断されました。10月18日のことでした。


━━突然の告知は、言葉にできないほどの衝撃だったと思います。


Meg ドラマや映画のがんを告知されるシーンで「目の前の景色がひっくり返った」とか「世界がゆがむ」と聞くたびに、そんな馬鹿なと思っていましたが、本当に、その瞬間は、目の前の景色が色を失い、ひっくり返りました。


━━そこから現在まではどのような治療を受けられたのですか?


Meg 告知を受けたクリニックで、専門の病院で精密検査を受けるよう言われ、その場で予約をとっていただき、3週間後に受診、ステージ2であると診断されました。そして、翌年の1月に左乳房を切除、5月から抗がん剤治療を開始し、10月からはホルモン治療を受けています。


━━セカンドオピニオンは受けられなかったのですか?


Meg その気力も体力もありませんでした。そもそも最初に行ったクリニックで、「早く診てもらったほうがいい」と言われたのに、専門の病院の予約が取れたのが3週間後でしたから。悪化や転移の不安を抱えながら、また別の病院を予約して日にちをかけるなんて考えられませんでした。とにかく、一刻も早く手術で取ってしまいたかったので、正直、手術が受けられるならどこでもいいやという気持ちでした。


■結局ケアを怠っていたんだ…「自分への“戒め”」として再建手術はせず


━━切除手術を受けられた後、動画では「どこか冷静でありつつも、死のうと思った」と語られていました。


Meg 手術を受けた日の夜が一番辛かったです。左の乳房がなくなるということを頭の中では理解して、覚悟していたつもりでしたが、それはあくまで想像であって、現実を伴ってはいませんでした。実際、片側だけなくなって、ぺったんこな状態の自分の胸を見たときに、ああ、これが私のリアルなんだって落ち込んで、その後も着替えるたびに、お風呂に入るたびに、このまま生きて行く意味があるのかなって思ってしまいました。とくに私は胸が武器という意識があったので。


━━その気持ちをどのように乗り越えられたのですか?


Meg 明確なきっかけがあったわけではありませんが、1回落ちるところまで落ちて、その後、そこまで悲観しなくていいんじゃないかと考えられるようになりました。がんでも元気だし、普通に生きていけるし。胸がなくなってできなくなったことはたくさんありますけど、できることもまだたくさんあるじゃないかと思うようになったんです。抗がん剤治療の副作用がけっこうきつくて、髪の毛が抜けて、落ち込んだりもしましたけど、そのときも、落ち込んだままではいたくないし、良くなるために治療をしているのだから、ぜったい乗り越えてやるという気持ちでいました。


━━再建手術を選択しなかったのはなぜですか?


Meg 再建しても、もともとあった自分の胸が戻ってくるわけではないですから。SNSでの発信を通じて、乳がんサバイバーの方と交流をもっていたのですが、再建手術を受けたけれど、「形に満足できていない」とか「痛みがある」という方もいらっしゃって、メリットばかりではないことも知っていました。何より乳がんになったのは自分のせいかもしれないので、切除した部分を、今後、再発・転移しないようにできる限りのことをするための自分の「戒め」にしようと考えました。


━━乳がんになったのは自分のせいだと?


Meg 結局、自分のケアを怠っていたんだよなと…。乳がんになる原因は現在わかってはいませんが、自分自身の生活を振り返ると、たばこをずっと吸っていたとか、お酒を飲んでいたとか、肥満、運動不足、睡眠不足など、がんのリスクといわれる習慣が少なからずありました。自分のことをちゃんといたわっていなかったなと思い至りました。がんになってしまったことはもう仕方がないことなので、今後そこから抜け出さないといけないし、それ以上に、片方の胸はなくても楽しく生きていけるんだということを証明したいという前向きな気持ちも芽生えました。


━━がんを患い、乳房を切除したという事実に対して、周囲の方々からさまざまな反応があったと思いますが、自分の心境との差異を感じたことはありませんでしたか?


Meg 私の場合、ステージ2だったので、「早期発見でよかったね」「初期だからよかったね」とよく言われました。そう言ってくれる気持ちは理解できるし、私も逆の立場だったら同じことを言っただろうと思います。でも、なった側からすると、ステージ2でもがんはがんだし、辛いんだよという気持ちが大きくて。個人差はあると思いますが、私は毎回言われるたびに引っかかっていました。


━━逆にまわりから勇気づけられたのはどんなことですか?


Meg 普通に接してくれたことです。がんの治療中とわかりつつも、普通に電話で話したり、遊びに誘ってくれたり、今までと変わらず接してくれたことが私は一番うれしくて、がん患者だけど、普通に生きていけるんだなって気持ちを強く持てるきっかけになりました。


■治療、結婚、出産…30代に迫る人生の選択「出産を考えずにいられた分、楽だったのかなって思います」


━━乳がんサバイバーの方にとって、結婚や出産についての考え方や選択も大きな課題となります。


Meg 私は乳がんになる前から結婚願望も子どもが欲しいと思ったことがありませんでした。自分のことで精一杯の人生なのに、人のことを考えられないと思って。周囲と比較してしまうこともありましたけど、ありのままの私を貫こうと思った矢先に乳がんとなったんです。あまり重くとらえないつもりでしたが、もともと希望していなかった私でさえも、抗がん剤治療をすることによって子どもが産めなくなると医師から告げられたときは、正直ショックでした。それまでは自分の意思で“産まない”と決めていて、子どもを希望していないとはいえ、 “あなたは産めない”と断言されてしまうと辛かったです。


━━治療のなかで卵子凍結を選択される方もいますよね。


Meg 出産か治療か選択肢を迫られますが、正直悔いなく選択できる心境ではないという方がほとんどなのではないでしょうか。治療前に卵子凍結することを考えつつも、がんの進行や転移が怖くて、どちらを優先すべきか悩んだまま、どちらにも踏み切れずに時間だけ過ぎている方がいます。乳がんになると、考えなければならないことが多すぎて、たくさんの選択を迫られます。でも、一つひとつ潰していくしかないんですよね。例えば、いつ手術をするのか、術前に抗がん剤治療をするのか、抗がん剤治療はどのくらいの期間するのか、いくらかかるのか、それを払えるのか。個人によって優先順位は変わってくると思いますが、私はその中で出産を考えずにいられた分、楽だったのかなと思います。卵子凍結は時間もお金もかかるし、凍結したからといって必ずしも妊娠できるとは限らないし、パートーナーやまわりの人や主治医と相談するのが一番かなと思います。


━━治療を続ける今、どんなことがMegさんの励みになっていますか?


Meg 社会とつながっていたかったので、仕事に復帰できたことです。抗がん剤治療を終えて、去年の11月に職場復帰して、最初のうちは体調が悪くて1ヵ月休んだり、2週間休んだりを繰り返していたのですが、今年の10月からは休まずに行けるようになって、普通にちゃんと働けるんだということが自信につながりました。あとは、たくさんの方が私の発信を見てくださって、コメントをいただけて、やっていることに意味があると思えていることも大きいです。


━━今後、発信するなかで、どのようなことを視聴者に伝えていきたいですか?


Meg まず一番は、私みたいな人を増やしたくないので、手術しないで済むだけの早期に乳がんを発見できるよう、胸のセルフチェックを行うことや乳がん検診を受けることを訴え続けたいです。私自身、30代初期にマンモグラフィーを受けたとき、あまりにも痛すぎて、40歳になるまではしないって決めて乳がん検診を受けずにいて、ちゃんとやっていれば発見がもっと早かったのではないかと思っていますので。日本人女性の9人に1人が乳がんになると言われていますが、動画の投稿を始めて、コメントをいただいて、本当にこんなにも乳がんの人が多いんだということを痛感している今、私の経験が誰かの役に立てばという思いで、良い時も悪い時も“ありのまま”の自分のすべてをさらけ出していこうと思っています。


━━ご自身の人生についてはどんなことを大切にしたいと考えていますか?


Meg ステージ2ではありましたけど、この先、再発や転移など何があるかわからないので、その日にできることはその日にやるなど、充実した毎日を生きるよう心がけています。再建手術に関しては、もしかしたら来年しているかもしれないし、していないかもしれないし、そこまで深く考えずに、したくなったらしようと思っています。人生何が起こるかわかりませんからね(笑)。ただ、今は、左胸がないことで、ちょっと腕が上がりにくいとか重いものが持てないとかむくみとか悩みもありますけど、人生左胸がなくたって、十分楽しめるということを実践していきたいと思っています。


取材・文/河上いつ子

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