女性の妊娠能力が急降下する“35歳”の壁、「まだ先のこと」と思うのは危険...20代から始めるプレコンセプションの考え方

2023年11月25日 08時30分

ライフスタイル eltha



プレコンセプションケアでカラダを整えておくことも大切


 なんとなく結婚して子どもを産むんだろうと漠然と考えていた10代。大人になっていざ仕事をしてみると働く楽しさを実感したり、自由なプライベートを満喫したり、体調を顧みずに突き進むことも…。しかし、“アラサー”となって結婚や妊娠・出産を周囲が真剣に考え出す時期、ふと「このままでよいのか」と怖くなる瞬間があります。「子はぜいたく品」と言われますが、キャリアもまだ積みたいし、結婚もいつできるかわからない…「出産はまだ先」あるいは「子はいらない」と思っている人もいるでしょう。しかし、5年後10年後、その考えや状況が変わっている可能性もあります。そこで後悔しない選択ができるよう自分の身体をケアする「プレコンセプション」の考え方が日本は圧倒的に足りていないと神宮外苑ウーマンライフクリニックの小川誠司医師は話します。アラサー世代にこそ続けてほしいケア方法や生活・健康への向き合い方について聞きました。


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■“卵巣内の卵子の数”「20代でも40歳くらいの方の数しかない」ケースも


 なかなか深く考える機会はないかもしれませんが「将来子どもがほしいか」自分の気持ちに正直に向き合ってみることは大切です。子どもの選択肢を残しておきたいのであれば、「自分の身体は妊娠できる状態なのか?」現状の確認をしておくべきです。


 “ブライダルチェック”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 妊娠・出産に影響を及ぼす体の状態を調べる検査のことです。結婚を控えているいない、パートナーがいるいないにかかわらず、将来的に妊娠・出産を考えているすべての人を対象にしています。


 コースには主に以下の3つがあります。(1)血液検査と超音波検査(2)性感染症や肝炎などのリスクを調べる検査(3)妊娠・出産に影響のあるリスクを調べる検査。「将来的に妊娠を見据えているなら、血液検査だけでも受けておくべき」と小川先生はアドバイスします。


「たとえ結婚や妊娠・出産の予定が直近ではなくとも、自分の身体の現状を把握しておくことが大切なんです。将来的に妊娠を見据えている女性に受けていただきたいのが、(1)の血液検査の中の『AMH値検査』というものです。卵巣内にどのくらい卵子が残っているかを調べる検査です。卵巣内の卵子の数は、胎児のときが一番多く、生まれときから減り始め、生理を迎えて排卵していくとさらにどんどん減っていきます。卵子の数は個人差があり、20代でも40歳くらいの方の数しかない方もいらっしゃるし、40歳でもたくさんある方もいらっしゃいます。もともとの卵子の数が少なければ、将来的に妊娠しづらくなる可能性が高まりますので、ご自身の身体の状態を知って、それに応じたケアをします。すぐに妊活を始める段階であれば、(1)(2)(3)のすべてを。結婚前のタイミングなどで、ご自身の今の身体の状態を知りたいだけであれば(1)と(2)を行なうのが望ましいでしょう」


 妊娠できる確率は、「卵子の数のほか、卵子の質も重要な要素」と小川先生は続けます。しかも35歳を過ぎると卵子の質は急激に低下するというから、聞き逃せません。


「35歳という年齢が大きなターニングポイントで、そこを過ぎると卵巣の機能が落ち、急激に卵子の質が低下するといわれています。実際、体外受精をしても妊娠率は35歳くらいからだんだん下がってきます。ですから、そのターニングポイントを迎える前、できるだけ早い段階でブライダルチェックをして、卵巣の機能の状態を確認しておくことをお薦めします。早めに備えることで、卵子凍結の選択をとることもできます。卵子凍結をしておけば、いつまでに妊娠しておかなければという縛りがない状態で仕事のプランが組めますし、女性の可能性は大きく広がると思います」


■出産や子どもの健康の可能性を拡げる“プレコンセプションケア”とは?


 さらに小川先生はブライダルチェックに加え、“プレコンセプションケア”もぜひ受けてほしいとアドバイスします。プレコンセプションとは「コンセプション」=「妊娠・受胎」の「プレ」=「前」の意味。栄養、体重管理、生活習慣など、あらゆる視点から現在のからだの状態をチェックし、適切な指導のもと、日々の生活の質や健康を高めることで、出産や子どもの健康の可能性を拡げる健康支援です。


「一番代表的な例は、ビタミンB群の一種である葉酸の摂取です。体内に葉酸が少なくなると、脊椎に生じる二分脊髄など赤ちゃんの形成に異常が出ることが明らかになっています。葉酸は食事摂取だけでは足りていないので、アメリカでは主食のパンの原材料の小麦粉の中に混ぜるなどしています。残念ながら日本ではまだ葉酸摂取の重要性が広まっていないため、先進国の中で二分脊髄の子どもが減っていないのは日本だけなんです」


 このように、プレコンセプションケアを受けることで、未来の家族のために心がけておいたほうがいいことや改善しなければいけない生活習慣がわかります。子どもを持つ人生、持たない人生、どちらを選ぶか現時点ではわからないにせよ、そのときに備えて自分のからだをととのえておくことは、自分の人生を後悔しないものにするための重要な助けにもなるでしょう。ではこれらの検査をどこで受けたらいいのでしょう。


「自分の状態を知る目的であれば、婦人科全般のことを診てもらえる一般の婦人科を受診するといいでしょう。本格的に妊活を進めたいなら、不妊の分野は特殊ですので、できるだけ早い時期から専門のクリニックへかかることをお薦めします」


 婦人科でブライダルチェックを受ける際は、血液検査の中にAMH検査が含まれていない病院もあるので、事前に調べた方がいいでしょう。


■妊娠前の5~10年の過ごし方、知っているだけで選択肢は変わる


 卵子提供によって50歳で出産した野田聖子議員が、「40歳で結婚するまで、生理があれば何歳でも産めると思っていた」と語ったことが以前話題となりました。日本では、性教育の遅れなどから、まだまだ妊娠のプロセスや卵巣・卵子の老化など、妊娠・出産に関わる体の変化について浸透していないのが現状です。それを表すように、「ブライダルチェックもプレコンセプションケアも海外に比べて受ける人の数は少ない」と小川先生は懸念します。


「できるだけ自然に妊娠したいと考える国民性もあると思いますが、やはり、大きいのは学校教育の中で学んでこなかったためだと思います。私は欧米の患者さんも多く拝見しますが、欧米の方の場合、みなさん学んでいらっしゃるからかよくご存じで、30代後半くらいでも『私の卵ではもう妊娠は無理ですよね』と言われる方がけっこういらっしゃいます」


 将来、子どもがほしいと思ったときのためのブライダルチェックとプレコンセプションケア。不妊治療を30代後半や40代で始めた人が、「このケアの方法を20代の頃から知っていれば、今もっと違う選択ができていたかもしれない」と後悔するケースもあります。今の自分のからだの状態を知っておくことは、子どもを産む産まないという選択だけでなく、パートナーの選び方や仕事との向き合い方など、今後の自分の人生プランを立てるうえでも重要な助けとなります。生き方の選択肢を拡げ、自分の人生を豊かなものにするためにも、今一度考える機会としてみてはいかがでしょうか。


PROFILE/小川誠司

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2021年仙台ARTクリニック副院長。2023年より神宮外苑ウーマンライフクリニック、藤田医科大学羽田クリニック講師に入職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会専門医。

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