「1、2年が限界...」元筋肉アイドル才木玲佳、コンセプトアイドルの弊害と引き際

2022年07月07日 08時40分

エンタメ eltha



(右)メディア露出が増えた2018年頃。(左)筋肉卒業宣言から3ヵ月。「絶賛婚活中です(笑)」と話す才木。撮影/徳永徹(C)oricon ME inc.


 今年3月末の「筋肉卒業」宣言から約3ヵ月。“美ボディ”を超越したムキムキボディとツインテールのギャップで世間の度肝を抜いた “筋肉アイドル”才木玲佳は、なぜ自らのアイデンティティでもある筋肉と決別したのか。そこにはいわゆる“コンセプトアイドル”ならではの苦悩と葛藤があった。メディアで初めて明かした強い結婚願望、“俗識”への嫌悪。新たなステージを歩み始めた彼女が本音を語った。


【全身写真あり】才木玲佳、漫画みたいなムッキムキ&バッキバキの筋肉ボディを披露


■筋肉が嫌いになったわけじゃない。筋肉アイドルという殻を破れなかった


――もう何度も聞かれているとは思うのですが、筋肉アイドルからの卒業は、いつ頃、どんなきっかけで決められたんですか。


【才木玲佳】 2〜3年前から悩んではいたんですが、明確に決めたのは去年の秋頃ですね。“筋肉アイドル・才木玲佳”を、イチから一緒に作り上げてきたマネージャーが事務所を辞めてしまって。芸能活動の継続も含めて、先々を考えた結果、私の売りであると同時に悩みの種にもなっていた筋肉を、いっそやめてしまおうと思ったんです。


――筋肉の何が問題だったんでしょう。


【才木玲佳】 売りなんだから当然ですけど、お仕事の内容が、まず、“筋肉ありき”になってしまったところ。SNSでも、普通の自撮りにはあまり「いいね」がつかないのに、筋肉を載せるとすごくたくさん「いいね」がつくんです。ラジオやテレビのリポーターだったり、筋肉以外を評価してくださる現場もあるんですが、大多数はそうじゃなかった。そんな中、『みんなは私のことを筋肉でしか見ていないんだな』っていう思いが、どんどん強くなって。


――筋肉アイドルというコンセプトで売り出すことを決めた時、そうなることは想像していなかった?


【才木玲佳】 そうですね。最初は、好きでやってた筋トレが仕事に繋がるなんて、こんなに嬉しいことはないと思っていました。まさかそれが芸能活動の足かせになるというか、自分の心を苦しめる原因になるなんて、思ってもみなかったです。 誤解しないでほしいのは、筋肉そのものが嫌になったわけではないんですよ。自分自身に、筋肉アイドルという殻を破る力がなかっただけ。もし、筋肉アイドルのままでも仕事の幅を広げることができていたなら、卒業はまだしなかったかもしれないです。


――ご自身の全てでもあった筋肉と決別するのは怖くなかったですか。


【才木玲佳】 怖くなかったといえば、嘘になります。でも、このまま続けても何も変わらないし、自分の心が死んでいくだけ。好きな筋トレを仕事にして約7年。飽きっぽい私にしてはあり得ないほど長く続けてきましたけど、今思えばハマっていたのは最初の1〜2年だけ。そこから先は、仕事で求められてるから体を鍛えなきゃっていう思いばかりが強くなってしまって。好きで始めたはずなのに、気がついたら義務みたいになっていた。それに、中途半端でやめるわけじゃない。プロレスやボディビルにも挑戦して、それなりの結果も残せたし。筋肉関連のお仕事は自分なりに十分やりきったと思えたからこそ、新たなところを目指してみようと。そう決めてからの(気持ちの)切り替えは早かったですね。


――「卒業宣言」は区切りのためにも必要だった?


【才木玲佳】 そうですね。もちろんこっそり“筋肉”を辞めることもできました。徐々にコンセプトを変えるというか。でも、これまで“筋肉アイドル・才木玲佳”を応援してくれた方への感謝や今後の活動を見守っていただくためには、自分の口から「卒業宣言」が必要だなって。


出会いのチャンスを増やしたくてアプリ婚活にも挑戦


――今一番、熱量を持って取り組んでいることは何ですか。


【才木玲佳】 婚活かな。こう見えて私、結婚願望、めちゃめちゃ強いんです! いつかは子どもだってほしい。なので、友達に紹介してもらったり、マッチングアプリに登録したり。こういうお仕事してるし、アプリ婚活はやらないだろうって、ずっと思ってたんですけどね。


――出会いのチャンスは多い方がいいと。


【才木玲佳】 登録したら「私、モテてる!?」って勘違いしそうなくらい、たくさん「いいね」がついて、実際に何人かの方とはお会いしたりもしました。案外(才木玲佳本人だと)気づかれないものですよ。残念ながら、お付き合いには至らなかったけど、みなさん、本当にいい人ばかりでした。


――ちなみに、どんな男性が理想なんですか。


【才木玲佳】 私はすごく我が強くてわがままなので、そのわがままを優しく聞いてくれて、新しい世界を見せてくれる人。私のやりたいことはやらせてくれるけど、「こういうのもどう?」って私の知らないことやおもしろそうなこと提案して、刺激をくれる人が理想です。周りからは、そんなにハードルを高くするからダメなんだって言われますけど(笑)。


――お付き合いするかどうか決めるまで時間をかけるタイプですか?


【才木玲佳】 男性に限らず、初対面の方とは、ファーストインプレッションが大事だなと思っているので、1回会えば、だいたい結論が出ちゃいます。話した感じで、この人好きだなとか苦手だなって。そういう直感って、案外正しかったりするじゃないですか。だから、3回も4回も会ってる時点で、お付き合いしてもいいと思っているし、それとなく言葉にもしてるつもりなんだけど。それでも告白してくれないときは、ご縁がなかったんだなって、きっぱり諦めます。私、そういうところも切り替えが早いので(笑)。


――ちなみに、筋肉が最盛期だったころ、男性からはどういう見られ方をしてました?


【才木玲佳】 海外と日本では(筋肉美に対する)価値観の違いがあるみたいで、海外の男性からは「すごくセクシー」「結婚してくれ」って熱烈アピールが多かったです。日本人の男性は、女性としての美しさよりも「尊敬します」とか「才木さんみたいになりたいです」とかリスペクトが多かったですね。 今でも「やめるなんてもったいない」とか「筋肉、美しかったのに」って残念がってくれる方はたくさんいらっしゃるんですが……。だけど、モテない(笑)。お声がけが全くないわけじゃないんですけど、ね。今後の出会いに期待です。


納得できない常識や勝手なイメージなんて壊してしまいたい


――恋愛以外に、興味のあることはありますか。


【才木玲佳】 クイズと謎解きも好きですね。クイズはコン詰めてやるほど熱量が高くなかったので、まぁまぁ長く続いてるんですが、もっと本気で取り組んでみようかなと思って。クイズの勉強のためにYou Tubeチャンネルを始めたので、週に2本は自分で編集と撮影をしています。あとは、役者のお仕事にも挑戦してみたい。


――アクション女優とか?


【才木玲佳】 いえ。いただけるのなら、どんな役でも。今はまだ、これというイメージを固めたくないんです。昔から私、(他人から)決めつけられるのがすごく嫌なんですよ。慶応(義塾大学)を卒業後、就職しないで芸能界に入ったのも、いい大学を出ていい会社に就職してっていう、みんなが当たり前だと思ってるレールに乗るのが嫌だったから。


――もしかして“筋肉アイドル”のコンセプトも?


【才木玲佳】 そう、だって女の子がバキバキに筋肉を鍛えるなんてあり得ないなんて、どうして決めつけるの? って。自分が納得できない世間一般の常識とか勝手なイメージを壊してしまいたいっていう、ちょっと尖った自分がいた。でも、みんなの思う可愛いアイドル像を崩したら、今度は自分が作った“筋肉アイドル”という枠にはめられてしまった。“筋肉アイドル・才木玲佳”でいなきゃいけない期間が、最後は本当にきつかったんです。


――世界遺産検定3級もお持ちですが、今後、ほかの資格に挑戦するご予定は?


【才木玲佳】 先日、ファイナンシャルプランナーの3級を受けました。合格発表はまだですが、自己採点では一応合格ラインでした。不動産関係の仕事をしている親戚から勧められている宅建(宅地建物取引士)にも興味があります。ゆくゆくは、芸能活動をしながら、自分の会社を立ち上げてビジネスにも挑戦してみたい。子どもの教育や介護福祉、健康や体作りといったような、今までの知識や経験が活かせて、社会や人のためになるよう事業ができたらいいなとは思ってます。


■テレビや映画で活躍して街中ですぐに気づかれるような有名人になりたい!


――最後に、筋肉と訣別したのは間違ってなかったって、今自信を持って言えますか。


【才木玲佳】 どうでしょう。まだまだ満足いくような芸能生活を送れてはいないので、答えが出るのはもう少し先かもしれません。私、22歳の時にこの世界に入ったんですけど、3年頑張って、25歳までに芽が出なかったら潔く辞めて、就職しようと思ってたんですよ。それが30歳になるまで続けてられてるってことは、それなりの成果を残してきた結果なのかなって。だから、筋肉には感謝してるんですよ。筋肉がなかったら、ここまで続けてこられなかったと思うので。


――この先、タレント・才木玲佳が目指すのはどんな場所でしょう。


【才木玲佳】 ベタですけど、街を歩いている時に「才木玲佳だ!」ってすぐに気づいてもらえるぐらいブレイクしたいです。 今って、YouTubeとかTikTokでも、有名になれる時代じゃないですか。でも、私が憧れる、ブランドを感じる媒体は、やっぱりテレビや映画。そういうところで、もっともっと有名になりたいんです。そのためにも、決めつけず、とらわれず。自分がその時やりたいと思ったことに、これからもどんどん挑戦しながら、楽しく生きていきたいですね。


(取材・文/今井洋子)

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