ここでしか見られない貴重な化石も! 長崎市にゆかりの深い恐竜博物館が誕生

長崎県長崎市は、恐竜と実に深いつながりのある地域。“恐竜”という訳語を作った古生物学者の横山又次郎は長崎市出身で、長崎半島には恐竜が生きていた約8100万年前の地層も存在します。こうした恐竜にゆかりのある長崎市野母崎にオープンするのが「長崎市恐竜博物館」。周囲に点在するさまざまな施設と合わせて複合施設「長崎のもざき恐竜パーク」となる予定です。見て、触れて、学んで、食べて、感じるドキドキ体験が目白押しです。

Text：小林優子

国内初！長崎市で発見されたティラノサウルス科大型種の化石もお目見え

長崎半島の最先端に位置する長崎市野母崎に2021年10月29日、「長崎市恐竜博物館」がオープンします。長崎半島の海岸沿いには、恐竜が生きていた約8100万年前の地層が露出し、そこから数々の化石が発見されました。この地域は、恐竜や古生物研究の重要な拠点の一つとなっているのです。

こうした背景から誕生する「長崎市恐竜博物館」。“長崎市産の恐竜”をメインテーマに、国内初の発見となったティラノサウルス科大型種の化石をはじめ、ここでしかお目にかかれない、長崎市で発掘された化石や岩石も数多く展示されます。

常設展示は、長崎市特有のストーリー性を生かした特色ある展開も魅力です。古代長崎の大地の成り立ちから始まり、恐竜の時代、石炭が作られた時代を経て、現代に至るまでの“はるかな過去の長崎”を探求できる内容になっています。見学のポイントは、長崎と関わりのある標本を中心に、地球誕生から現代までの地球史を学べる点です。また、オープンラボエリアを通して、長崎市産化石の研究の現場を疑似体験し、最先端の研究内容を知ることもできます。

5つのテーマで組み立てられた常設展示

「長崎市恐竜博物館」の常設展示は5つのテーマで構成されています。

1つ目のテーマは「長崎の大地」。長崎の地層をイメージした環境グラフィックの中に化石や岩石標本が展示され、一気に古代へと誘われます。
2つ目のテーマ「生命の記録」は、触れて、感じて、生命の進化を学べるインタラクティブな展示エリア。さらに、さまざまな恐竜が大空間を席巻する3つ目のテーマ「恐竜の時代」の展示へと続き、圧倒的な迫力を体感。4つ目の「現代の恐竜たち」では、長崎市の希少鳥類や絶滅鳥類が紹介され、現代と古代のつながりを実感します。
最後の「燃える石の時代」には、恐竜時代を終えた後の哺乳類の進化や、長崎の石炭について理解を深める展示が並び、古代から現代につながる動物の様相を感じ取れるようになっています。

化石や標本などの展示総数はなんと約180点 !

常設展示室には、⻑崎市で発見された、希少な恐⻯の実物化石が多数展示されます。例えば、全⻑10mを超える大型種として日本で初めて発見されたティラノサウルス科の仲間や、植物食恐竜のハドロサウルスの仲間、鎧⻯、翼⻯など、ダイナミックでユニークな化石の展示が目白押し。

注目は、オランダ・ライデン市にあるシーボルトゆかりの博物館「ナチュラリス生物多様性センター」からやってくる世界最大級のティラノサウルス・レックス（愛称:トリックス）の全身骨格化石レプリカ。“獲物に襲いかかる瞬間”を再現した圧倒的な迫力のレプリカは、世界で唯一、⻑崎市だけで鑑賞できる希少な展示物です。

周囲には多彩な施設が点在。複合施設「長崎のもざき恐竜パーク」に！

「長崎市恐竜博物館」は、複合施設「長崎のもざき恐竜パーク」の一画に完成します。周りには「こども広場」や「多目的広場」、「水仙の丘」、「軍艦島資料館」などが点在。ユニバーサルデザインに配慮して作られた広場には、恐竜にちなんだ遊具などがズラリと並び、子どもたちが屋外でものびのびと遊ぶことができます。

たくさんの人々の夢と想像力を刺激する“恐竜”を中核テーマにした複合施設。子どもたちはもちろん、幅広い世代にとって、楽しく、魅力的なレクリエーションの場となりそうです。

恐竜博物館ができる長崎市は、観光スポットとしても人気の異国情緒あふれる港町。太古の長崎を学ぶことができる「恐竜博物館」は、観光ルートに欠かせない新名所になりそうですね。

◆長崎市恐竜博物館　（ナガサキシキョウリュウハクブツカン）
住所：長崎県長崎市野母町568-1
開館時間：9:00～17:00
休館日：月曜日
入場料金：一般500円、小中学生・幼児200円
電話番号：095-898-8000

長崎市公式観光サイト「あっ！とながさき」恐竜博物館ページはこちら