【日本ならいごとの旅 第6回】日本一の海女の郷・伊勢志摩で海女の生き方を学ぶ

2018年08月29日 18時00分

おでかけ 旅色プラス



2016年のG7伊勢志摩サミットで世界的に注目された海女文化。そこには厳しい自然とともに生き、資源を未来へつなぐ知恵が受け継がれていました。身一つで生きる海女たちの生き方を学びに、日本一の海女の郷、志摩半島へ。

Text&Photo:前田知里




伊勢志摩で海に生きる海女たちのエコロジー思想




海女さんと言えば、2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」や2016年のG7伊勢志摩サミットで話題となりましたが、女性が素潜りで海の幸を得るという生業は、韓国の一部と日本でしか見られないユニークな文化なのだとか。古代から受け継がれたシンプルな漁撈技術は縄文時代に遡り、3000年前の貝塚から漁具が発見されています。

今ではウエットスーツに変わってきていますが、現在でも昔ながらの素潜り。わざわざ息を止めなくても、酸素ボンベを使えばいいのに、と思いますが、それは、海の資源を守りながら、自然と共に生活を営むための知恵なのです。年間に潜ってもいい日数の制限や、採ってよいアワビのサイズ、ウエットスーツは1家に1着までなど、集落ごとに海の資源を損なわないための掟が定められています。

使い捨て社会の現代において、古来からの技法を守り続ける海女の暮らしは、持続可能な社会への示唆に富んだ生き方ではないでしょうか。






▲このモノサシよりも小さい貝は採集してはいけない

最盛期は6000人以上いたという海女ですが、生活スタイルの変化により、激減の一途を辿り、今や全国で約1800人。その中でも、三重県の志摩・鳥羽地域は全国で最も海女が多い地域で750人。特に伊勢志摩は、伊勢神宮との関わりが深く、神様への食事、神饌を奉納してきました。

近鉄特急で名古屋から1時間半、大阪から2時間の距離に位置する伊勢志摩にて、海女たちの暮らしのあり方を学べる場所をご紹介します。



<カジュアルコース>海女小屋体験




海女が陸に上がった時に体を温める「海女小屋」では、現役の海女さんが磯着姿で採れたての魚貝類を目の前で焼いてくれます。色鮮やかな貝に伊勢海老、アワビなど目の前に並びます。






頭巾や襦袢には、セーマン、ドーマンと呼ばれる星形と格子形の印が刺繍されています。海女の間では、「トモカズキ」と呼ばれる自分とそっくりな海女が海の底にいて、誘いに乗れば引き摺り込まれてしまうという言い伝えがあるとか。海底に棲む魔物の伝説は海女を生業にする各地で見られ、恐れられてきました。セーマン、ドーマンは陰陽師の印にも似ていますが、そんな海女たちのお守り。単独で海底に潜り、死と隣り合わせの危険な作業に従事する海女ならではの信仰が伝わっているのでした。






海女小屋では、そんなお母さんたちの武勇伝を聞きながらお食事をいただきます。






海女小屋相差かまど(相差海女文化資料館内)
住所:三重県鳥羽市相差町1238
TEL: 0599-33-7453



<ディープコース>海女の宿で海女の生業を体験




今や高齢化により、海女の平均年齢は65歳を超えているそうですが、海女の修行を始めて三年目という佐藤さんが営む海女の体験型民宿「AMARGE」には、世界中から海女の暮らしに関心のある人たちが集います。ライターや料理研究家、カメラマン、それぞれの興味に合わせて案内内容を変えているそうです。






私は朝の7時から漁が終わる午後2時まで、海女のおばあちゃんたちに密着させていただきました。体があちこち痛いと言いながら、海に向かうとしゃんと背筋が伸びる海女のおばあちゃんたち。後ろ姿がカッコイイ。






火と水は隣り合わせにあるもの。命がけで漁に臨む海女たちは信心深く、出漁前には、真夏でも火を焚き魔を払い、額に炭を当てて祈りを捧げます。
そして、フキやヨモギの葉を火で焙って、ダイビングマスクに塗ると、曇り止めになるのだそうです。






「ヒュー、ヒュー」と、笛のような呼吸音が海に響き渡ります。「磯笛」と言って、肺を押し広げ内圧を高めるための海女独特の呼吸法なのだそう。






潜る時は一人、孤独の中で採集に臨む海女たちですが、はじめと終わりは必ず歩調を合わせ、休憩時間は海女小屋で共に過ごします。この時間がまた賑やかで、ランチには持ち寄ったおかずをみんなでシェアするほど仲良し。






巨大なアワビ。熟練した海女であれば、1日5-6万円稼ぐこともあるのだとか。






大量の牡蠣の調整作業。潜りながら岩にへばりついた牡蠣を剥がすのは大変そうです。しかも牡蠣の場合は、漁協に戦利品を運んでからも仕事が続きます。この作業によっても取引の値段が変わってくるので皆さん必死。






毎日5-6万稼げる時もあるかわりに、海が荒れる時は2週間連続で無収入ということも多々あるそう。だからこそ尊い自然を頼りに、身一つで生きる海女たちの頂き物に対する畏敬の気持ちとその明るい笑顔に人生観を新たにした1日でした。

漁業体験民宿 Guest House AMARGE
住所: 三重県鳥羽市石鏡町395番地
TEL: 090-2680-0947



<お立ち寄りスポット>海の博物館で学ぶ




鳥羽市立 海の博物館では、船や海女をテーマに国内外からの資料6万点を収蔵。海の民俗文化や伝統的な漁撈技術の歴史に触れておくと、海女さんたちのお話ももっとディープに聞けるかもしれません。内藤廣建築設計事務所デザインによる建物も必見です。






鳥羽市立 海の博物館
住所:三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68
TEL:0599-32-6006



海辺に佇み波の音を聞いているだけで癒される母なる海は、時には魔物が住む恐ろしい闇になることも。危険と隣り合わせにある生業の中で、あえて古来の漁法を続けて貴重な資源を守り、持続可能なライフスタイルを送る海女たちの暮らしに学ぶことは多いはず。この夏、海女のいる海へ出かけてみませんか。

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