「ホテルグランヴィア京都」アフターコロナで不要になったアクリル板をオブジェに再生
JR京都駅直結の「ホテルグランヴィア京都」で、地元の伝統工芸品を埋め込んだアクリル製のオブジェがロビーに展示されています。オブジェに使われている素材は、新型コロナウイルス感染拡大防止に使われていたアクリルパーテーションをアップサイクルしたもので、サステナブルな取り組みの事例として注目されそうです。
工芸の美を引き立てる高い透明度
同ホテルではこれまでもロビーに伝統工芸品を展示するなど、京都のものづくり文化の発信を後押ししてきました。
今回、アフターコロナで使われなくなったアクリルパーテーションの再利用を検討するなかで、三菱ケミカル(東京都千代田区)によるリサイクルアクリル樹脂の高い透明性に注目。アクリル封入商品の製作を手がける瑞穂化成(愛知県名古屋市)の協力を得て、京都の伝統工芸の端材や、傷・欠けなどがある作品をアクリル内に埋め込んだオブジェを完成させました。
京焼・清水焼のぐい呑みを封入したアクリルブロックは、鮮やかな色合いをクリアに見せるだけでなく、まるで作品がオブジェの中に浮かんでいるように見える透明度です。
京都らしさ伝わる伝統工芸の数々がアクリルアートに
同じく京焼・清水焼によるこちらの香炉は、粘土をケーキのデコレーションのように絞り出して紋様を描く「いっちん」の技法が施されていて、アクリルの中から紋様の立体感が伝わってきます。
京都を代表する伝統工芸「西陣織」もアクリルに封入されました。着物や帯をはじめ、ネクタイやショールなどでもおなじみの高級絹織物です。
こちらは日本三景のひとつ、「天橋立」で有名な丹後半島が産地の絹織物「丹後ちりめん」。アクリル越しでも、素材の質感まで感じられます。
古くは平安時代にルーツを持つ「京房ひも・撚ひも」は、神具、仏具、茶道、伝統芸能など幅広い分野で使われている装飾品です。飾り房がしなやかに揺れているような、みやびな姿で封入されました。
コロナ禍では人と人との接触を遮るために存在していたパーテーションを、観光客と地域の伝統産業をつなぐ役割へと生まれ変わらせる今回のプロジェクト。訪れた際には、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。
ホテルグランヴィア京都
- 住所
- 京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル JR京都駅中央口
- 総部屋数
- 537室
- アクセス
- 【電車】新幹線・JR・近鉄・地下鉄「京都」駅に直結
【車】名神高速道路「京都南」ICから約20分 - 駐車場
- 1泊 2,000円