世界遺産「﨑津集落」と絶景スポットを巡る天草観光モデルコース

九州西部に位置する天草諸島は、自然と歴史が融合した美しい風景が広がる魅力あふれるエリア。世界文化遺産「﨑津（さきつ）集落」をはじめ、天草キリシタン館やイルカウォッチング、天草パールガーデンや海中水族館シードーナツなど、多彩な絶景スポット巡りを楽しめます。歴史と自然が織りなすフォトジェニックな天草の魅力を堪能できる天草観光モデルコースをご紹介します！

目次

DAY1
　10:00　天草空港をスタート！ 天草諸島とはどんなところ？
　11:00　世界文化遺産「﨑津集落」ガイダンスセンター
　11:30　重厚なゴシック様式が美しい、海の天主堂「﨑津教会」
　12:00　﨑津資料館みなと屋で学ぶキリシタン信仰の歴史
　12:30　ランチは﨑津うまかもん通りや海一望の﨑津観光交流広場で
　13:30　﨑津集落を見守る海上マリア像
　14:00　隠れキリシタンが生活した旧﨑津教会と﨑津諏訪神社
　14:30　丘の上にたたずむ白亜のロマネスク様式の教会「大江教会」
　15:30　ホテルにチェックイン！日帰り温泉スパや天草の海の幸を満喫
DAY2
　10:00　「道の駅　天草市 イルカセンター」で野生イルカと感動の出会い
　11:30　天草キリシタン館で「踏み絵」見学
　12:30　天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツでランチやお土産を
　15:00　長部田海床路で幻想的な景色を堪能
　16:00　天草観光モデルコースのゴールはJR熊本駅

DAY1

10:00　天草空港をスタート！天草諸島とはどんなところ？

天草諸島は九州西部に位置しており、熊本県と鹿児島県にまたがる諸島です。天草上島と天草下島を中心とする大小120島ほどの島々から構成されています。青い海に囲まれ、一年を通して新鮮な海の幸など旬の味を堪能できます。

九州本土と天草諸島は、天草五橋と呼ばれる5つの橋で結ばれています。JR熊本駅から天草上島までは車で約1時間半。2000年には天草空港も天草下島に開港。阿蘇くまもと空港から天草空港までは約20分、福岡空港から天草空港までは約35分で到着できます。

天草観光をする場合は、天草空港からスタートすると便利です。「天草ぐるっと周遊バス」（3,000円、要予約）や路線バス、タクシーでも天草の観光スポットを巡れますが、おすすめはレンタカー。レンタカーを利用すると時間を気にせず、ノスタルジーを感じる﨑津集落や絶景スポットなど、気に入った場所で心ゆくまでのんびりと過ごせます。まずは、天草空港まで無料送迎してくれるレンタカーショップで車を借り、旅をスタートさせましょう。

天草 周辺のホテル・旅館を探す
天草のレンタカーを探す

11:00　世界文化遺産「﨑津（さきつ）集落」ガイダンスセンター

最初に向かうのは、天草空港から車で約45分、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして登録された、「﨑津集落」がおすすめです。「﨑津集落」は天草諸島の南西に位置し、キリスト教伝来期には布教の拠点となり、禁教時代に仏教、神道、キリスト教と共存しながらひそかに信仰が継承された集落として評価されています。

1996（平成8）には「キリシタンの里　﨑津」として日本の渚百選に選ばれ、2001（平成13）年には「河浦﨑津天主堂と海」が環境省の日本のかおり風景100選、2011（平成23）年には天草市﨑津と今福の文化的景観が「国選定重要文化的景観」にも選ばれたほど、魅力的な集落です。

集落入口の国道389号線沿いにある「道の駅 﨑津（さきつ）」には、天草市﨑津集落ガイダンスセンターが設置されており、﨑津集落を訪れる人がより深くこの集落のことを理解できるよう、地域の歴史や文化、集落を散策するときのマナーなどを教えてくれます。

お土産品の販売や、自転車の貸し出し（200円）などもおこなっています。

﨑津集落は人々が実際に生活しているエリアのため、観光用の駐車場はごくわずか。観光客が多く訪れる週末や夏休みなどは、「道の駅 﨑津」の駐車場に車を停めて自転車でスポット巡りをするのもおすすめです。

道の駅　﨑津

住所

熊本県草市河浦町﨑津1117-10

営業時間

9:00～17:30

定休日

12/30〜1/1

アクセス

天草空港から車で約45分

11:30　重厚なゴシック様式が美しい、海の天主堂「﨑津教会 」

﨑津集落のシンボルとも言える、「道の駅 崎津」から徒歩約8分の場所にある「﨑津教会」へ向かいましょう。

この教会は長崎の建築家・鉄川与助によって設計された重厚なゴシック様式の教会。1934年にフランス人宣教師ハルブ神父に再建されました。穏やかな羊角湾のそばに建っていることから「海の天主堂」とも呼ばれており、堂内は国内でも数少ない畳敷きである教会です。禁教期に踏み絵が行われていた場所に、祭殿が設けられたというストーリーを聞くと、心が揺さぶられます。

教会内部の拝観は、事前に予約が必要ですのでご注意を。敷地内部は撮影禁止のためご紹介ができませんが、ぜひ現地へ訪れて、色鮮やかなステンドグラスから優しい光が差し込む、美しく神聖な空間をご覧になってみてください。

﨑津教会

住所

熊本県天草市河浦町﨑津539

営業時間

9:00～17:00

定休日

なし

料金

無料

アクセス

天草空港から車で約45分

12:00　﨑津資料館みなと屋で学ぶキリシタン信仰の歴史

﨑津教会から徒歩約1分の場所にある「﨑津資料館みなと屋」へ。昭和初期の旅館を改修して作られたこの施設では、﨑津の歴史や文化を知ることができます。

©︎「﨑津資料館みなと屋」所蔵

ここでは、キリスト教布教期から潜伏期の資料を中心に展示されています。当時の﨑津の生活や信仰を感じられるジオラマは必見です。貴重な漁村特有の信心具も見ることができます。

﨑津資料館みなと屋

住所

熊本県天草市河浦町﨑津463

営業時間

9:00～17:00　※最終入館16：30まで

定休日

12月30日～1月1日

料金

大人：100円、高校生以下：無料

アクセス

天草空港から車で約45分

12:30　ランチは﨑津うまかもん通りや海一望の﨑津観光交流広場で

「崎津資料館みなと屋」から徒歩約1分の場所にある「﨑津うまかもん通り」。この通り沿いには、ランチを味わえるお店が数軒あります。この通りを散歩しながら、ランチができるお店に向かいましょう。

集落のスポット同士を巡る際に必ず通るのが、「トウヤ」と呼ばれる家屋と家屋の間にある小路です。奥には海が見え、ノスタルジックな雰囲気を持つ撮影スポットになっています。

この通り沿いにある「﨑津観光交流広場」は、司馬遼太郎など多くの作家・文人が訪れた旅館である「紋付屋旅館」の跡地を改装した広場。緑の芝生とエメラルドグリーンの海とのコントラストが美しく、ベンチに座ってお弁当を食べることもできます。﨑津集落にはたくさんの猫がいますので、猫たちに囲まれながら海を眺め、のんびりとした時間を過ごすのもおすすめです。

通り沿いの一角 にある「つどい所 まつだ」は、﨑津資料館みなと屋の付属施設として建設された、﨑津の風情や歴史を伝える展示場。

「つどい所 まつだ」の奥には、地元の﨑津の魚介が味わえる寿司「海月（くらげ）」がたたずんでいます。店内はカウンター席とテーブル席があり、ゆっくりとカジュアルな雰囲気でお寿司をいただけます。大きな窓から見える﨑津の海の絶景も人気です。

このうまかもん通りには他にも「レストランシンフォニー」、「ごはん屋　凪」、少し先には「天草漁協﨑津直売所「きんつ市場」などがありますので、お好みに合わせてお楽しみください。

13:30　﨑津集落を見守る海上マリア像

ランチの後は「つどい所　まつだ」から徒歩約4分の海に向かってたたずむ「海上マリア像」に向かいましょう。この 「海上マリア像」は、1974年に建てられたキリスト教信仰のシンボルです。海に向かってたたずむマリア像は、まるで、行き来する漁船の運航の安全と豊漁を静かに見守っているようです。

マリア像の向こうに沈む夕陽はロマンチックで、ぜひ撮影したい写真スポット。この場所は、天草夕陽八景の一つにもなっています。夕景を撮影する際は、ぜひ﨑津集落内にある「マリア像の夕陽展望デッキ」を訪れてみてください。

海上マリア像　展望デッキ

住所

熊本県天草市河浦町﨑津

料金

無料

アクセス

天草空港から車で約50分

14:00　隠れキリシタンが生活した旧﨑津教会と﨑津諏訪神社

次は、「海上マリア像」から徒歩約5分の、旧﨑津教会と﨑津諏訪神社を訪れましょう。旧﨑津教会は、普通の民家に見えるように設計されており、キリシタンが秘密裏に信仰を守っていたことがわかります。

﨑津諏訪神社は旧﨑津教会のすぐそばにある階段の上に位置しており、神道とキリスト教、宗教の共存が見られる珍しい場所。禁教時代にもキリスト教信仰を継承し、日本独特のキリスト教信仰を育んだ歴史を実感できるスポットです。

﨑津諏訪神社

住所

熊本県天草市河浦町崎津505

参拝可能時間

24時間

料金

無料

アクセス

天草空港から車で約45分

14:30　丘の上にたたずむ白亜のロマネスク様式教会「大江教会」

﨑津集落には「海の天主堂」と呼ばれている美しい教会がありましたが、「丘の天主堂」と呼ばれるロマネスク様式の白亜の天主堂「大江教会」も崎津集落から車で約9分の場所にたたずんでいます。

大江教会は﨑津教会と同様に、世界文化遺産天草でキリスト教解禁後に最も早く建造されました。敷地内には、フランスのカトリック巡礼地でもある「ルルドの泉」が再現されています。今でも天草キリシタンのシンボル的な存在です。

冬には「大江クリスマスイルミネーション」が開催。大江教会と天草ロザリオ館周辺に約7万個の電球が灯され、幻想的な景色に彩られます。

大江教会

住所

熊本県天草市天草町大江1782

開館時間

9:00～17:00

※教会行事が行われる時には入館をご遠慮ください

定休日

なし　※臨時休館あり

アクセス

天草空港から車で約65分

15:30　ホテルにチェックイン！日帰り温泉スパや天草の海の幸を堪能

天草温泉「ホテルアレグリアガーデンズ天草」

天草には多くの魅力的な温泉付ホテルや、日帰り温泉施設などがあります。天草の海の幸を堪能できる、お食事付きの宿泊プランが用意されているところもあり、1日の旅の疲れをゆっくりといやしましょう。

関連記事

小山薫堂氏プロデュースの特別室で『湯道』を体感！絶景風呂に癒やされる「ホテルアレグリアガーデンズ天草」
熊本
2023/06/14
天草の豊かな自然に触れながら、絶景とリラクゼーションを楽しめる「ホテルアレグリアガーデンズ天草」。『湯道』の提唱者で知られる小山薫堂氏プロデュースの海一望ジェットバス付特別室や源泉掛け流し露天風呂付き客室などで、極上の入浴体験が叶います。

DAY2

10:00　「道の駅　天草市 イルカセンター」で野生イルカと感動の出会い

2日目は、天草が誇る特別なアクティビティの「イルカウォッチング」がおすすめです。

「道の駅　天草市　イルカセンター」では、野生のイルカたちに会えるイルカウォッチングに参加できます。目の前の桟橋から船で出航し、通詞島（つうじじま）沖で暮らすミナミハンドウイルカが200頭ほどの群れで生活している姿を見られます。世界的に見ても、漁船が行き交う内海にこれほど多くのイルカが定住している場所は、ほとんどありません。通詞島沖の海は、大変貴重なイルカウォッチングスポットです。

通詞島沖のイルカは人懐っこいため、目の前でジャンプをしたり、船に並走して泳いでくれたりします。イルカ遭遇率はなんと約90％！春から夏にかけては遭遇率も高くなり、赤ちゃんイルカが見られることもあります。

約30〜40頭のイルカの群れが次から次へと現れ、たくさんのイルカに囲まれている様子は圧巻！　天草に訪れた際には、ぜひイルカウォッチングツアーに参加してみてください。

道の駅 天草市イルカセンター

住所

熊本県天草市五和町二江4689-20

営業時間

■イルカセンター　9:00～18:00　（冬季11月～2月は、9:00～17:00）

レストラン：11:00～15:00(LO：14:30)

■イルカウォッチング　１日5便　10:00、11:30、13:00、14:30、16:00

※冬季16：00の便については要問い合わせ

定休日

年末年始、他

料金

イルカウォッチング　大人：3,000円、小人(小学生)：2,000円、幼児（2歳以上）：1,000円、幼児（2歳未満）：無料　※事前予約は上記の料金から10％割引

アクセス

天草空港から車で約15分

関連記事

野生のイルカに会いに行こう！天草&南島原の「イルカウォッチングツアー」
熊本
2023/06/16
熊本県と長崎県に囲まれた早崎海峡の通詞島（つうじしま）沖には200頭以上のミナミバンドウイルカが定住しています。一年中、高確率で野生のイルカに出会える「イルカウォッチングツアー」をご紹介します。

11:30　天草キリシタン館で「踏み絵」見学

©︎天草キリシタン館所蔵

道の駅 天草市イルカセンターから車で約20分の場所にある天草キリシタン館では、島原・天草一揆で使用された武器や国指定重要文化財の天草四郎陣中旗など、約200点の展示物があります。

©︎天草キリシタン館所蔵

キリシタン弾圧期の踏み絵や、当時の隠れキリシタンの生活を思い起こせるマリア観音などもあり、天草の歴史やキリシタンについて詳しく知りたい場合はぜひ訪れてほしいスポットです。

天草キリシタン館

住所

熊本県天草市船之尾町（殉教公園内）19-52

営業時間

8:30～17:00（最終入館16:30）

定休日

火曜日（祝日の場合は翌平日）、12月30日～1月1日

料金

一般：300円、高校生：200円、小中学生：150円

アクセス

天草空港から車で約15分

12:30　天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツでランチやお土産ショッピング

天草キリシタン館から車で約40分の「天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツ」は、水族館やレストラン、カフェ、お土産店などが一体となった複合施設です。ランチやティータイムに立ち寄るにもピッタリのスポットです。

おすすめは、「どんぶり亭　天のや」。天草で採れた食材を使った海鮮丼や天丼などを食べられます。天草の名産である車海老は生きが良く、丼の上でも動いているほど！ 新鮮な海の幸を堪能できます。

この店の隣には「バイキング　万彩（まんさい）」もあり、地魚を使用したお寿司プレートと和洋中約20種類のメニューをドリンクバー付きで味わえます。

ティータイムや軽めの食事がしたい時は、「café do mar（カフェ・ドゥ・マール）」で海や天草諸島の景色を眺めながら、フレンチトーストやイチゴパイなどを味わうのもおすすめです。香り高いコーヒーやソーダ、わらび餅ドリンクなど、さまざまな飲みものを楽しめます。

真珠専門店「パールの店 天珠館（(てんじゅかん)）」では、天草の温暖な海で育ったあこや真珠や色形に特徴のある淡水真珠、美しい輝きの南洋真珠などを販売。「おみやげAmarche」には、水族館グッズや熊本のお土産など、約1,500種15,000点の商品が並んでいます。

天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツ

住所

熊本県上天草市松島町合津6225-8

営業時間

どんぶり亭 天のや／11:00～15:30(LO.15:00)

バイキング万彩／平日11:00～14:30(LO.14:00)、土日祝 11:00～15:30(LO.15:00)

café do mar／11:00～17:00(LO.16:30)、土日祝 10:00～17:00(LO.16:30)

パールの店 天珠館／平日 9:00～17:30、土日祝 9:00～18:00（冬季17:30まで）

おみやげAmarche／9:00～18:30（冬季17:30まで）

海中水族館シードーナツ／夏季9:00～18:00（最終入場17:00）冬季9:00～17:00（最終入場16:00）

定休日

年中無休

アクセス

天草空港から車で約45分

15:00　長部田海床路で幻想的な景色を堪能

天草諸島から熊本駅や熊本空港へと向かうならば、ぜひ立ち寄りたい絶景スポットがあります。それは「天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツ」から車で約40分の場所にある「長部田海床路（ながべたかいしょうろ）」です。

海床路とは、潮が引いた時にだけ現れる道のこと。満潮時は海の中に電柱が立ち並ぶ不思議な光景が見られるフォトスポットです。海の向こうには雲仙普賢岳の雄大な姿も眺められ、まるで映画の世界に入り込んだかのような幻想的な写真が撮れると話題になっています。

海の中に電柱が立ち並ぶ景色は、満潮の前後2時間前後が見頃。潮の満ち引きによって道の見え方が変わるので、訪れるタイミングによって異なる表情を楽しむことができます。

長部田海床路

住所

熊本県宇土市住吉町（住吉海岸公園）

営業時間

24時間

定休日

年中無休

料金

無料

アクセス

JR宇土駅から車で約15分

16:00　天草観光モデルコースのゴールはJR熊本駅

世界遺産「﨑津集落」と絶景スポットを巡る天草観光モデルコースはいかがでしたか？長部田海床路から車で約40分のJR熊本駅でレンタカーを返却して、1泊2日のモデルコースは終了です。そのまま帰路へとつくこともできますし、熊本市内を観光したり、阿蘇や宮崎県の高千穂など九州の他の都市を巡ったりすることもできます。

天草諸島は美しい景観や歴史的な名所が数多く点在することから、一度訪れるととりこになる魅力に満ちたエリアです。崎津集落をはじめとした天草の歴史や文化を感じながら、イルカウォッチングや天草パールガーデン＆海中水族館シードーナツなどの自然を楽しむ絶景スポットを巡る旅は、女子旅からカップル、三世代ファミリーにもおすすめです。天草での思い出に残るフォトジェニックな旅を、お楽しみください。

天草 周辺のホテル・旅館を探す

撮影・取材・文／北川りさ