「お坊ちゃまでもベッドでは...」25歳女性がドン引きした「ハイスぺ彼氏の実態」
遥香(25歳)、苦労レスのお坊ちゃま彼氏にざわつく
【レスなひとびと】vol. 226
自転車で3キロ先の食品会社まで通勤する遥香。天気がいい日は気持ちがいい。地元就職は、都会みたいに刺激はないけど、安定した生活で貯金もできるから最高。
機嫌よく大好きなハリー・スタイルズを聴きながら走っていたら、後ろから車の音。狭い道だったので端っこに寄ろうとしたら…
ガッコーン! 段差にバランスを失って転んでしまった。土手の草の上でよかった。
だが左手首に激痛。やばい。折れたか。
車から降りてきた青年が、申し訳なさそうに頭を下げながら遥香に手を貸す。
「ごめんなさい。僕の不注意で」
「いえいえ。こっちが勝手にバランス崩してこけたんですー」
「捻挫か折れてるかわからないから、駅前の整形外科までお送りします。乗って」
断ったものの、たしかに骨折は怖いので自転車を土手に停めて、病院に連れて行ってもらった。結果、捻挫だから大丈夫。貼り薬をもらうだけでよかった。その青年がロビーでずっと待っていて、名刺をくれた。
「僕のせいなので、治るまで病院代出しますので」
“御堂丸産業 御堂丸晃久 MIDOUMARU AKIHISA”
えええ! 地元で材木屋やガソリンスタンドやコンビニなんかを手掛けてる地主のボンボンじゃないか。遥香は恐縮するが、いったん連絡先を交換した。
それからは、怪我の様子を聞くために晃久から頻繁に連絡が入り、治りかけたころ食事に誘われる。
「まじで? これって 花より男子のリアル版ってこと?」
災い転じての彼氏の出現に遥香は軽くバンザイ。
楽しいデートが続く恋愛初期段階。ハッピー遥香は「地元就職、正解だあ」と母や友達と嬉しさを分かち合った。
しかし。
生まれながらのお坊ちゃん育ちの晃久にだんだん違和感を感じるように。
たとえば、ピクニックでスニーカーに泥水がついて汚れたら慌てて車で近くの靴屋に駆け込み、新品購入。汚れたのは店員に「捨てといて」とクール顔。
「ええ? ナイキのたっかいやつ、捨てる? 洗えばいいじゃない」…とは言えない。
飲食店ではメニューの一番高いやつから順にオーダー。そして従業員にタメ口。「済んだ皿は即刻下げてよ」的な。
「そんな上から目線、失礼だよ」…とは言えない。
スマホやタブレットで新機種が出ると即日購入。
「まだ全然使えますよね、あと1年使えば下取りで得する」…とは言えない。
問題はベッドだ。
ベッドに全裸で寝そべって、なんもしない。遥香に「好きに動いていいよ」の発言。
最初はとまどったが、5回したら慣れた。
なんとか我慢できる。
決定的に無理ではないけど、晃久との恋愛継続はありなのか。
【三松さんからのコメント】
平等を謳う時代ですが“格差婚”については、ネットニュースでもしばしば流れてきます。人気女優さんとまだ売れてない俳優さんの例などです。一般世間でもそれらしき結婚はたーくさんあります。お家柄、親の資産、当事者のステイタスや収入、外見…そんなもん上下あるの? というようなものも見方によっては格差婚。格差の定義は、ひとによって作られる。
もちろんうまくいくカップルもあれば、下とされてる側がいたたまれなくなって離婚のケースもあり。
遥香さんの“格差交際”、今はまだ遥香さんのザワツキ程度の問題ですが、もし結婚したり、子どもができたりすると彼のご家族がアレコレ介入する可能性はかなり高し。嫁姑問題も起こりやすいってのがわたしの実感です。
それに、現在の遥香さんの「これってあり?」の彼の言動。かなりやばくないですか。苦労知らずの坊ちゃんにありがちと見過ごしてはダメです。苦労知らずでも礼儀やマナーを守る、謙虚なぼっちゃまもいるのですから!
苦労の量ではなく、気質の問題かと。遥香さんが言いにくいという関係性もダメです。彼に嫌われたくないから言わないのか。彼が資産家だからしょうがないとあきらめてるのか。そんなパワーバランスは不健全恋愛です。
気になる点は言い合う関係性を構築しなければ今後うまくいかない。まずはなぜ言えないのか理由を洗い出してくださいね。
「格差恋愛、花男(はなだん)みたいな恋をめざそう。卑屈にならず、気高い心持ちで相手に向き合うのだ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。
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文・三松真由美