手当たり次第会ってもダメ...! 高確率で「運命の人と出会える」方法
菜月(25歳)彼氏がいても“本気度レス”でマッチングアプリがやめられない。
【レスなひとびと】vol. 123
純也とは「付き合って」と言われたから、付き合いはじめた。研修医で将来安泰。女の子の扱いも下手じゃないし、悪くはないと思った。
本当に、悪くはないのだ。ただ「運命の人!」の実感がない。もっといい人、いるんじゃない? 純也と付き合いはじめて3か月経つが、マッチングアプリとはずっとお友達。
さすがに純也と付き合い始めてからはヘビーユーザーではない。週一くらいでマッチ男と会っている。純也が当直の日が‟マッチ男DAY”。
今日のデート。日本橋のフツーのイタリアン。大手飲料メーカーに勤めるおぼっちゃまって感じの拓造くんは、とにかくもう…ずーっと自分の話。家でママに自分の話を「タクちゃん、すごいすごい」って聞いてもらって育ったに違いない。ママの顔が浮かぶよ。
小学生時代の武勇伝から、今の職場での活躍エピソードまで語る語る。さりげない感じを装いつつ、ガッツリと「すごい俺」エピソードを挟んでくる。まだ続くの!? と内心ウンザリ。
あくびを必死でこらえる3時間。まあ、一回くらいエッチしてもいいけどの思いはよぎる。今日も運命の男は出現せず。
純也から電話がかかってきたのは、デートの帰り道。夜道をコツコツ歩くヒールの音が聞こえたのか「あれ、菜月、今日遊びに行ってたの?」と聞かれる。「うん、美波と会ってたの」と答えると「美波ちゃん? ああ、大学の友達の子ね」とあっさり信じる純也。そう、純也はいつも菜月の嘘にまったく気づかない。
菜月は女友達と遊ぶ時、ローヒールしか履かない。まわりの女子よりも背が高いのを気にしているから。なんで、純也はこんな簡単な嘘にも気づかないんだろう。心の中で純也をバカにする。嘘をついているのは自分なのに。
週末は、本当に美波と会った。「最近どうよ。結婚できそう?」と聞かれ「全然ダメ」と答える。研修医の彼氏もいるし、3日前の拓造くんからは「菜月ちゃんと付き合いたい」とLINEがきたけど。
付き合うわけないっしょ。なんでこの程度の男にイケるって思われるんだろ。2度目のデートでセックスできるって思われてる。情けない。ヘラヘラ笑いながら言い直す。「いやほんと、人生全然うまくいってない、アタシ、何もかもダメ」。
ぶらぶらさせたローヒールが椅子の足にぶつかってスポっと脱げる。また来週もマッチ男とデートしてみるか。
【三松さんからのコメント】「人生全然うまくいってない、私ってダメなやつ」。
謙遜しているように見えて、実はこれ、自分のダメな部分を認めていないことからくる発言です。菜月さんがマッチングアプリをやめられないのは、どこかで「自分はこの程度の男と付き合う女じゃない」と思っているからじゃないのか。高慢すぎです。
理想と現実が食い違うってつらいですよね、と悲しむ自分に共感してほしいだけじゃないか。
まず、相手のダメな部分を見つけてしまったときに、ならば自分はどうなの? と振り返ってみましょうよ。純也さんは鈍感なのかもしれないけれど、メンズにはありがちなレベルです。いちいち詮索する神経質男よりラクじゃない。相手ばかりにダメ出しして、自分のダメを棚上げする女にほんとの恋は寄って来ない。
「アタシ、何もかもダメ」とごまかさずに「何がダメ」なのか、ピンポイントで考える。「ダメ」を「よっしゃ」に変換しないと魅力的な大人になれないのであります。相手と向き合う‟本気度”が少ない、それすなわち、自分とも本気で向き合っていないってことなのです。
20代やそこらで完璧男と完璧女の完璧恋愛などありません。相手と向き合って磨きあっていくうちに、唯一無二の存在になってくることがある(…あると信じたい)。
あなたが本気で自分の「ダメ」を「よっしゃ」に変換できたら今度こそベストな人と出会う確率が上がります。手当たり次第に出会っても、打率は低いと今回の件でつくづくわかったはず。マッチツールは、すぐに出会えちゃうから、だんだん緊張感が薄れていくのが難点ですね。
「マッチング依存女子に告ぐ。スマホ1台でホイホイメンズと出会える時代。ダメなら次の人のループにハマると13人目で疲弊してシカバネになるぞ。本気で自分のダメに向き合え」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。
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文・三松真由美