あなたは大丈夫?...「幸運がどんどん逃げる」女性の特徴
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 69
志桜里(29歳)自己意思レス、占いで一喜一憂のふらつき人生にて彼氏と別れまくり。
志桜里は占い店『We渋谷店』でパイプ椅子に座って順番待ちをしている。前の人の鑑定が終わりいよいよ自分の番。ビロードの黒いカーテンを遠慮がちに開ける。
「あら、お客さん。いつもありがとうございます。前回からの変化は?」
志桜里はWeの常連。恋愛で悩むと必ず詣でる。
LINEが返ってこないがどうする?
嫌われた気がするが彼の今の気持ちを教えて?
などと小学生女子のような相談ばかり。
「彼はちゃんとあなたのことが好きですよ。LINEが来ないのは、めんどくさいだけ。男性にはよくあること。あまり気にしないで」
それだけで完璧に気持ちがスッキリ。モヤモヤしてることがわかるって最高。しかし、2時間経つとまた不安が蘇る。Instagramの裏アカウントで、彼のストーリーをこっそり見る。
「ひとりで過ごしてる風のカフェ写真だが……。実は向かい側に女の子が座っている気がする。スプーンの先が写り込んでないか……」
そんな想いに囚われ始めると、もうダメだ。さすがに今日の今日で占い師のところには行けない。そこでサイト『MIRAI2』で今すぐ鑑定できる占い師を探す。
今カレの直人とは合コンで出会ったばかり。別にイケメンじゃないけれど、話が面白くていいなと思った。消防士という仕事柄、鍛えているボディも魅力的。直人も志桜里を気に入ったようで、それからランチデートを3回重ねて、お付き合いに至る。
先日の初家デートで初エッチ。
直人が優しく耳のあたりを舐める。志桜里のおっぱいをクルクルいじるたび、体が痙攣するような快感に包まれた。エッチの相性は良いような気がしたが、私だけかな。声が大きすぎたかも。嫌な匂いがしてしまったかも。エッチ後に、腕枕してくれない直人を見てどんどん心配になってくる。
翌日、スマホに鑑定結果の通知が届いた。
「彼に愛されてますよ。彼は連絡がマメなほうではないですね。駆け引きするところもあります。それはあなたを好きだからの駆け引きですよ」
やっぱり私のことが好きなのか。安心したが、深夜目が覚めるとまた悩んでしまう。LINEの返事はまだだ。駆け引きって何? なんで駆け引きなんてするの? それで私がこんなに不安になっているなら、これは良い恋愛じゃないのかな。そうだ。もっとストレートに愛情表現して、私を大切にしてくれる人はいるはず。この人は運命の人じゃない。
「私たち合わないと思う。別れよう」
思い立ったが吉日。LINEを送るとスッキリした。次はいい恋愛をしよう。ああ幸せになりたい! 志桜里がこの1年8か月で付き合って別れた人数は7名。志桜里の運命の人探しはまだまだ続く。
【三松さんからのコメント】志桜里さん、「青い鳥症候群」はご存じでしょうか?
現実を見ることをしない。「もっとステキな人がいるはずだ」「今より自分に合った仕事があるわ」などと、根拠のない“理想”を探し続ける人のことを指す言葉です。
もっと良い恋人を、もっと裕福な未来をと求めるばかりの考え方は幸福度を下げます。常に不安。常に足りていない。ポジティブ思考とは違うのです。自分の意思で努力せず、幸せを待つのみのずるい生き方。
志桜里さんは、過去の恋愛に辛い思い出があるのかもしれません。辛い恋経験者は次の恋愛に臆病になるもの。でも傷ついたことで、得たものが必ずある。何かしらの教訓はあるはず。自分の反省点が見えたかもしれない。その教訓を生かして、占いではなく自分の力で、強固なパートナーシップを築く訓練を。身近なひとやモノをまずは丁寧に愛してみる。自分の意のままに。
心の訓練は筋トレと一緒です。まずは見える筋肉よりも見えないインナーマッスルをすこーしずつ鍛える。
「恋を自分でSTOPしちまうあなた。心の筋トレをするつもりで、まずは基幹を鍛えるんだ。占い師より、自分の中にいる自分の声を信じろ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。
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