cross talk interview 伊藤健太郎×玉城ティナ

2019年10月05日 09時00分

ライフスタイル michill

cross talk interview 伊藤健太郎×玉城ティナ

『別冊少年マガジン』(講談社)で連載され、TVアニメや舞台化もされてきた人気作品『惡の華』が9月27日(金)に劇場公開される。鬱屈とした青春と行き場のない衝動にもがく、思春期の中学生を演じた伊藤健太郎さんと玉城ティナさんに作品への想いや見どころを伺った。

Profile

衣装/(玉城ティナ) トップス 56,160円 LOKITHO(ALPINISME 03-6416-8845)、イヤリング 19,440円、リング 14,580円 ともにJUPITER(JUPITER代官山 03-5428-2815)

伊藤健太郎/1997年生まれ。モデルとして活動後、2014年にドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」にて俳優デビュー。映画「ルームロンダリング」、「コーヒーが冷めないうちに」などに出演。

玉城ティナ/1997年生まれ。ファッション誌「ViVi」(講談社)専属モデルを経て、2014年のドラマ「ダークシステム 恋の王座決定戦」で女優デビュー。11月には主演作「地獄少女」の公開も控える。

伊藤「自分の思春期を振り返るきっかけになれたら嬉しいです」
玉城「誰目線で見るかによって面白さが変わる 何度も観て楽しんでもらいたい」

玉城ティナが『うっせー、クソムシが!』と罵声を上げ、伊藤健太郎が憧れている女子のブルマの匂いをクンクン…。

公開に先立ち解禁された予告映像とティザービジュアルに衝撃を受けた人も多いのではないだろうか?

映画『惡の華』は、ボードレールの『惡の華』を心の拠り所にしている地方都市の中学2年生・春日高男がクラスのマドンナの体操着を盗んだことを問題児の仲村佐和に目撃され、そのことを秘密にする代わりにある「契約」を持ちかけられるというストーリー。次々と変態的な要求を突きつける仲村役を玉城ティナさん、その要求にアイデンティティを崩壊させながらももがいていく春日を伊藤健太郎さんが体当たりで演じている。

伊藤「監督からは、“ブルマのすべての分子を吸い取るくらいの嗅ぎ方をして欲しい”と指示されました(笑)。今回はまったく理解できないことも多くて、役作りは大変でした。最初は頭がパンクしそうになりました。」

玉城「でも、監督に“このシーン好きです”って話してましたよね(笑)。意外だったので印象に残っているんです。この作品のキャラが“伊藤健太郎”にはかけ離れてそうに思えたので、実際はちゃんと春日のことを理解して、リンクしている部分があるんだなって思いました。」

伊藤「僕の中にも変態な部分があるってことですよ(笑)。でも今回の作品に参加させて頂いて、変態はネガティブな意味じゃないって知りました。玉城さんもそうとう変態ですよ。例えば、今僕の目の前にあるお茶はただのお茶だけど、きっと彼女には別角度から違うものに見えていると思うんです。捉え方が違うというか。いい意味で変態なんです。」

玉城「あまり否定できないです(笑)。」

これまでも何度か共演してきたおふたりだが、この作品で距離がぐっと縮まったと話す。取材中も仲良くケラケラと笑う姿が印象的だ。

玉城「現場でもこんな感じでしたね。共演は今回で3度目なんですが、印象が変わりました。いい意味でおちゃらけてるなと(笑)。大変なシーンが続いても伊藤さんはいつも笑ってるんですよ。その姿に私としても疲れている姿は見せられないと頑張れたし、現場の雰囲気も明るくしてくれました。」

伊藤「僕は基本的にどんな現場でも笑うんです。けっこうデカめの声で。無意識にやっていたんですけど、この前テレビで“笑うと脳の細胞が活性化される”的なことが紹介されていて。あぁ、だから疲れないんだって(笑)。」

玉城「これまでは共演といっても同じ現場にいる程度であまり話す機会もなかったから、知らない一面でした。」

そこで、もしまた共演するとしたらどんな役を演じてみたいかを伺うと。

伊藤「玉城さんがヤバいサイコパス殺人鬼で、僕がそれを追いかける刑事役(笑)。」

玉城「ちょっと想像できちゃった。でも実は因縁のライバルなんでしょ?」

伊藤「そうそう、本当は“あれ?”みたいな お互い理解し合っているの。」

玉城「納得しちゃった(笑)。でももっと普通の会話もしてみたいなと思いました。今回は特徴的なセリフが多いので、ナチュラルな会話のやりとりをしてみたい。超普通の恋愛映画とか。」

確かに、今回の『惡の華』には特徴的で印象的なセリフがたくさん出てくる。中でも春日と仲村のふたりが憧れる、特別な者だけが辿り着くことができる境地『向こう側』。そこで、おふたりが行ってみたい『向こう側』を尋ねると。

伊藤「この仕事をさせて頂いている以上、色んな役をやりたいですし、かっこいいことを言うと海の向こう側へ行きたいですね。」

玉城「おー、決めましたね(笑)。なんかわかりますけどね。」

伊藤「これ、太字にしてくださいね(笑)。」

玉城「『海の向こう側に行きたい、オレは』って、見出しをつけてあげてください(笑)。私もまだまだやったことない役が多いので色々と挑戦したいですし、久々に本も作りたい。これまでも自分のプロデュースというか、自分のなりたい方向へ色んな方とコラボしてきたので、これからも自分で進む道を決めつつ、自分の足で切り開いて行きたいです。」

次から次へと出演作品が決まり、大忙しのお二人。自分の時間はあるのだろうか?

玉城「仕事場でたくさんの人に会うので、ひとりの時間は大事にしています。本を読んだり考え事ができる移動時間も好きですね。それに新幹線とかに乗ると、自分は座っているのに景色が変わって行くでしょ? あの感じが好きなんです。」

伊藤「ほらね、面白い見方するでしょ(笑)。僕が大事にしているのは地元。一番の親友がそこにいることが大きいです。そいつと一緒にいると仕事も忘れてフラットになれる。色んなことを1度リセットして、また明日頑張ろうと思えるんです。

最後に、“思春期を過ぎてしまった世代にも『惡の華』は楽しめますか?”といじわるな質問をしてみると、おふたりから『もちろん!』という答えが。

伊藤「思春期に出会う人や本、見た景色はその後の人生に影響していると思うんです。春日の場合は仲村さんに出会って、ボードレールに出会って、色んなことが起こって成長した。その姿を見ながら、自分のときはどうだったかな、こんな人と出会っていたらどう変わってたかな? と、想像しながら楽しんで欲しいです。」

玉城「大人の方も純粋に楽しめる作品だと思いますし、年齢的に去ってしまった時代の話でも、その時の気持ちはそのまま胸に残っていると思うんです。そこをチクリと刺激できればいいですね。誰目線で見るかによっても作品のおもしろさが変わって来ると思うので、何度も観て頂けたら嬉しいです。」

「惡の華」

(C)押見修造/講談社
(C)2019 映画『惡の華』製作委員会

原作/押見修造「惡の華」(講談社『別冊少年マガジン』)  
監督/井口昇 脚本/岡田麿里
出演/伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨/飯豊まりえ
公開/9月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他

TEXT/Satoko Nemoto
PHOTO/Hirohiko Eguchi(LinX)
Kentaro Ito : STYLING/Yuki Ikeda(Be Glad)HAIR&MAKE/Ryota
Tina Tamashiro : STYLING/Junya Hayashida(SIGNO)HAIR&MAKE/Izumi Okada(KiKi inc.)


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