こんなに苦しいなんて...向精神薬の減薬を始めたきっかけと今の思い

2019年04月02日 19時00分

ライフスタイル anan

10年ほど前、知人の勧めにより精神科を受診しました。そのとき明確な診断名はつきませんでしたが、いくつかの向精神薬を処方されました。「飲んだら気持ちが楽になる」。そう思って飲み続け、だんだん薬の種類や量が増えていきました。そんな私ですが、今は減薬を頑張っています。なぜ減薬しようと思ったのか。減薬している時はどのような状態なのか。少しでも多くの方に知ってほしく、この文をしたためています。

文・七海


向精神薬を飲み始めたときから、量が増えていくまで



当時の私は、自分がうつ病だと認めたくありませんでした。だけど、心身の不調は数年間続いていました。そんな時、身近な人に精神科を紹介してもらったのです。「優しい医師で、私の親戚も通っているから」と、そう言っていました。精神科は思ったよりも“普通”でした。待合室にはさまざまな人がいました。


保護者に付き添われている制服姿の学生、スーツ姿の男性、子どもを連れた女性、私の祖父母くらいの年齢の人。街中ですれ違うような人がたくさん座っていて、なんだか“安心”したのを覚えています。


診察室で何を喋ったのかはあまり覚えていません。心身のしんどさを具体的に伝えた記憶はなく、うつ病といった診断も特におりませんでした。「気分が楽になるから」と、数種類の薬を処方されました。それが、初めて向精神薬を手にしたときです。飲んでみると、ふわふわと浮かぶような感覚になりました。私の場合は、全能感があふれるような感じで、ひどく落ち込んだ気分のときも楽になりました。


それからその薬を飲み続けました。しかし、だんだん効いている感覚がなくなってきました。飲まないと焦燥感に駆られるようになり、冷や汗が出ました。薬の量が増え、手もとの薬がなくなったら病院に駆け込みました。そして追加の薬を出してもらい、新しい種類の薬も処方されました。こうして薬の量も種類も徐々に増えていきました。


私が減薬をしようと思ったきっかけ



精神科以外ではほとんど病院に行っていませんでしたが、お腹に激痛が走り動けなくなったときや、片目の視野が真っ暗になったとき。検査をしたほうが良いのではないかと思ったときに、病院に行ったのです。問診票には飲んでいる薬を書かなければなりませんでした。診察では、薬や精神状態について詳しく聞かれました。すると「薬の副作用だろう」「その症状は気のせいだ」と言われ、検査をしてもらえませんでした。腹痛を訴えたときは「気のせいだから痛み止めも必要ない」と言われました。


それまで私は、薬についてほとんど何も調べていませんでした。向精神薬を飲んでいると、精神疾患を持っていると、まともに取り合ってもらえないのかと疑問を抱きました。そして自分なりに薬について調べてみたのです。すると、私が飲んでいる薬のうちのいくつかは、依存性が非常に高く、海外では強く規制されているという情報が出てきたのです。


添付文書を読むと、「連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与する」「漫然とした継続投与による長期使用を避ける」などとありました。


背筋が凍るような思いがしました。それほどまでに依存性が高いと説明されただろうか。手もとの薬がなくなったとき、いつもすぐに新しく処方されたのはなぜだろうか。私は既にかなり依存しているのではないか。漫然と飲んでいる状態なのではないか。


書かれている副作用はさまざまでした。10年ほど飲み続けている私に、どんな副作用があってもおかしくありません。内科などで薬の副作用を疑われるのも、気のせいだと言われるのも、そんなにおかしくない話なのかもしれないと思いました。


定期的に血液検査しなければならない薬も飲んでいたのですが、私は一度も検査をしたことがありませんでした。検査が必要だということも知らされていなかったので、当時の主治医に聞きました。なぜ血液検査をしないのか、そして私は漫然と服薬している状態ではないのか、と。医師はほとんど無言で、血液検査については「忘れていた」のひと言でした。「人間だから忘れることもある」と。


私は減薬を決意しました。何かの症状で困った時、薬を飲んでいると真っ先に副作用を疑われてしまうこと。そして、単純にその薬の依存性が怖かったこと。一生この薬を飲み続けないと、私は生きていけないのか。薬に生かされているようだと思ったのです。


減薬のつらさは想像以上だった



精神科は変えました。薬物療法ばかりに頼らない病院を探しました。そうした病院であれば、減薬も理解してもらえると思ったからです。新しい病院では「減薬したほうが良い」とはっきり伝えられました。そして、「こんなに無茶な飲み方をしている患者は珍しい」とも。


私が飲んでいる薬には、離脱症状が現れることもあります。依存性のある薬を減量する際に出る症状です。人それぞれですが、幻覚や不眠、痙攣発作などは添付文書に記載されています。私の場合は、何よりも不安感が大きいです。そして、眠れない日もあります。


依存してしまっている薬を少しずつ減らし、より依存性の低い薬に置換していくという減薬方法を提案されました。数週間ほど新しい薬に置き換えてみたのですが、強い眠気に襲われました。1日のうち20時間ほど寝続けていることもあります。起きている間は始終ボーッとしていて、頭が働きません。思うように喋れず、ふらついて真っ直ぐ歩けません。


しかし、長時間寝ているので、ほとんど薬を飲まない日が続きました。薬を飲まないリズムが強制的にできあがったようです。ただ、新しい薬はあまりにもボーッとして、行動できません。このボーッとする感覚がなくなったとき、新しい薬にもまた依存するのではないかという恐怖心も抱きました。


主治医に相談して、減薬方法が固まりました。新しい薬は減薬の導入に使うことにしたのです。薬は徐々に減らしていかなければならないので、減らす段階の初期のみにその薬を飲みます。減らしたリズムができあがったら、その新しい薬は飲みません。


この減薬方法は私が主治医と話し合って決めたものなので、イレギュラーかもしれません。しかし、少しずつではあるものの、確実に減薬できています。私に合った減薬方法を見つけてくれる医師にかかれているので、いつかは必要な薬しか飲まないで良い生活ができるのだと希望を抱いています。



今まで私は、自分が健康でなくても良いと考えていました。だけど、前向きに生きたい。そう思えるようになったのです。


向精神薬を否定するつもりはありません。私自身、服用して助けられた部分があるのですから。しかし、漫然と飲み続けることには疑問を抱くようになりました。症状を良くしたいから、薬を飲んでいます。でも、不必要な量や種類を飲むことで依存性を高めるのはどうなんだろう。副作用の危険性を高めるのはどうなんだろう。他の症状で病院に行った時、門前払いされてしまうのはどうなんだろう。


薬とはうまく付き合いたいというのが今の気持ちです。無理な減薬・断薬は、心身に悪影響を与えます。自分の心や体と向き合いながら、不必要な薬を減らしていきたいと考えているところです。薬を減らしていくたびにしんどい思いをします。だけど、前向きに生きるために、私は減薬という道を選びました。その先に本当の幸せがあるのか分からないけれど、今は、選んだ道をゆっくり歩いていこうと思っています。




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