大阪場所で関脇復帰の若元春「左四つ」になる瞬間にぜひ注目して!

2024年03月11日 19時30分

エンタメ anan

現在、開催中の大相撲三月場所。今場所関脇に復帰した若元春関に、相撲のことはもちろん、大好きなプロレスのこと、親友・阿炎関とのことなど、いろいろ聞いてきました! 大阪に行く前のインタビューなので、本場所中は見られないリラックスモードで答えてもらっています。

大注目の若元春に密着インタビュー!


――まず初場所が終わった後、楽しかったことを教えてください。


プロレスを観に行ったことですかね! 時間が取れなくて普段、なかなか行けないので。


――プロレスがお好きなんですよね。いつも誰と観に行くんですか?


いちばんは兄(幕下・若隆元さん)ですかね。


――好きな選手は誰ですか?


言ったらキリがないんですけど、新日本プロレスのタイチ選手やスターダムの白川未奈選手はプライベートでも繋がりがあるので応援してます。プロレスは昔から好きなんですけど、選手の方と仲良くなったりして、さらに応援に熱が入るようになった感じですね。


――プロレスはいつから好きなんですか?


中学生くらいですかね。最初は日本のプロレスじゃなくて、アメリカのWWEが好きだったんです。向こうの選手って、まず体がすごく大きいので、そこに興味を引かれて、っていう感じでした。


――ご自分でもレスリングをやってみたいと思ったことはありますか。


いやー(笑)、その頃もう相撲をやってたんで…。でも、今でもそれは思ったりしますよ。そしてたまに、支度部屋で兄と「角界の中でプロレス界で人気が出そうなのは誰かな?」みたいなふざけた妄想話をしていたりします(笑)。


――誰が良さそうですか?


そのときはたしか、翠富士関って言ってたと思います。どちらかというと小柄なほうがいいのと、顔が整っているので花形の選手になりそう、とか言って(笑)。


――ところで子どもの頃のヒーローは誰ですか? やはりプロレスの選手?


プロレス選手もそうですけど…、やっぱりおじいちゃん(元小結・若葉山関)じゃないですかね。身近でスゴい人、っていうのがおじいちゃんだったから。小学生の頃は相撲に対してそんなに興味があるわけじゃなかったけど、実家のちゃんこ屋さんに化粧まわしが飾ってあったりするのを見て「カッコいいな」とは思ってました。


――あ、金色の獅子頭の化粧まわし。今、再現したものを着けられてますよね。


そう、同じデザインで作っていただいて。めちゃくちゃカッコ良くて気に入ってます。


――子どもの頃の夢はお相撲さんだったのですか?


そう言ってはいたんですけど、それはもう、言わされてたと言っても過言ではない(笑)。三兄弟の中で、相撲モチベは僕がいちばん低かったです。いちばん高かったのは渥(十両・若隆景関)かな。すごく負けず嫌いだし。


――若元春関は、ほかにやりたいことがあったんですか?


母親が美大を出ていてデザイン系の仕事をしていたので、美術系の仕事にも興味をもったりしてました。


――習い事はしていましたか?


相撲はずっとやりつつ、小学校卒業するまでは柔道もやってました。あと、公文もやってたんですけど、入って1か月で先生の家で兄弟げんかして、窓ガラスを割って出禁になったらしいです(笑)。ソフトボールもちょっとやったんですけど、僕のやる気がなさすぎて監督にすごく怒られてやめました(笑)。


――それでやっぱり相撲、ということになったんですね。「得意技は?」って聞かれたらなんて答えますか?


技じゃなくて良ければ、「左四つ(互いに相手の右腕と体の間に左手を差し込み組み合う体勢)」で、技だったら「うっちゃり」です。


――自分の相撲のどこをいちばん見てほしいと思いますか?


やっぱり左四つになる瞬間ですね。左四つになると力が出るので、なった瞬間に見ている人たちに「よし!」って思ってもらえるようなお相撲さんになりたいです。それを楽しみの一つにしてもらえたらいいな、と。


――今仲が良い力士はやっぱり阿炎関ですか?


そうですね! 昨日も一緒にもんじゃ焼きを食べました。あ、日付けをまたいだから今日も一緒でしたね(笑)。


――今までで忘れられない取り組みは?


阿炎に初めて勝ったときですね。僕のほうが先輩だけど出世が遅くて、ずっとハッパをかけられていたんです。アドバイスもいっぱいもらっていて。番付はやっと追いついてきても、なかなか勝てなかったんですよね。でも仲が良いからこそいちばん勝ちたくて。だからこそ初めて勝ったときはすごくうれしかったです。


――去年の三月場所でしたね。


勝ったほうが負けたほうに対して次の場所まで煽っていいことになっていて、初場所は僕が負けたので今煽られてます。昨日も「まあ、がんばれよ!」とか言われて(笑)。


――くやしいですね(笑)。


「くそー、絶対次勝つからな!」って言って(笑)。


――今、尊敬している人って誰ですか?


阿炎じゃないですかね。すごいなって思いますよ、やっぱり。


――阿炎関、どんなところがすごいですか?


やっぱりメンタルっすかね。どれだけ分が悪い勝負でも折れないというか。気持ちが強いです。そこが、自分が上位に上がれなかったときにいちばん足りなかったもので、阿炎がいろいろ教えてくれてたんです。すごく感謝してるし、尊敬してます。


――いい関係ですね!


尊敬している人、あとは弟(十両・若隆景関)ですね、今だったら。大ケガしてから十両に復帰するところを身近で見ていて、すごいなと思ってます。


――若隆景関、もうすっかり大丈夫なんですか?


そうっすね。この間、王鵬と阿炎が出稽古に来たんですけど、僕入れて3人ともボコボコにされて「めっちゃすげえじゃん、あいつ!」ってなりました(笑)。阿炎もびっくりしてました。


――自分の長所はどこですか?


引きずらないところですかね。ストレスもあまり溜まらないし。でもメンタルは強いほうじゃないんですよ。でもそのわりに引きずらないというか。そのあたりも阿炎に教わりました。


――メンタルが強くない、というのは?


ここ一番の勝負に強いわけでもないですし。プレッシャーみたいなものを感じちゃう性格なので。


――そういうプレッシャーに打ち勝つにはどうしたらいいんでしょうか。


打ち勝ったことないっすね(笑)。昔からそうなんですけど、(優勝や昇進など)何もかかっていない相撲のほうがのびのびとれます。何かかかっちゃうと本当、ダメっすね。


――では短所はなんですか?


集中力にムラがあることですね。でも集中力があるのはマンガ読んでるときだけっす(笑)。


――なんのマンガが好きなんですか?


今だったら『ヒロアカ』(僕のヒーローアカデミア)か『ダンジョン飯』です。この2つはずっと読んでて大好きです。


――今、いちばんの楽しみは?


娘の成長です。今、1歳9か月なんですけど、かわいいですね。今日もさっき、着物に着替えてたら出かけるのがバレで、僕の手を離さなくて…。なかなか一緒にいる時間が取れないんですけど、それだけにちょっとした成長を感じるとうれしいです。娘が小学校、中学校に上がって僕が授業参観に行ったときとかに、娘の友だちに「お父さん、カッコいいね!」って言ってもらえるようになりたいな、と思います。


――素敵ですね! では、生まれ変わったら何がしたいですか?


そこそこ稼げる仕事に就いて、新日本プロレスの追っかけがしたいです(笑)。


――自分の最大の敵は何だと思いますか?


「欲」ですね。あといくつ勝ったらもうひとつ上に上がれるとか、優勝するとかそういう欲が出ると、本当にダメですね。それを糧に強くなる人もいると思うんですけど。


――では最後に、大阪場所の目標をお願いします!


僕にとって最大の敵は「欲」なので、欲はかかずにしっかり一日一番、自分らしい相撲を取り切るというのを意識して、15日間戦いたいと思います。


――頑張ってください! ありがとうございました。


Profile


若元春 港●わかもとはる・みなと 1993年10月5日生まれ。福島県福島市出身。荒汐部屋所属。身長187cm、体重143kg。本名は大波 港。祖父と父も力士で、兄は幕下・若隆元、弟は十両・若隆景という相撲一家。角界で大人気の「大波三兄弟」の次男としても知られる。座右の銘は「泰然自若」。


著者情報

古屋美枝

取材・写真・文 古屋美枝

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2024年03月11日 19時30分

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