薬物から殺人依頼まで...史上最大の闇サイトを立ち上げた男が抱いた真の目的

2022年01月19日 19時00分

エンタメ anan

便利な反面、さまざまな危険も潜んでいるインターネット。いつ誰が巻き込まれてもおかしくない時代ですが、今回は“サイバー犯罪の先駆け”とも言えるある驚愕の実話を基にした話題のサスペンスをご紹介します。

『シルクロード.com―史上最大の闇サイト―』


【映画、ときどき私】 vol. 447


2011年、天才的な頭脳に恵まれたロス・ウルブリヒトは、自由な世界を求め、表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる闇サイト「シルクロード」を立ち上げる。瞬く間に熱狂的なブームを巻き起こし、1日の売り上げは1億円にも及んだ。すぐに警察にマークされるが、ロスは検索エンジンではヒットしないダークウェブと暗号通貨“ビットコイン”を駆使して身元がバレない強固なシステムを作り上げていた。


そんなロスを追う捜査官のなかにいたのは、はぐれ者の刑事リック・ボーデン。問題行動を起こし、麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ左遷されていた。アナログ全開で足手まといのリックだったが、独自の捜査でロスとの接触に成功する。一線を超えてしまった二人を待ちうける運命とは……。


ドラッグから殺人の依頼までが売買され、“闇のAmazon”などと呼ばれた史上最大のダークウェブの裏側に迫った本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。

ティラー・ラッセル監督


検察局で働いていた父親の影響で、子どもの頃から裁判所や刑務所、警察署に出入りしていたというラッセル監督。いまでは映画やテレビにおける犯罪というジャンルにおいて、重要な役割を果たす存在となっています。そこで、制作過程の秘話や自身の経験を通して感じたことなどについて、語っていただきました。


―さまざまな犯罪を調べているなかで、このシルクロード事件に興味を持ったきっかけから教えてください。


監督 まず、僕が犯罪モノを好きな理由からお話しすると、それは物語の形が非常にキレイであることです。キレイというのは、世界があって、犯罪が起き、そこから犯罪者と追手による展開があり、最後に法の裁きが下されるのかどうか、といった形のキレイさのこと。最終地点までまっすぐ進んでいく流れに魅力を感じています。


この事件について知ったのは、ある映画の撮影中にたまたま新聞で読んだ記事がきっかけでした。そのときのことはいまでも鮮明に覚えていますが、すぐに「これはいい映画になるに違いない」と直感したのです。何者がしたことで、シルクロードとは何なのかはっきりとはわかっていませんでしたが、とにかくいいものになりそうだなと。そこから、シルクロード関連の情報をむさぼるように調べ始め、「自分だったらどういうストーリーを描くかな?」といったことを頭のなかで考えながら進めていきました。

自分の経験を活かしながら、ロスの精神性に迫った


―監督は、実際のロス・ウルブリヒトにかつての自分を重ねていたそうですが、どのあたりがそう感じさせたのでしょうか。


監督 僕はフィクションもノンフィクションも手がけますが、どんな物語を紡ぐにしても、その渦中にいる当事者たちの視点から描くことを大事にしています。この作品でいうとロスとリックのいずれにも感情を揺さぶられましたが、特にロスには個人的に共感するところがありました。


というのも、僕も彼と同じテキサスに住んでいたことがありますし、ドラッグなどの軽犯罪に手を染めてしまったという似たバックグラウンドがありましたからね。ただ、僕の人生はロスのようにはならずに済んだので、彼の物語を見ていると、「もしかしたらあれは僕だったかもしれない」という感覚があるんだと思います。そういったこともあって、自分の経験を活かしながら、なるべく近い視点でロス・ウルブリヒトという人物の精神性に迫っていきたいという気持ちがありました。


―制作する過程で、実際にロス本人と会ってお話をしたことはありましたか?


監督 何度も手紙を書いて連絡を取ろうと試みましたが、この企画が始まったときはまだ判決が下っていなかったので、弁護士に止められてしまい、残念ながらそれは叶いませんでした。なので、その代わりに僕がしたのは、彼に関するあらゆる資料をあさること。彼がパソコンに残していた日記やペンネームを使って書いていたブログを読むことにしました。


あと、実はこの作品では、当時彼が付き合っていた恋人をコンサルタントとして雇っているんです。2人の関係性やロスの性格については彼女からじっくりと時間をかけて聞かせてもらい、彼の人物像を築き上げていきました。なので、フィクションではありますが、ドキュメンタリーを撮るときと同じ手法を用いて下調べをしています。

目指していたのは、事実に忠実であること


―なるほど。つまり、そのあたりはかなり真実に近いということですね。


監督 それから、ロスが声だけで語っているボイスオーバーの部分に関しては、彼の日記からそのまま取った文言を使っているので、そこにも彼自身の思いが反映されています。ちなみに、僕はいまでもロスに手紙を書き続けているので、もし会えるチャンスがあるのであれば、明日にでも飛んで行って彼に会いたいですね。この映画がどこまでリアルに描けているのかを彼に聞いてみたいと思っています。


―今回は、実際の事件をエンターテインメントとして見せるうえで、どういった意識をされていたのかをお聞かせください。


監督 「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるように、事実ほど驚くストーリーはないと考えています。どうしてもわからないところは下調べした結果から推測して“穴”を埋めていますが、目指していたのは事実に忠実でありながら、観客が登場人物を応援したくなったり、怖く感じたりするようなバランス。


それはまさに宙づりにされたロープを歩くような難しいバランス感覚でしたが、人物の精神性をなるべくリアルに感じてもらえたらいいかなと。それをどのように受け止めたのかは、観客のみなさんにお尋ねしたいところです。

犯罪事件には、毎回驚きが絶えない


―この事件から私たちが学ぶべきことがあるとすれば、どのようなことが挙げられますか?


監督 まずは、おもしろい観点のひとつとして見ていただくのがいいかなと思います。たとえば、シルクロードがなければ、ビットコインのようなものがこれだけ世の中で一般化されることはなかったでしょうからね。ある意味では、ビットコインの起源ストーリーであると言えるのではないでしょうか。こういったものは、意外とブラックマーケットやアンダーグラウンドから始まることも多くあるので、これもそのひとつの例だと思います。


いまはさまざまな犯罪やいろいろな危険が世の中にはびこっているわけですが、いつそれが自分にも降りかかってくるかはわからないですよね。家を出た途端に事件に巻き込まれることもあるでしょうし、テクノロジーが発展した現代ではパソコンや携帯を開いただけでそういった危険性にぶち当たることもありますから。そういう意味で危険性は高まっていると言えますが、犯罪の危険性や誘惑というのは、昔からさほど変わらないものだとも思っています。


―監督は数多くの犯罪事件を調べていらっしゃいますが、何か監督を惹きつけているのでしょうか。


監督 正直言って、毎回驚きが絶えませんね。こういった犯罪捜査に関わる警察官や犯罪者というのは、仕事で生死の境をさまようことのない我々には想像できないようなものすごい緊迫感のなかで日々を生きているわけですから。だからこそ、私たちを引き込むようなストーリーがあり、僕もそれを語りたくなるんだと思います。

日本で仕事をしたのは、すごくいい経験だった


―まもなく日本での公開を迎えますが、何か日本にまつわるエピソードがあれば、教えてください。


監督 実は、まだフィルムメイカーとして駆け出しだった若いころに、あるテレビ番組を制作するために大阪で仕事をしていたことがありました。そのときの経験がすごくよかったので、一緒に働いた人たちとはいまでも付き合いがあるほど。そういった個人的な思いもあるので、この作品を日本で公開できることをとても誇りに感じていますし、非常にうれしいです。


―日本でお仕事をされていたことがあったとは驚きです。


監督 ちなみに、影響を受けている監督について話をするとすれば、それは是枝裕和監督ですね。いま現役で活躍している監督のなかでも、世界最高峰だと感じているので、僕もいつか是枝監督と同じレベルの作品を作れるようになりたいと考えています。


―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。


監督 本作では、非常に有能な若者が世界を変えたいという夢を持ってウェブサイトを設立したものの、たちまち怪物を化していく様子とそれを追う捜査官との物語が展開されています。僕にとっては非常にパーソナルな話として響いたテーマなので、ぜひ観客のみなさんにも楽しんでいただきたいです。

闇へと堕ちていく男たちの運命とは?


世界を揺るがせた闇サイトを作り上げた天才サイバー犯罪者とパソコンも使えないアナログ人間の捜査官との刺激的な攻防を描いた本作。目が離せないスリリングな展開とその裏に隠されたそれぞれの葛藤に、思わず誰もが釘付けになってしまうはずです。

取材、文・志村昌美

スリル満点の予告編はこちら!


作品情報

『シルクロード.com―史上最大の闇サイト―』

1月21日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

配給:ショウゲート


©2020 SILK ROAD MOVIE, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

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