吉田羊「今まで感じたことがない体験」 意外!? 初のシェイクスピア劇に挑む

2021年10月12日 22時10分

エンタメ anan

パルコ・プロデュース 2021『ジュリアス・シーザー』は、女性キャストたちだけで描かれるシェイクスピア劇。その見どころを吉田羊さんに聞きました。

意外にも、シェイクスピア劇への出演は初めてだという吉田羊さん。


「観客として観るシェイクスピアって難解で、途中でセリフを聞き逃すと置いていかれてしまうんですよね。役者としては、舞台上の俳優の胆力とパッションに圧倒されるのだけど、それをどう楽しんでいいかわからない。でも、今思えば、自分と関係のないものだと決めつけて、その魅力に向き合おうとしてこなかっただけなのかなと感じています」


というのも、今回初タッグとなる森新太郎さんの演出を受けて、これまで抱いてきたシェイクスピア戯曲のイメージがガラッと変わったそう。


「森さんは演出するうえで、英語の原典を引用されるんです。たとえば、同じ“自由”という言葉でも、自ら闘って得ていく“liberty”と人間がもともと持っている権利としての“freedom”では、ニュアンスが違いますよね。そういう言葉ひとつひとつを読み解いて、シェイクスピアが表現しようとする真意を理解して演じさせようとしてくださる。ひとつひとつに時間をかけるので、稽古が始まって10日ほどですが、まだ本読み段階(笑)。それでも、シェイクスピアで大事なのは言葉で、役者同士が言葉という武器を手に戦う作品ですから、着実に理解は深まっていると思います」


森さんの稽古は声を荒げることなく淡々と快活に、でも何度も何度も何度も同じ場面を繰り返すスタイル。


「98点では満足しない方なんですよね。だから100点が出るまで何度も繰り返すんです。でもそれって、役者を信頼してくれているからで、だからこっちも食らいついていけるんです。何より森さん自身がおもちゃを与えられた子供みたいに、誰より稽古を楽しんでいますから。あと、演出するときに用いる比喩の表現が本当に面白くて」


そんな森さんからは、「役の感情に流されないように」ということも。


「今回は、言葉を伝えることを重視しているため、感情を作るのは大事だけれど、流されずに言葉をしっかり相手に投げていく訓練をしています。これまで、『セリフを歌うな』というダメ出しはされてきましたが、今回は逆。言葉のリズムが音楽の旋律のようで、口にするうち自然に体に馴染んで気持ちよくなっていく。今まで感じたことがない体験です」


舞台『ジュリアス・シーザー』は、共和制ローマの最高実力者・シーザーの暗殺を巡る権力闘争と愛憎の物語。吉田さんはシーザーの親友ながら、暗殺に力を貸すことになるブルータス役。なんと今作は、すべての役が女性キャストによって上演される。シェイクスピアの時代の上演スタイルを踏襲して全役男性で演じられることはときどきあるが、オールフィメールは珍しい試み。


「最初こそ俺という一人称に違和感がありましたけど(笑)、戯曲の中の性別を固定するようなセリフは今回ほぼカットされていますし、性別を超えた人間の物語として観ていただけるんじゃないでしょうか。ジェンダーレスが声高に叫ばれる昨今ですが、根本にあるのは、性別で人間をはかるなってことだと思うんです。どんな感情も人間が等しく持つもので、性別によって区別されるものではない。この作品を通じて、そういうメッセージを発信できたらと思うし、そういう意味でまさに今やるにふさわしい作品ですよね」


嫉妬や欲が渦巻く中で、ブルータスは「私利私欲がなくて、誠実だと誰もが評する人物」。


「人望が厚く優しいけれど、ここぞというときに詰めが甘くて、その優しさが自分の首を絞めていく。そんな人間味のあるブルータスをお見せしたいと思っています」


近年の吉田さんといえば、ジェーン・スーさんのエッセイをドラマ化した『生きるとか死ぬとか父親とか』や、異色の設定で話題を呼んだドラマ『きれいのくに』など、ひと癖ある作品に出演している印象が。


「脚本、演出家、企画…判断基準はいろいろありますが、基本的にやりたいかやりたくないかの直感です。お芝居って心なので、自分が面白いと思って取り組めないと伝わってしまう。だからこそ心を大事に作品を選んでいきたいなと思うんです」


ならば今回の舞台、出演を決めた最大のポイントはどこですか?


「優先順位をつけるのは難しいですが、一番はPARCO劇場かな。選ばれた俳優しか出られない劇場のイメージ。長く小劇場で演劇をやってきて、あそこに呼ばれるようになりたいと奮闘してきたので、成功させるぞという思いで臨みます」



共和制末期のローマ。次々と戦果を挙げ権力を増大化させていくシーザー(シルビア)の存在を危ぶんだキャシアス(松本)。ブルータス(吉田)を仲間に引き入れ、シーザーを暗殺する。その知らせを聞いたアントニー(松井)は…。10月10日(日)~31日(日) 渋谷・PARCO劇場 作/ウィリアム・シェイクスピア 演出/森新太郎 出演/吉田羊、松井玲奈、松本紀保、シルビア・グラブ、三田和代ほか 全席指定1万1000円ほか パルコステージ TEL:03・3477・5858 大阪、山形、福島、宮城、富山、愛知公演あり。


よしだ・よう 福岡県出身。舞台を中心に活動する中、2009 年の『returns』や‘11年の『国民の映画』などの三谷幸喜演出舞台に出演し注目を集める。最近の出演作にドラマ『恋する母たち』など。


ブラウス¥75,900  スカート¥86,900 ピアス¥26,400(以上sacai TEL:03・6418・5977)


※『anan』2021年10月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・梅山弘子 ヘア&メイク・井手真紗子 インタビュー、文・望月リサ


(by anan編集部)

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