声優の梶裕貴が「AIとの恋愛はアリ」と語る理由

2020年05月13日 19時00分

エンタメ anan

日に日に需要が高まり、私たちの日常生活にもさまざまな形で影響を与え始めているAI。数年後には、想像もつかないような進歩を見せている可能性がありますが、まさにそんな姿を描いている新ドラマが『ぴぷる~AIと結婚生活はじめました』です。そこで、AIと結婚できるようになった近未来を舞台にした話題作で、主演を務めたこちらの方にお話を伺ってきました。

写真・角戸菜摘(梶裕貴)


声優の梶裕貴さん!


【映画、ときどき私】 vol. 302


アニメ『進撃の巨⼈』や『七つの⼤罪』をはじめ、数々のヒット作に出演し、高い人気を誇っている梶さん。本作では、美少女AIを妻として迎え入れる主人公の摘⽊健⼀を演じています。すでに小説『ぴぷる』のオーディオドラマ版でも同じ役を演じている梶さんに、実写版の現場で感じたことや結婚生活に対する思いなどを語っていただきました。


―まずは、本作で実写になると決まったときのお気持ちはいかがでしたか?


梶さん 小説と連動して企画されたWEBドラマ「耳で楽しむ小説『ぴぷる』の収録時に、スタッフのみなさんと「いつか続編やアニメができたらいいですね」という話をするなかで、冗談まじりに「実写になってもぜひお願いします」と言われていたのですが…まさかそれが実現するとは思っておらず、喜びと同時にとても驚きました。(笑)


原作をはじめて読んだときから摘木には共感する部分がありましたし、一度演じさせていただいた役を、普段の声の仕事とはまた違った場所で再び演じられる機会をいただけたことも、魅力的でありがたいことだと感じています。


―実写の連続ドラマで初主演となったことへのプレッシャーはありませんでしたか?


梶さん 共演者の方々に比べて、映像におけるお芝居の経験値が圧倒的に少ない自分が主演を務めさせていただきつつ…役どころとしても、主人公として作品の軸にならなければいけないことへのハードルの高さを感じてました。


でも、実際にクランクインしてみれば、本当に素晴らしいチームで、そんなことはまったくの杞憂だったなと。お互いに“助けている”とか“助けられている”という感覚ではなく、皆が常に同じ方向を向いて作品づくりをすることができていたと思います。「この座組でやれたからこそ完走できた」というのは大きいですね。

声優とは違う難しさとおもしろさを感じた


―すでに声では演じられた役ですが、実際にご自身で演じてみた感想を教えてください。


梶さん 映像でのお芝居経験は過去にもあり、そのときにも、声優の表現とは違った難しさとおもしろさの両面を感じていました。なので今回も、あらためて“演じる”という意味では、基本的には同じ構造なんだなと感じました。


ただ、決定的に違うのはアウトプットの仕方。アニメでも吹き替えでも、声優の仕事では、キャラクターたちが画面の中で既にお芝居をしてくれているわけです。なので、そのうえで足し算するのか、引き算するのか、といった専門的なテクニックが必要となってくると思うんです。


いっぽう実写では、声を発さずとも、目線や少しの表情変化などで感情を伝えることができるので、そういった意味ではまったく別物だなとも感じましたね。難しくもあり、でも、そこで「自分に何ができるのか」「こうしたほうがいいのかな」と考えるのが楽しかったです。


―それを受けて、声優の現場で新たに気づくこともあったのでは?


梶さん 撮影中も声優業は同時進行で行われていたこともあり、だからこそ、あらためて、声の現場は自分にとってのホームなんだなと感じることができました。それは経験値やコミュニティが確立しているから、というのが大きいとは思うのですが…映像や舞台の現場から帰ってくると、その安心感からか、「ここでなら俺は何でも自由にできる気がする!」みたいな感覚にすらなりましたね。(笑)


撮影は大変でしたが、すごく楽しかったですし、とても勉強になりました。そして「自分にとって声優という仕事がどういった存在なのか」ということを改めて考える機会にもなったのかなと。同時に“声優としての表現”に対する愛があることにも気がつくことができました。

共感する部分も多いキャラクターだった


―摘木に共感するところもあったそうですが、どのあたりでしょうか?


梶さん かなり攻めている部分もある役なので…共感できると言うと、「コイツ、大丈夫か?」と思われそうで少し心配です(笑)。情けなかったり、醜かったり、恥ずかしかったり…というような印象も持たれてしまうような人物ではありますからね。


でも、だからこそ好きなんです。「誰にでもこういう部分あるよね?」といったような、人間らしいところがたくさんある人物。最終的には応援したくなるようなキャラクターだと感じていただけるかと思っています。


冒頭は特に衝撃的なシチュエーションやセリフが多いので、もしかすると驚かれる方もいらっしゃるかもしれないですが、ぜひ最後までご覧いただいたうえで判断していただきたいなと思います。キレイな部分だけじゃないキャラクターだからこそ、僕は演じていて楽しかったですね。


―あとは、同世代であるということも大きかったのかもしれないですね。


梶さん そうですね。僕としては“30代前半の男性”という自分に近い年齢であったことも、無理なくお芝居に入れた要因だと思います。声のお仕事では、普段からよく10代や20代のキャラクターも演じていますけど…さすがに映像ではその世代は難しいでしょうからね(笑)。


―今回演じるうえで、梶さんから出したアイディアはありましたか?


梶さん 監督からの強い要望があった部分もあれば、僕が提案したもので「おもしろいですね」と採用していただけたところもあったので、すごくありがたい環境でお芝居ができていたと思います。


とはいえ、そもそもほとんどの方が、僕が実写でどういうお芝居をするのか想像もついていないでしょうからね。(笑)実際、僕自身も自分を客観的に見ることがあまりないので、映像を見たときの違和感や恥ずかしさはまだあったりします。

結婚生活では“不完全さ”も楽しみたい


―ちなみに、昨年ご結婚されたことによって、既婚者の役に対する見方が変わった部分もありましたか?


梶さん 共通項はありつつも、やはり僕と摘木は別人なので、それはなかったですね。あくまでも、役としての感覚しかなかったです。


―では、テーマになっているAIとの恋愛はアリ? それともナシ?


梶さん 今回、摘木を演じさせていただく上で、ぴぷるに対して家族のような愛情を持って接していたからというのもありますけど…この作品世界において、という意味でなら、全然アリだと思います。ただAIには、人間だからこその“曖昧さ”みたいなものがないので、AIが下す結論や判断が、ときにどこか悲しく感じられてしまう部分はあるんだろうなと思います。これは決して悪い意味ではなく。…結末までご覧いただければご理解いただけると思います。(笑)


その辺りが、未だにAIと人間の間に存在する溝であり、これから先、どれだけ進化していったとしてもなかなか難しいところなのかなと思います。実際、人間のそんな“曖昧さ”に、尊さや美しさを感じられる瞬間もあるわけで。AIは相手にとって「必要なこと」…ベストだと判断したことを確実に選んでくれるかもしれませんが…人間は「必要なこと」を突きつけられるよりも、もしかすると「望んでいること」を、誰かと一緒に達成できたほうが幸せなこともあるような気がしていて。


―もし梶さんがAIで奥さんを作るとしたら、搭載したい機能はありますか?


梶さん なんだろう……。でも、僕にはすでに妻がいるので、妻で十分です(笑)。


―素敵ですね。ということは、まさに理想通りの奥さまという感じですか?


梶さん 妻も人間ですから、全部がベストかと言ったら当然そうではないところもありますが、でもだからこそ、そんな“不完全さ”も愛せるような人間でありたいですね。もちろん、ぶつかることもありますけど、ぶつかるからこそわかることもありますし、それが学びなのかなと。


それは家族だけでなく、友達との関係でも言えることじゃないかなと。そういう本音でぶつかりあうことがないと、どんどん小さい人間になってしまうんじゃないかなと、今感じています。

人として大事にしたいのは相手を察する心


―結婚してから、自分が変わったなと思うこともありますか?


梶さん それは時間が経ってみないとわからないことかもしれないですし、もしかしたら自分ではわからないことかもしれません。でも、たとえ自分でその変化に気がつけなかったとしても、相手にとって、相手のご家族にとって、恥ずかしくない人間でありたいという向上心は持っていたいです。


―結婚してよかったなと思う瞬間はどんなときですか?


梶さん 違う価値観を目の当たりにして、自分の不完全さを突きつけられる瞬間がショックでもあり、楽しくもありますね。(笑)まあ、他にもたくさんありますけど、まだまだ初心者なので、これからもっと感じていくことかなと思います。


―では、ご自身が人とコミュニケーションを取るうえで大事にしていることがあれば、教えてください。


梶さん そうですね…。たとえば、友達が恋愛相談をしてきたとします。AIはうまくいく確率が0%だったら、きっと「別れなさい」とか「あきらめなさい」と判断をしてしまうかもしれない。でも僕は、その友達自身がどうしたいか、という気持ちを大事にしたいです。好きだという感情を伝えたい友達がいるなら、応援したいんです。人間である以上、“結果”だけでなく“過程”も大切にしたいですよね。


―大切なことですよね。本作の舞台は2030年ですが、10年後の自分に対する理想はありますか?


梶さん 24歳から今現在の34歳までの時間は、自分の人生において本当に大きな意味を持つ10年間でした。ガムシャラに、なりふり構わずにやってきたからこそ得られた濃さが間違いなくそこにはあるので、自分としてはとても充実していた時間に感じています。だからこそ、この先の10年間も、失敗や反省することがあったとしても、振り返ったときに、すべてひっくるめて「充実していたと」思えるような時間にしたいですね。


時の流れは年齢とともにどんどん早く感じていくものですし、何も考えずにいたら、きっとあっという間に10年経ってしまうでしょう。30歳になる少し手前くらいから、自分のなかに何か焦りみたいなものを感じはじめてもいたので、「こうなれたらいいな」だけではなく「こうなっていくんだ」という信念をしっかり持って、後悔しないような生き方をしていきたいです。


いまだに悔しい思いをすることはたくさんありますが…下積み時代からひとつひとつ階段を上がり、いろいろな出会いがあって、そのご縁の積み重ねがあったからこそ今があるんだと感じています。

役者として何ができるのかを考え続けて挑んだ


―それでは、最後にメッセージをお願いします。


梶さん 今回の連ドラ主演という機会は、間違いなく、自分にとって新たなステージとなりました。声優として、役者として何ができるのかということを考え続けて挑んだ作品です。“声優が実写作品に参加している”のではなく“この作品に必要な役者として出演している”という意識で臨ませていただきました。…まあ、そんな難しいことはさておき!(笑)とにもかくにも、最後まで欠かさずご覧いただけることを祈っております!


インタビューを終えてみて……。

声が素敵なのはもちろんのこと、柔らかいオーラを放っていた梶さん。結婚生活について話すときの優しい笑顔が印象的でした。ぜひ、実写版ならではのお芝居や梶さんの役者としての魅力を本作で堪能してください!

新しい愛の形を教えてくれる!


将来的には、ありえるかもしれないAIとの結婚生活を描いたSFヒューマンコメディ。進化するAIとの関係性を通じて、人間らしさや人との向き合い方も考えさせられる作品です。とはいえ、AIとの結婚も意外と悪くないのかも!?

ストーリー


2030年、人間はAIと結婚できるようになっていた。イキリオタクのアラサー男子・摘木健一は、長年片想いしていた会社の先輩とのデートに失敗し、そのショックから性交渉機能を搭載している美少女AIを購入。「ぴぷる」と名付け、妻として迎え入れるのだった。


ところが、結婚初夜になぜか夜の営みを拒絶されてしまう。そこで、開発元を訪ねた摘木は、ミステリアスなAI研究者の女性・深山楓と出会い、自身による初期設定に問題があったことを知る。設定変更できない代わりに、深山はある驚きの提案を摘木にすることに……。

ドキドキする予告編はこちら!


作品情報

WOWOWオリジナルドラマ『ぴぷる~AIと結婚生活はじめました~』

5月18日(月)よりスタート(全8話)

[初回2話連続放送・第1話のみ無料放送]

毎週月曜 深夜0時よりWOWOWプライムにて放送

出演:梶裕貴 アヤカ・ウィルソン 大原櫻子

忍成修吾 山田悠介  / 臼田あさ美  濱田マリ

©2020ドラマ「ぴぷる」製作委員会

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2020年05月13日 19時00分

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