なんかドキドキ…新生活の不安な心が前向きになれるお話

2018年04月05日 20時00分

エンタメ anan

この春の話題作『ワンダーストラック』!


【映画、ときどき私】 vol. 152


1977年、ミネソタ。母親を交通事故で亡くし、伯母の家で暮らすこととなった少年ベン。父親とは一度も会ったことはなく、しかも母は名前すら教えてくれなかった。ところがある夜、母の遺品から父親の手がかりとなるものを発見。落雷事故によってベンは耳が聞こえなくなってしまうものの、父を探すためにひとりでニューヨークへと向かうことに。

1927年、ニュージャージー。生まれつき耳の聞こえない少女ローズ。母親はおらず、厳しい父親によって育てられていた。そしてある日、ローズは心の支えでもある憧れの女優リリアンがニューヨークの舞台に出演すると知り、ひとりでニューヨークへと旅立つのだった。新たな一歩を踏み出したベンとローズを結ぶ謎の絆とは……?


そこで今回は本作の監督を務め、「新境地にして最高傑作」といわれるほどの注目を集めているこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。

ハリウッドの名匠トッド・ヘインズ監督!


『アイム・ノット・ゼア』や『キャロル』など、これまでも国際的に高い評価を得ているヘインズ監督。約20年ぶりとなる来日で、この作品の撮影秘話や自らの思いを語ってもらいました。

監督にとっては初めて子どもを主人公に迎えた作品となりましたが、意識したことは?

監督 そもそも本作の原作者であり脚本も手掛けたブライアン・セルズニックが、若くて幼い子どもたちのマインドを心からリスペクトしているんだ。つまり子どもたちがどんなに大きな挑戦でも、大人から見ても怖いような状況でも向き合って前に進んでいく、そうやって自分の人生を歩んでいくことができるという彼らの力をきちんと描いているんだよね。


2人の子どもが聴覚を失ったなかでもそれぞれの人生を突き進んでいくんだけど、それだけではなくて、50年という時を隔てた形で物語が展開していくというコンセプトもすごく美しいなと惹かれたところなんだ。それに、この物語を描くためには、セリフ以外の”言語”をたくさん持ち合わせている映画というメディアが必要なんじゃないかというふうにも感じたからなんだよ。


本作ではニューヨークが舞台の中心となりましたが、監督自身にも思い出があれば教えてください。

監督 僕が初めてニューヨークに行ったのは9歳のときで、祖父母と一緒だったんだ。ロス育ちだった自分にとって、当時の大都市といえばニューヨークやサンフランシスコだったから、とにかくスリリングでワクワクしていたよ。ビジネスマンやいろいろな人が足早にぶつかったりして、すべてがものすごいスピードで動いているなという印象を受けたね。


あとは、やっぱりタクシーかな。乱暴な運転と何百万人が座ったんだろうというレザーの匂いとかね(笑)。でも、本当に生命力や人、アクションにあふれている街だと感じたよ。


では、そういうところも作品には反映させていましたか?

監督 そうだね。もちろん反映しているけれど、自分が子どものときに体験したニューヨークと今回のベンとでは体験の仕方にずいぶん違いがあるよね。というのも、ベンにはちゃんとミッションがあって、ものすごい覚悟と強さを持って突き進んでいるからなんだ。


僕みたいに車やスピード感がどうのこうのということに目が行っているのではなく、答えを求めてそこに到達するためにまい進しているわけで、そこが物語としてはおもしろいと思うんだよね。実はローズにも同じようなところがあって、自分の気持ちを止めることができないんだけど、逆に言えば、それが子どものときならではの資質というか、ひとつ決めたらそこにまっすぐ行くというものを反映しているように思うよ。

今回の見どころといえば、何と言っても子どもたちのみずみずしい演技。本作に登場するのは、天才子役といわれているベン役のオークス・フェグリーくん(写真・左)とベンと親しくなる少年ジェイミー役ジェイデン・マイケルくん(写真・右)、そしてこの作品に欠かせないのはローズ役のミリセント・シモンズちゃん(写真・下)。


彼女だけは実際に聴覚障害を持っているようですが、キャスティングした決め手は何でしたか?

監督 全米の聴覚障害者の子どもからオーディションテープを送ってもらっていて、そのなかにミリーがいたんだけど、彼女はあるフリップを持って映っていたんだ。そこには、「私についての2つのこと。1、私は家族をとても愛しています。2、私は耳が聞こえないことが大好きです。手話は最高でとても美しいものなのよ」と書いてあったんだよ。


テープのなかでは、この内容を手話でもやってくれていたんだけど、ミリー自身が感じていることを体でどう表現しているのか、というのをこの目で見ることができたんだ。そのときにあふれる生命力や彼女の持つ強さみたいなものをすごく感じて、「ああ、特別な子に巡り合えた!」とひとめぼれしたんだよね。そのときは助監督と一緒にいたんだけど、普段はまったく感情を顔に出さない彼がそれを見て泣いていたくらいなんだよ(笑)!


ということは、すぐに彼女で決定したのですか?

監督 とはいえ、オーディションテープを見ただけでは、映画作りというプロセスをちゃんと乗り切ってもらえるのか、他の役者と並んだときに負けないか、そしてカメラが回っているという状況で果たして演技ができるのかということは未知数だったんだ。


でも、彼女とオーディションをやっていくなかで、なるべく客観的に見るようにしていたら、どんどん彼女の強さというものを感じることができて驚かされたよ。本人はエネルギーがあふれている女の子なんだけど、カメラに映るときはものすごい落ち着きと存在感を持っているんだ。それは経験値のあるプロの役者さんにもめずらしい資質。


彼女は役者としては新人で、子どもで、しかも聴覚障害を持っているのに本当にすごいと思ったよ。当代随一の女優であり、共演者でもあるジュリアン・ムーアも「ミリーは奇跡ね」と言っていたくらいなんだ。


撮影中の子どもたちの様子はいかがでしたか?

監督 実はちょっとしたエピソードがあって、撮影しているときにミリーとジェイデンの間に少し恋が生まれていたんだ。それで、撮影中の週末にお互いの両親と一緒に遊園地へ遊びに行ったんだけど、アトラクションの列に並んでいたら、なんと2人の後ろにオークスも並んでたんだって(笑)。別にオークスはデートの邪魔をしたわけではなくて、すごい偶然だねって喜んだみたいだけどね。


劇中で3人が同じシーンはないんだけど、現場ではみんないつも一緒で、特にジェイデンは手話を本当に学んでいてすごく上手だったんだよ。オークスも手話ができるから、それでコミュニケーションを取っていたみたいなんだ。

今回、聴覚障害を体験するために、ノイズキャンセリングヘッドフォンをつけてニューヨークの街を歩いたというオークスくんと監督。

その体験が作品を作るうえで活かされたところはどんなところですか?

監督 いまでもくっきりとはっきりと覚えているくらい思い出深い経験だったよ。雑多なニューヨークの街のなかで自分の見ている情報というのが視覚に直結してみえるような感覚だったんだ。それから嗅覚とか触覚とかの感覚が鋭くなっているなというのもあったよ。


とはいえ、健常者が3時間くらいヘッドホンをして「ほかの感覚が鋭くなってね」というのは簡単なんだけど、本当にそういう感覚を味わったし、ほかのものから隔離されているような感じもあったんだよね。


だから、それを映像で表現するときには、たとえばベンが何かを見ているシーンなら、通常なら全体的に焦点を合わせていたものを、前景と背景が多少ぼやけていてもいいから彼が見ているものだけに焦点を当てるようにしたんだ。あとは、バスのなかで聞こえてくる人の声も奇妙な音にしているんだけど、それも自分たちが聞いたのと近いものにしたんだよ。


劇中ではオスカー・ワイルドの名言が壁に貼ってありますが、監督にとって大事な言葉があれば教えてください。

監督 僕も書斎の壁にはいろいろなものを貼っていて、たとえばデヴィッド・ボウイが亡くなったときの素晴らしい記事とか、いま温めている企画がフロイトについてだからその資料とか、あとは『キャロル』のものもまだあったりするよ。ただ、何かひとつのモットーや誰かの名言みたいなのは特にないかな。でも、きっと1時間後くらいに「ああ言っておけばよかった!」って思い出すのかもしれないね(笑)。

迷える大人たちにこそ広がる感動!


小さな体にも関わらず、大きな一歩を踏み出す子どもたち。その力強い姿からは、人生でどんな壁にぶつかったとしても、乗り越える力は誰にでもあることを教えてくれるはず。新生活を迎えたばかりで不安な気持ちを抱えているなら、子どもたちの勇気に背中を押されてみては?

心に響く予告編はこちら!

作品情報

『ワンダーストラック』

4 月 6 日(金)、 角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマント ラストシネマ渋谷他全国ロードショー

配給:KADOKAWA

PHOTO : Mary Cybulski

© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

大人になると子どもの見本になるような存在でいなければいけないと思いがちですが、実際は大人でも子どもたちから学ぶことは多いもの。そこで、今回は自らの力で道を切り開こうとする子どもたちを描いた映画をご紹介します。それは……。
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