症状が出ては消え、出ては消え...20代女性に急増中の「梅毒」とは?

2023年08月22日 20時00分

ビューティー anan

あまり自分ごととして考える機会がない性感染症ですが、この数年、特に若い世代の女子に大流行中…。20代女性に急増中の梅毒ってどんな病気?

性感染症の「梅毒」が流行中。正しい知識を味方につけて。


1967年以降減少していた性感染症の梅毒。しかし一転、2011年からは増加傾向にあり、’19年から’20年にかけていったんは減少したものの、再び増加。昨年の報告件数は1万件を超えた。とくに女性は20代で突出して感染者が多いので注意が必要だ。


梅毒は、主にセックスやオーラルセックスなどにより、口や性器などの粘膜や皮膚から感染。感染すると性器や口の中にしこり、手のひらや体中に発疹ができる。治療せず放置してしまうと、数年~数十年後には血管や神経の障害など全身に多様な症状をきたし、時には死に至ることも。ただ、コンドームを正しく使えば感染リスクを減らせるほか、早期治療で治癒できるので、必要以上に恐れず、適切な対応をとることが大切。



※2021年は、第1~52週2022年10月8日時点集計値(暫定値)、2022年は第1~44週2022年11月9日時点集計値の報告を対象。厚生労働省のホームページを元に作成。2023年7月27日現在。


コロナ禍を経て世界的に大流行。日本でも今年は2万人を超える予測。


ここ数年、急激に感染が広がっているといわれるのが梅毒。


「挿入だけでなく、キスやオーラルセックスでもうつる性感染症で、“梅毒トレポネーマ”という細菌が原因。かつては“男性の病気”という印象が強かったのですが、2013年頃から若い女性に増え始め、コロナ禍を経てさらに増加。’22年は1万件を超えたという報告があり、今年はそれを上回ると予測されています。医療機関からの報告漏れを含めると、その4倍以上いるのでは、といわれています」(産婦人科専門医・川名敬先生)


男性は20~50代の層に感染が広がっているが、女性の場合、20代が突出して多いとのこと。読者世代、要注意です。


「性感染症は“いろんな人とセックスをした結果”と言われがちですが、決してそんなことはなく、女性患者の8割は、特定のパートナーとしかしていなかったという調査結果もあります」(川名先生)


実はこの病気、50年に一度流行を迎えるという波があり、世界的にも流行中。セックス時は必ずコンドームを使い、あやしいと思う相手との性交渉は避けて。



セックスして感染。

↓感染から2~3週間後

【1期梅毒】

性器に硬いしこりや口内炎のような潰瘍ができる。痛みはない。

↓1期梅毒から3~4週間後

症状が消える。

↓1期梅毒の症状が消えて1か月後

【2期梅毒】

全身に赤い発疹[梅毒疹]が出る。

↓2期梅毒から2~3週間後

症状が消える。

↓以後、特に症状は出ないが…

梅毒の菌は体内に潜んでいる。


症状が出ては消え、出ては消え…。“偽装の達人”と呼ばれることも。


セックス直後に症状が出るわけではなく、数週間経ってからまず性器周辺に異変が。


「この病気の怖いところは、特に治療をしなくても症状が治まってしまうところ。しかも痛くもかゆくもないので、気にせずにセックスをする人が多く、それによって感染が拡大することに」(川名先生)


完治せずに妊娠すると、14%くらいは赤ちゃんに感染。


妊娠中の女性が梅毒にかかると、胎盤を通じ胎児に感染する母子感染が起きる。これが“先天梅毒”。


「妊娠初期に診断された場合すぐに治療をしますが、それでも14%程度は母子感染が起こる。赤ちゃんに異常が出てからの後悔では遅いので、妊娠前に必ず検査をしてください」(川名先生)


4週間の服薬で完治可能。気になったらすぐに婦人科へ。


万が一かかってしまったら…。でも大丈夫、4週間抗生物質を飲むことでほぼ間違いなく完治します。


「性感染症はセックスする以上誰でもかかる病気で、特に現代においては、お互い初めて同士でなければ、菌やウイルスを持っていてもまったくおかしくない。気軽に検査を受けてほしいです」(川名先生)


川名 敬先生 産婦人科専門医。日本大学医学部産婦人科主任教授、日本性感染症学会監事。性感染症学、婦人科のがん治療、HPVワクチンなどのスペシャリスト。近年性感染症に関してNHKの番組などにも出演し、啓発に努めている。


※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。


(by anan編集部)

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2023年08月22日 20時00分

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