これは仕事頑張れそう...寮母あきこさんが作る“置き弁”の秘訣、予算は400円「ぎりぎりまで使い切りたい」
鶏のから揚げ、ウインナー、豚の生姜焼き…弁当箱に食べ応えのありそうな“大きな具材”が盛り付けられ、「美味しそう…」「これを食べたら仕事頑張れそう」「献立の参考にもなる」と反響を呼ぶお弁当がある。広島県の造船関連会社の社員寮で、寮母の仕事をしているあきこさん(@akiko.0301)が作るお弁当だ。寮ご飯にかける思いや、食材が上手く使い回されている献立の秘訣を聞いた。
【写真】ご飯こんもり”昭和弁当”と見せかけて…寮母あきこさんが作る、夢のような”置き弁” 「入寮したい…」と反響
■「高い食材を使わなくてもおいしいものが作れるよう、頭をフル回転させています」
寮の社員さんたちは全員ガタイがよく、30~40代の働き盛りの男性たちだという。たくさん食べるからか、あきこさんが作るお弁当は箱からはみ出るほどの大きな具材が、迫力あるかたちで並べられる。
「この仕事を初めて2年になります。以前は民宿で働いていたので、たくさんのご飯をつくることに驚きや戸惑いはありませんでした。盛り付けが個性的と言われますけど、それは調理する直前のヒラメキです。大胆に無造作に盛り付けていくのが好き。昼のお弁当は、蓋をしない『置き弁』なので、具材はどんどんどんどん盛り盛りに高くなっています(笑)。夜、丼ものを作るときも、すごく盛ってます」(あきこさん、以下同)
社員さんのご飯は予算が決まっているため、「予算ギリギリで作ってあげたい」と、やりくりは徹底して考えているというあきこさん。
「昼は400円、夜は800円の予算。足りないのも余るのも嫌で、きっちり使いたい。高い食材を使わなくてもおいしいものが作れるよう、頭をフル回転させています。買い出しは週1回のみで、火曜が安売りの日なので原則火曜日にまとめ買い。1回の量は段ボール平均6箱くらい。それを車から寮に運ぶのが大変で…お米20キロを買った日がたまたま雨だったりすると泣きたくなっちゃいます(笑)」
■「おいしくするための手間は省かない」が料理をするなかで一番のこだわり
昼と夜ご飯を作るだけではなく、寮の共有部の掃除や食材の買い出しなど、毎日忙しなく動いているあきこさん。一番のこだわりは、「おいしくするための手間は、省かないこと」だという。海老は臭みを取るため塩でもんでからよく洗って使う、炊き込みご飯や酢飯用ご飯は必ず昆布を一緒に入れて炊くなど。
「その手間はちょっとしたことですけど、やるやらないで味に差がつきます。寮の方とは普段はほぼ会わないので、料理の感想を聞いたりすることはあまりないのですが、以前テレビの収録があったときに、お弁当を食べている表情がとってもおいしそうで。嬉しかったですね…。おいしく作れているかどうかは分からないですが、やっぱり料理は人を幸せにできるんだなと。食べる人に楽しんでほしいのはもちろん、自分が楽しくできるかも大事なこだわりです」
あきこさんのインスタグラムは献立の記録用として作られたが、今ではフォロワー13万人を超える人気のアカウントに。8月27日には初めての著書『寮母あきこのガツンごはん』(マガジンハウス)も発売される。
「書いているうちに、自分でもこんなに考えて作っていたんだなぁと、気づきがいっぱいありました。これまで記録として撮り貯めてきた寮ご飯の写真は、自分なりにどの角度が美味しく見えるかどんな撮り方がいいか、試行錯誤しながら撮影してきました。それが本になって残るのが嬉しいです。
今後は料理も新しいジャンルに挑戦していきたいです。これまでは和食が中心で、好き嫌いがあるからスパイス系は作っていませんでしたが、たまには作ってみたいなと。あとは、引き続き地元・広島の美味しいものをお弁当に取り入れて、紹介していきたいです」