知ってる? “地ビール”誕生から人気爆発までの歴史 & 旅先で飲みたいおすすめ地ビール9選
近年人気の“クラフトビール”や“地ビール”。独特な味わいでおいしく、好んで飲んでいる人も多いのでは?
ここでは、知っているようで知らない“地ビール”うんちくと、日本各地の銘柄を飲み歩いた“酔っぱライター”江口まゆみがおすすめする、旅先でぜひ飲んで欲しい“地ビール”を紹介します。
今までなんとなく“おいしいから飲んでいた”人も、コレを知っておくとまた違った視点で楽しめるかも。
ここでは、知っているようで知らない“地ビール”うんちくと、日本各地の銘柄を飲み歩いた“酔っぱライター”江口まゆみがおすすめする、旅先でぜひ飲んで欲しい“地ビール”を紹介します。
今までなんとなく“おいしいから飲んでいた”人も、コレを知っておくとまた違った視点で楽しめるかも。
うんちく01:“地ビール”はすべて1994年以降生まれ
今でこそ、大小さまざまな規模で造られている“地ビール”。その誕生は、実はすべて1994年以降。というのも、その年の酒税法改正がきっかけだから。
それまで、“ビール醸造免許”は“2000キロリットル以上つくること”が条件だったのですが、“60キロリットル以上”に引き下げに。これで大手に独占されていたビール事業の門戸が開かれ、新規メーカーが参入しやすくなりました。
それまで、“ビール醸造免許”は“2000キロリットル以上つくること”が条件だったのですが、“60キロリットル以上”に引き下げに。これで大手に独占されていたビール事業の門戸が開かれ、新規メーカーが参入しやすくなりました。
実際に地ビール製造を始めた企業の内訳は、4分の1が地方の清酒メーカー、残りの4分の3がホテル・レジャーなどの観光産業系の企業と食品・外食産業系の企業でした。
つまり、酒づくりの素人でも少しの土地とお金があれば参入できる。いわゆる“地ビールバブル”時代に突入したのです。
つまり、酒づくりの素人でも少しの土地とお金があれば参入できる。いわゆる“地ビールバブル”時代に突入したのです。
うんちく02:昔の“地ビール”は玉石混淆だった!?
今では当たり前のように使われる“地ビール”という言葉。明確な定義があるわけではなく、いつの間にか大手メーカー以外の小規模生産ビールを指す言葉に。
このネーミングにより“その土地でしか飲めない”というイメージが付き、“地域おこし”の武器として日本各地で次々と誕生しました。
このネーミングにより“その土地でしか飲めない”というイメージが付き、“地域おこし”の武器として日本各地で次々と誕生しました。
ところが、結局のところ“ビールづくりの素人”が造り始めたもの。中身は玉石混淆で、世界的に評価されるものから、味に難のあるものまでさまざまでした。
ここでちょっと数字をあげると、全国の地ビール醸造所数は、2000年度の305場でピークを迎え、2013年度の211場で底を打つ。つまり、13年間で半分近くが淘汰されたのです。
地ビールレストランの地の利の悪さなどいくつか理由はありそうですが、“味”も明暗を分ける大きな要因だったはず。
ここでちょっと数字をあげると、全国の地ビール醸造所数は、2000年度の305場でピークを迎え、2013年度の211場で底を打つ。つまり、13年間で半分近くが淘汰されたのです。
地ビールレストランの地の利の悪さなどいくつか理由はありそうですが、“味”も明暗を分ける大きな要因だったはず。
うんちく03: “地ビール”の生き残りが“クラフトビール”へ
そして、生き残った“おいしい地ビール”たちが、いつしか“クラフトビール”と呼ばれるように。国内や海外のコンテストに入賞する銘柄も多く登場。これはすべて、地ビールメーカーの努力の賜物なのです。
“クラフトビール”時代の訪れとともに醸造所数も増えていき、2013年に底を打ったあとは、2016年には256場にまで増加しています。
かつての“地ビールバブル時代”との違いは、単なる儲け目当ての参入ではなく、「おいしいビールをつくりたい!」という情熱を持った若い醸造家が多く参入したこと。今の“クラフトビール”ブームを作り上げたのは彼らなのです。
かつての“地ビールバブル時代”との違いは、単なる儲け目当ての参入ではなく、「おいしいビールをつくりたい!」という情熱を持った若い醸造家が多く参入したこと。今の“クラフトビール”ブームを作り上げたのは彼らなのです。
うんちく04:クラフトビールの定義は“大量生産でないこだわりのビール”
世界では、“クラフトビール”には“マイクロブルワリー”という言葉がセット。“小さい醸造所が手づくりをしたビール”と解釈されることが多いですが、一方、日本では、大手のビールメーカーが大量生産しているビール以外を指すことが多い。
ビールは、酵母の違いで大きく2種類に分けられます。大手メーカーのビールは、下面発酵の「ピルスナー」という種類が主流で、苦みとスッキリとしたキレが特徴。“クラフトビール”は上面発酵のものが多く、こちらは華やかな香りとコクが特徴です。
近年は、大手ビールメーカーも徐々に“クラフトビール”市場に参入しており、キリンビールは、独自のマイクロブルワリーとビアレストランを代官山にオープン。他社も続々とクラフトビールの銘柄を投入しています。
旅先で飲みたいおすすめ地ビール9選
“クラフトビール”とも呼べる生き残りの“地ビール”。その中で、特におすすめがこちらの9銘柄。お取り寄せもいいけど、その地を訪れたときにはぜひ、出来立てを味わってみて。
01 北海道の『はこだてビール』
北海道新幹線の開通で話題になった函館。ここで造られている『はこだてビール』は、『社長がよく飲むビール』や『社員が出世するビール』など、ユニークなネーミングのものが揃う。
その中でも特にオススメなのが、『社長のよく飲むビール』。通常の2倍の麦芽を使い、アルコール度数も10%と高めで、飲み応えバツグン。
02 岩手の『いわて蔵ビール』
岩手県一関にある「世嬉の一酒造」という日本酒の蔵がつくっているこちら。三陸広田湾産の牡蠣を使った『三陸牡蠣のスタウト(オイスタースタウト)』が濃厚でおいしい。現地を訪れたら、ビール工場に隣接するレストラン「せきのいち」でぜひ堪能して。
03 栃木の『那須高原ビール』
栃木の『那須高原ビール』は、世界的なコンテストに何度も入賞している実力派。
森の中にある地ビールレストランは美しく、美術館のよう。癒しの空間で、ぜひできたてのビールを堪能してほしい。
04 新潟の『スワンレイクビール』
新潟の瓢湖(ひょうこ)のほとりにある『スワンレイクビール』も評価の高いビール。結婚式場としても人気の地ビールレストランは、一度は訪れる価値アリ。
05 静岡・伊豆の『反射炉ビヤ』
伊豆にある、世界遺産登録間近の韮山反射炉。そのすぐ近くで飲めるのが『反射炉ビヤ』。日本酒で使われる静岡酵母を使ったビールなどが味わえる、飲み比べセットがおすすめ。
06 大阪の『道頓堀地ビール』
松竹座の地下2階に秘密基地のようなブルワリーをもつ『道頓堀地ビール』。道頓堀のど真ん中なので、観光の途中にフラリと立ち寄れるのも魅力。大阪を訪れたらぜひ飲んでみてほしい一杯。
07 岡山の『独歩ビール』
宮下酒造という地元の総合酒類メーカーの自信作で、岡山では、どのお土産物屋にも置いてある。岡山駅から1駅の西川原・就実駅近くにある宮下酒造直営の「独歩館」では、10種類のドラフトビールが楽しめます。
08 愛媛の『道後ビール』
旅行で道後温泉を訪れたときは、道後温泉本館の向かいにある直営店「麦酒館」でぜひ飲んでほしい。風呂上がりに飲むできたてビールは最高の一杯。
09 鹿児島の『薩摩RED』
鹿児島の枕崎にある、薩摩酒造の直営レストラン「花渡川ビアハウス」では、珍しいサツマイモビールが楽しめます。とくに紅芋を使った紫色の『薩摩RED』は、独特の旨味があっておいしい。
最初の“地ビール”ブームから20年以上が経ち、“本物”だけが生き残った今、日本各地で造られる“地ビール”は魅力的なものばかり。
ここで紹介した銘柄以外でも、“クラフトビール”と呼ばれているものについては、あまりハズレはありません。安心して多様な“地ビール”の世界を楽しんで。
(文/江口まゆみ)
<取材協力>
『那須高原ビール』:那須高原ビール
『道頓堀地ビール』:道頓堀麦酒
『薩摩RED』:薩摩酒造
その他、ここで紹介した6銘柄が買えるサイト:楽天市場
ここで紹介した銘柄以外でも、“クラフトビール”と呼ばれているものについては、あまりハズレはありません。安心して多様な“地ビール”の世界を楽しんで。
(文/江口まゆみ)
<取材協力>
『那須高原ビール』:那須高原ビール
『道頓堀地ビール』:道頓堀麦酒
『薩摩RED』:薩摩酒造
その他、ここで紹介した6銘柄が買えるサイト:楽天市場
Profile
江口まゆみ
神奈川県鎌倉生まれ。早稲田大学卒。1995年より、「酔っぱライター」として世界中の知られざる地酒を飲み歩き、日本中の酒のつくり手をたずねる旅を続ける。旅をした国は20カ国以上、訪ねた日本酒、焼酎、ワイン、ビール、ウイスキーの現場は100カ所以上。JCBA認定ビアテイスター。SSI認定利酒師。JSA認定ワインエキスパート。酒に関する著書多数。近著は「ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び」(平凡社)
公式サイト:酔っぱライタードットコム