山口・長門湯本温泉モデルコース！そぞろ歩きが楽しい温泉街で、フォトスポットとご当地グルメを巡ろう

2022年09月26日 09時50分

山口県で最も古い歴史を持つ温泉として知られる「長門（ながと）湯本温泉」。2019年には温泉のシンボルである公共温泉が、立ち寄り湯「恩湯（おんとう）」として生まれ変わりました。また、温泉街の中心を流れる音信川（おとずれがわ）の周囲にはカフェやグルメスポットが続々とオープン。

一日中、遊んで楽しめる長門湯本温泉街はまさに「オソト天国」！　映えスポットも満載の長門湯本温泉を存分に楽しめる観光モデルコースをご紹介します。

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長門湯本温泉へのアクセス

車の場合、山口宇部空港からレンタカーで約1時間半。電車の場合、「新山口」駅からJR山陽本線とJR美弥線を乗り継ぎ「長門湯本」駅下車。所要時間約1時間半。

2022年7月1日より福岡～長門湯本温泉をつなぐ高速バス「おとずれ号」が運行を開始しました。毎日1往復（片道4,000円）の直行便でアクセスがぐっと便利に。所要時間約2時間45分。

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「おとずれ堂」で観光情報とお土産をチェック！

温泉街に到着したら、まずは国道と音信川を結ぶ「竹林の階段」からそぞろ歩き旅をスタート。階段を川へと向かうと、両側に植えられた数百本の竹林が山のやさしい風に揺れ、そこはとても気持ちのいい空間。

画像提供：SHIMOMURA YASUNORI

夜には両サイドの行灯に灯りがともり、幻想的な世界に変わります。

竹林の奥に昔話に出てきそうなかわいい古民家を発見！　ここはオリジナルの温泉グッズを扱うお土産屋さん「おとずれ堂」。萩焼のギャラリーも併設しています。

中に入ると銭湯をイメージした店内に、番頭さん！？のようにいらっしゃるスタッフの方が気さくに声をかけてくれました。長門湯本温泉の観光マップやパンフレットが用意されているので、ぜひ旅の最初に立ち寄って情報収集を！

人気のお土産は、温泉サコッシュ（各1,500円）や自宅でも美肌の湯を体験できる入浴剤・長門湯本の湯（各180円）。長門湯本温泉やおとずれ堂のロゴをデザインしたオリジナル商品です。

おとずれ堂

住所: 山口県長門市深川湯本2321-1
営業時間: 10:00～19:00
定休日: 火曜、水曜、木曜
詳細: おとずれ堂公式サイト

音信川で自然を感じながらオソト天国を満喫！

温泉街を流れる音信川を中心にまちづくりが進められている長門湯本温泉は、川の両側を行ったり来たり歩きながら、そぞろ歩きするのが醍醐味。川沿いに谷あいの自然を生かした、ここでしか味わえない楽しいスポットがたくさんあります。

川沿いの遊歩道を歩くと、ところどころにベンチが設置されているのに気づきます。歩き疲れたらテイクアウトフードを食べながらここでひと休み。春になると満開の桜並木になり、観光客と地元の人々で賑わうそう。

橋を渡らずに川岸を行ったり来たりできる飛び石は、観光街づくりのために渡りやすさと景観を計算されてつくられたもの。おだやかな川の上を子どもたちが飛んだり、跳ねたり、楽しそうに遊ぶ姿は夏の風物詩。

川沿いから続く「紅葉の階段」。夏の青紅葉も気持ちがいいですが、秋になると階段の両脇は真っ赤な紅葉で染まり、紅葉狩りにピッタリのスポットに。

長門湯本温泉街には川の涼を間近で感じながらくつろげる川床が4つあります。山口県で川床を体験できるのはここだけなのだとか。自然の川のせせらぎと山の風を感じながら、テイクアウトした食事やドリンクを川床でいただける、なんて贅沢な時間！

写真は星野リゾート界長門の前にある川床「おとずれ川テラス」。そぞろ歩きの途中でぜひ立ち寄って！　パラソルの下に座って涼し気な川の流れに耳をすますと、あまりの心地よさに時間を忘れてしまいそう。

「あけぼのカフェ」でそぞろ歩きのお供にどら焼きを

長門湯本温泉観光まちづくり計画に賛同し、星野リゾートの界ブランドで初めて宿泊者以外も利用できるように併設された「あけぼのカフェ」。お茶屋屋敷をテーマにした佇まいは、長門湯本温泉の自然に溶けこむような落ち着いた雰囲気です。

そぞろ歩きをしながら食べてほしいという願いを込めて誕生したオリジナルのどら焼き（各300円）。毎日1枚ずつスタッフが手で焼いているため、お昼くらいには売り切れてしまうことも。ドリンクは抹茶ラテ（500円）や界長門の代表が豆からこだわったスペシャルラテ（600円）が人気です。

手焼きのしっとりした生地に小豆がたっぷり。ひと口ずつゆっくりと香りまで堪能したい上品な味。片手で持って食べ歩くのにちょうどいいサイズはそぞろ歩きのおともにピッタリ。ほかにも山口県特産品の夏みかんやゆずきち、秋には栗、酒かすなど、季節ごとに趣向を凝らしたフレーバーが登場。お土産としても人気です。

星野リゾート界長門「あけぼのカフェ」

住所: 山口県長門市深川湯本2229-１
電話番号: 0570-073-011
営業時間: 11:00～16:00
定休日: 不定休

長門湯本温泉の源を愉しむ外湯「恩湯」

日帰りの旅はもちろん、温泉街に一泊していてもぜひ体験したいのが、立ち寄り湯「恩湯（おんとう）」。約600年前、大寧寺（だいねいじ）の定庵禅師が住吉大明神からのおつげによって発見した“神授の湯”として伝えられている山口県最古の湯です。

2020年3月にリニューアルオープンしたばかりのシンプルで美しい建物の中では、岩盤から湧き出る温泉を間近で眺めることができます。

洗い場で体を洗ったら、浴槽へ少し歩いて移動。これは浴槽というみそぎの場へ行くために、けがれを落とすことで神聖な入浴を体験してほしいという想いが込められた設計。体温に近い36～38℃のぬるめの源泉かけ流しの湯を1mほどもある深い浴槽に浸かって堪能します。

肌を包み込むようなとろみのあるお湯にゆっくりと浸かると、温泉成分が皮膚からじわじわと浸透して、体が芯から温まってきます。目の前の岩の割れ目から湧き出る温泉を眺め、水音に耳をすませていると心がどんどん落ち着いてリラックス。

温泉で心も体もほぐれたあとは、入浴者限定の休憩室でのんびり休憩をしましょう。

立ち寄り湯恩湯（おんとう）

住所: 山口県長門市深川湯本2265
電話番号: 0837-25-4100
営業時間: 10:00～22:00
休館日: 毎月第3火曜日（祝日を除く）

湯あがりやそぞろ歩きの休憩に。テイクアウトも充実の「恩湯食」

恩湯に併設するカフェ「恩湯食（おんとうしょく）」は湯あがりに食べてほしい長門名産の鶏肉や豆腐、地元の野菜やフルーツを使った料理やスイーツがそろったカフェ。恩湯を味わったら、次は恩湯食で体の中からキレイになってほしい、という願いが込められたヘルシーなメニューが並びます。

ソイクリームパフェ（850円 ※小サイズは650円）はデザートの人気メニュー。お豆腐屋さんの豆乳を40％使ったソイクリームは、さっぱりとヘルシーで、季節によって変わるフルーツとの相性が抜群。温泉で温まった体に心地よいおいしさです。テイクアウトメニューも充実しています。

恩湯食（おんとうしょく）

住所: 山口県長門市深川湯本2270-5
電話番号: 0837-25-4333
営業時間: 11:00～22:00
定休日: 水曜日

「瓦そば柳屋」で山口の郷土料理に舌鼓

川沿いを歩いていると趣のある建物に目がとまります。築70年以上の古民家をリノベーションしたという「だいご長屋」の1Fにあるのが柳屋。ここは山口県のソウルフード・瓦そばを食べられるカフェです。

瓦そば（1,298円／1人前 ※写真は2人前）

ジュ―ジューと音をたてながら、熱せられたアツアツの瓦に山盛りの茶そばが運ばれてきます。風味豊かな茶そばの上には県内産の卵を使った錦糸卵や長門ネギ、うまみたっぷりの牛肉がのせられて迫力満点、写真映えも最高！

甘めのつゆをつけていただくと、香ばしい香りが口いっぱいに広がってお箸が止まりません。県の日本海側で名産の釜揚げしらすを炊き立てのごはんにのせた「しらすめしセット」（1,780円）もおすすめ。

瓦そば柳屋

住所: 山口県長門市深川湯本1325-１だいご長屋1F
電話番号: 080-9185-3070
営業時間: 11:00～19:00
定休日: 火曜日

名物の焼き鳥をテイクアウトで食べ歩き

立ち寄り湯「恩湯（おんとう）」の対岸にある、かわいいロゴが目印の「焼鳥さくら食堂」。元お寿司屋さんだったというお店は、女性だけでも入りやすいおしゃれな店構え。

もともと養鶏が盛んだったこの地域は鶏肉が名産品。お店に入ると炭火で焼く焼き鳥の香ばしい香りが鼻をくすぐり、食欲をそそられます。

昼は定食、夜は地元の魚やジューシーな焼き鳥を食べに、地元の人や観光客でにぎわうそう。

テイクアウトメニューも充実。焼きたての焼き鳥をオーダーして川で食べれば、そのおいしさもまた格別！

焼鳥さくら食堂

住所: 山口県長門市深川湯本1272-6
電話番号: 0837-25-3660
営業時間: 11:00～14:40（LO14:00）、17:00～22:00（L.O.21:30）
定休日: 木曜日

温泉の持ち主・曹洞宗の名刹「大寧寺」へ

温泉街から少し足を延ばして、600年以上前に創建された曹洞宗の名刹「大寧寺（たいねいじ）」へ。大寧寺川の前に架かる江戸時代初期に造られた盤石橋は、山口県三奇橋のひとつ。

広い境内には、大寧寺で自刃をした山内義隆公が顔を映して最期を悟ったと伝わる姿見の池やかぶと掛けの岩など、見どころがたくさんあります。

池には美しい鯉が悠々と泳いでいました。春には満開の桜がライトアップされ、秋には紅葉の名所として多くの人が訪れます。

大寧寺（たいねいじ）

住所: 山口県長門市深川湯本1074

地元で長く愛される「吉冨幸進堂」の手作りワッフル

現在の店主で4代目という地元で長年愛されている和菓子屋さん「吉冨幸進堂」。次々に地元の方がお土産に、自宅用にと手作りお菓子を買っていきます。

中でも人気なのが、国産の原材料にこだわり、手焼きでひとつずつ焼いているという「わっふる」。ひと口食べるとふわっとやわらかい食感と懐かしくて素朴な味わい。わっふるからはみ出るほどたっぷり入った濃厚なクリーム、自然な甘味の小豆は１個（各130円）でも食べごたえも満点。そのほかにも抹茶や白あん、チョコ味などもラインナップ。

吉冨幸進堂

住所: 山口県長門市深川湯本門前1031-2
電話番号: 0837-25-3971
営業時間: 7:30～18:30
定休日: 月2回不定休

長門湯本温泉のカフェのはじまり「カフェ＆ポタリィ音」

歩き疲れたら音信川沿いの古民家を改装したほっこり温かい雰囲気のカフェ「カフェ＆ポタリィ音」へ。長門湯本温泉にまったり休める場所をつくりたいという思いから、まちづくりプロジェクトの初期にオープンした地元の人にも人気のカフェです。

店内には地元作家の萩焼が飾られ、購入することもできます。

店内を抜けると川沿いに置き座テラスがあり、川の流れを楽しみながらコーヒーなどのドリンクや自家製ケーキを楽しめます。

カフェ＆ポタリィ音

住所: 山口県長門市深川湯本1261-12
電話番号: 0837-25-4004
営業時間: 10:00～16:00
定休日: 水曜日、木曜日

ライトアップされた夜の温泉街は幻想的な世界

日が暮れ始めると階段や遊歩道の行灯が灯り、街全体がライトアップの光に包まれて、日中とは全く違った幻想的な世界が広がります。

照明デザイナー・長町志穂さんが温泉街全体のライトアップを担当。統一感のある照明によって、美しい光に包まれた温泉街をそぞろ歩く夜の散歩は、いつまでも心に残る旅の思い出になるでしょう。

湯あがりに飲みたい「365＋1BEER」のクラフトビール

長門市初のクラフトビール醸造所が「365＋1BEER（サンロクロクビール）」。もともと温泉街の薬屋さんだった建物をリノベーションして醸造所に。レトロな外観が目を引きます。

大阪からここへ移住してきたという有賀ご夫妻がつくるクラフトビールは、「おとずれベルジャンホワイト」（400ml／750円）や「山・川・ヘイジ―／HAZY IPA」（400ml／850円）など地元を意識して命名。タップルームでフレッシュなビールを飲みながら、初対面でもおしゃべりがはずむから不思議です。

ビールの醸造がメインのため、お店は金・土曜の2日間の営業ですが、恩湯やさくら食堂など温泉街でも、瓶ビールで味わうことができます。

ビールは量り売りをしているのでグラウラー（ビールを持ち運ぶための水筒）を持参すれば、テイクアウトも可能。ここでビールを買ってから、川床でピクニックを楽しんだり、釣りやキャンプに出かけたりするリピーターが多いそう。瓶ビールは常時販売しています。

365＋1BEER（サンロクロクビール）

住所: 山口県長門市深川湯本1247-2
営業時間: 金曜13:00～21:00、土曜13:00～18:00

※タップ営業、休みの場合もあるのでSNSで要確認

夜の音信川を眺めながら「THE BAR NAGATO」で最高の一杯を

「界長門」前の遊歩道を歩いていると、対岸に木々の間からやさしい灯りが灯る建物を見つけました。そこは日中訪れた「瓦そば柳屋」のあるだいご長屋。その2Fにあるのが18時からオープンする、静かに温泉街の夜を楽しむ大人のための憩いの場オーセンティックバー「THE BAR NAGATO」です。

大阪・北新地でバーを経営し、30年以上バーテンダーをしていたというマスターの黒田大介さんが、長門湯本温泉の人の温かさと豊かな自然にほれ込み、ここに店をオープン。ほんのりやさしい灯りを愛で、居心地のいい椅子に座り、大きな窓から音信川を眺めながら最高の一杯をゆっくりと味わうことのできる、癒しの時間を演出してくれます。

カクテル「桃のベリーニ」（写真右）と「ゴールデンキウイラッシー」

旬の生の桃があるときにしかつくらないという桃とシャンパンのカクテル「桃のベリーニ」（1,980円）。ゴールデンキウイフルーツを丸ごと使った、「ゴールデンキウイラッシー」（1,430円）。地元産のジン「青舞OJB」や豊富なウィスキーの品ぞろえなど、お酒好きもうなるラインナップ。次の一杯に迷ったら、ぜひ黒田さんにおすすめを尋ねてみてください。

THE BAR NAGATO

住所: 山口県長門市深川湯本1325-１だいご長屋2F
電話番号: 070-4426-8169
営業時間: 18:00～24:00
定休日: 月曜日

季節ごとのイベントも充実！心に残る思い出をつくりに出かけよう

春夏秋冬、すべての旬を楽しむために季節ごとに開催されるイベントも長門湯本温泉街の魅力です。年ごとに時期や詳細が変わるので、気になるイベントは事前に長門湯本温泉の公式サイトなどでチェックすることを忘れずに！　ここでは人気の春夏秋冬のイベントを紹介します。

音信川うたあかり／冬（3月）

長門市出身の童謡詩人・金子みすゞの詩をテーマにした灯りイベント「音信川うたあかり」は、長門湯本温泉の冬の風物詩。日没とともに光のモニュメントに包まれる温泉街は圧巻の美しさ！　そのライトアップを見学しに山口県内外から多くの観光客が集まります。

桜咲く花の上のアフタヌーンティー／春（3～4月）

音信川の桜が満開になるころ、長門湯本随一のお花見スポットの一ノ瀬橋で開催される「桜咲く花の上のアフタヌーンティー」。橋の上に設置されたテーブル席で満開の桜を愛でながら、萩焼作家のティーセットに地元の飲食店が考案した春スイーツを盛り付けられたアフタヌーンティを楽しめるイベント（事前予約制）です。

おとずれリバーフェスタ／夏（5月）

温泉街を流れる音信川を中心にこだわりのマルシェやカフェが出店され、開催中はいつも以上にオソト天国が賑わいを見せる「おとずれリバーフェスタ」。リバーフェスタ恒例の「橋の上レストラン」では毎年、異なるテーマの料理家が集い、開放的な空間で本格的な料理を味わえます（事前予約制）。

紅葉ごろねBAR／秋（10～11月）

紅葉が真っ赤に染まる秋の夜長をごろ寝しながらゆっくりと楽しむ「紅葉ごろねBAR」。紅葉に囲まれた88段の「紅葉の階段」にはレジャーシートなどが用意され、寝ころんだままライトアップされた紅葉を存分に堪能できます。階段の隣の「あけぼのカフェ」にはこの時期だけ週末バーカウンターが登場。

コンパクトな街なのに、朝から夜まで歩いても楽しみ尽くせない魅力がたくさん詰まった長門湯本温泉。神聖な温泉体験から、川遊び、カフェ巡りなど、楽しみ方は人それぞれ。子どもから大人まで楽しめるスポットが集まっています。

季節ごとに表情を変える谷あいの自然、人の温かさ、おいしいグルメ、まちの魅力を知れば知るほど何度も通いたくなります。ふるさとに帰るように季節ごとに訪れて、自分だけの長門湯本温泉の楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか？

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取材・文／山本美和　撮影／安森信・田辺エリ

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