大井川鐵道沿線の駅舎カフェ「ひぐらし」で、SLを間近に眺めたい!

“旅”というワードから思い浮かぶ景色って、どんなものがあるでしょうか。湯けむり立ちのぼる古き良き温泉街? 歴史を感じさせる懐かしい街並み? 私としては「田園を走るローカル線」というのも、この問いに当てはまると思います。今回はそんな風景にたたずむ「Cafe ひぐらし」という、駅舎カフェを紹介します。
(Photo&Text/村松高志)
「Cafeひぐらし」の駅舎があるローカル線、大井川鐵道って?
その駅舎カフェは、静岡県島田市から川根本町、果ては静岡市北部の井川までをつなぐ大井川鐵道の路線内にあります。まず大井川鐵道とはどんな鉄道路線なのか、どんな町を走っているのか、その説明からですね。
大井川鐵道は島田市の金谷駅と川根本町の千頭駅をつなぐ本線、千頭駅と井川駅をつなぐ井川線に分かれています。上の写真は井川線車内からの景色。ニュースをよく見る方なら、大井川という河川についてもご存知でしょう。リニア中央新幹線の敷設に際し、水量が懸念されているあの河川のこと。昔は「越すに越されぬ大井川」と謳われたほどの大規模な河川であり、その流域を走るのが大井川鐵道です。
大井川鐵道本線はSLの年間走行日数日本一!
実は大井川鐵道って、すごい鉄道なのです。それはまず、蒸気機関車が現役でほぼ毎日のように運行していること。観光客が少ない平日などは1日運休ということもありますが、基本的には往路と復路で毎日1本ずつ走っており、繁忙期は2〜3本になることも。その年間走行日数は日本一を誇ります。さらに。日本で唯一「きかんしゃトーマスとなかまたち」の列車が運行しているのです。
蒸気機関車や「きかんしゃトーマス号」が走るのは千頭駅までの本線。では本線が通う島田市や川根本町とはどんな場所かというと、上2枚目の写真からわかるとおり茶の産地です。特に島田市川根町から川根本町において栽培されている川根茶が有名。川根は豊富な湯量を誇る温泉地でもあり、泉質にも定評のある湯は地元のみならず、観光客からも親しまれてきました。
「Cafeひぐらし」があるのは川根温泉笹間渡駅
さて、前置きが長くなりましたが、ひぐらしが営んでいる駅舎は、川根温泉笹間渡駅という駅です。この記事2枚目の木造駅舎の写真がまさにソレ。付近には露天風呂から列車が見えることで知られる温泉施設や道の駅があります。大井川鐵道路線内のほとんどがそうであるように、この笹間渡駅も無人駅です。
しかし過去には駅長が駐在しており、ひぐらしは、宿直室として使用されていたスペースを活かした空間なのです。笹間渡駅にはほかに小さな待合室がある程度なので、ほぼ「駅そのまんまカフェ」といってもいいくらい。喜ばしいのは笹間渡が、復路のSL列車が停車する駅であること。つまり時間さえ合えば、休息がてらにSLを眺められるのです。
音楽好き店主が営むひぐらしにはレコードがいっぱい
休息がてらにSLが見られるというより、実際はこの店内からも見えちゃいます! だから特等席は窓際。
SLだけでなくもちろん普通電車も停車するので、列車好きにはたまらないはず。店主が手入れしている植物を眺めながらゆるりと過ごしつつ、ローカルな車体がやってくるのを待つのもいいですね。
店主の児玉有子さん。大の音楽好きで、カフェを始める以前は地元の浜松でバンドを組み、ライブハウスで演奏していた時期もあるそう。現在も川根のイベントで仲間たちとともに演奏する機会があるのだとか。店内には児玉さんの好きな音楽レコードがいっぱい。そのため音楽好きの常連も多く、カウンターで店主との会話を楽しんでいくようです。
川根炭火焼き珈琲、手作りのパンとスイーツ
メニューは手作りパンを活かしたサンドイッチやピザ、手作りスイーツがあります。写真はトマトとベーコンのピザ(650円)。うれしいのは、どれも児玉さんの手作りで、ボリュームの割にリーズナブルなこと。旅の途中にふらっと立ち寄れる気軽さが、私は好きなのです。スイーツは川根茶を練りこんだチーズケーキや紅茶のシフォンケーキがおすすめ。
川根のお茶屋さんが開発した「川根炭火焼コーヒーブレンド」や川根紅茶など、ドリンクも豊富。その土地の味を楽しめるのがまたうれしいですね。こじんまりとした空間ながら、ローカル線の旅を一層楽しくしてくれる、そんな魅力にあふれています。ぜひ大井川鐵道の列車に乗って、あるいはSLを見るためだけでも、ひぐらしを訪ねてみてください。
Cafe ひぐらし【かふぇ ひぐらし】
営業時間:11:00~17:00
定休日:日・月曜、祝日(ほか臨時休あり、遠方からの訪問時は要問い合わせ)
Web:https://www.facebook.com/CafeHigurashi/
住所:静岡県島田市川根町笹間渡463-1
おまけPHOTO
川根温泉笹間渡駅を発車したばかりのSL。ここから「道の駅 川根温泉」付近の橋梁を渡り、次の停車駅へ向かいます。
川根温泉笹間渡駅に列車が停車すると、ひぐらし店内からはこのように。SLの運行時刻や復路の停車時刻は大井川鐵道ホームページの時刻表を確認しましょう。
煮出した紅茶の茶葉を練りこんだシフォンケーキとコーヒーのセット、550円。
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