見て、聴いて楽しめる岩の教会。フィンランドの「テンペリアウキオ教会」

2018年02月16日 11時45分

おでかけ ことりっぷ


「教会」というと、どんな建物が思い浮かびますか?
フィンランドのヘルシンキから、教会のイメージを大きく覆してしまうような自然の荒々しさと荘厳さをもつ「テンペリアウキオ教会」について紹介します。


「岩の教会」テンペリアウキオ教会



盛り上がった丘から教会上部が飛び出している、テンペリアウキオ教会の外観

今回紹介するのは、フィンランドの首都ヘルシンキ中心部から路線バスで15分ほどの場所にある「テンペリアウキオ教会」。



ヨーロッパ圏内では、高くそびえた屋根と煌びやかな内装、ステンドグラスから色とりどりの光が差し込む美しい教会が多くありますが、テンペリアウキオ教会はそのイメージを大きく覆す存在です。



別名「岩の教会」とも呼ばれ、掘られた岩のなかに埋め込まれる特殊なつくり方で建てられました。



ぽっかりと空いた口のようなテンペリアウキオ教会への入口

教会の入口に到着しても、中の様子はまだわかりません。



入口は目の前の道路と地続きになっており、道路から近づいていくと建物に吸い込まれていくような感覚になります。


岩と銅のコントラストが美しい教会の内部



入口から岩の内壁に沿って歩き、教会の中心部へ

入口で3ユーロの入場料を支払って、教会の内部へ。



ぐるりとした円形からなる教会内部の壁は岩肌がむき出しになっており、自然がもつ荒々しさが感じられます。


銅で仕上げられた直径24メートルの円形屋根



円形の屋根と岩の壁で構成される教会内部

建物を覆う円形の屋根もまた、銅により表面が仕上げられています。



テンペリアウキオ教会が完成した1969年から経年変化をとおして、重厚感のある佇まいになっているのがとても印象的。



銅は美しく歳をとる素材です。金属として耐性が強く、きらやかに光る初めの状態から次第にくすんで深みのある色合いに育っていく。そんな銅の特性がとてもよく活かされています。



岩の壁と屋根をつなぐ鉄筋コンクリート製の梁

円形の屋根は、鉄筋コンクリート製の梁(はり)で支えられています。



梁と梁の間にはめ込まれているのは、合計180枚にもなるガラスの窓。



天井にはめ込まれた窓から自然光が降り注ぐことによって、銅と岩肌の素材感が引き立てられ、煌びやかな装飾とはまた違った荘厳さが感じられるのです。


コンサートホールに匹敵する音響の良さ



教会内部の岩肌

壁が岩であることの効果は、意外なところにも現れます。



それは「音響が良くなる」ということ。



テンペリアウキオ教会では、もともと設置されているパイプオルガンだけでなく、定期的に行われるコンサートによっても音響の良さを体感することができます。



訪れた当日コンサートは開催されていませんでしたが、バイオリンを持ったふたりの女の子が偶然にもリハーサルを始めました。



細かな凹凸をもつ岩肌が適度に音を反響させ、教会内部にバイオリンの音色が広がります。



ちょうどよく音が反響することは、良い音響空間のための必須条件。



たとえば鍾乳洞のように岩で囲まれた空間はとてもよく声が反響しますが、鍾乳洞ほど反響しすぎてしまうと、コンサートには適しません。



テンペリアウキオ教会では全てが岩ではなく、銅の屋根や天井のガラス窓が組み合わさることで適度な反響具合となり、コンサートホールに匹敵するほどの音響の良い空間になっているのです。



ステージを一望できる2階の観覧席

テンペリアウキオ教会の空間を活かしたバイオリンの音色を、観覧席でゆっくりと聴いている時間はとても贅沢なものでした。



機会がありましたら、コンサートの開催日に合わせて訪問するのがお勧めです。



建物としての魅力だけでなく教会で奏でられる音色もまた、素晴らしい思い出になるはず。



折られた銅の板で上部が覆われた観覧席の手すり

観覧席においても銅が使われています。



観覧席の手すり、実際に手をかける部分の銅には光沢がまだ残っており、これからの経年変化でさらに良い味を出してくるでしょう。



この銅がくすんで重厚感を帯び始めるころに再訪しよう、そんな建物との接し方もまた贅沢な旅の理由かもしれません。


自然と一体になった建物をつくるということ



テンペリアウキオ地区に教会を建設する計画は、この教会が完成する30年ほど前からあったといわれています。



なぜならば第二次世界大戦が勃発し、教会の建設計画が先延ばしになってしまったため。



終戦後、満を持して行われたコンペで「岩に埋め込む教会」という独創的なアイデアが採用されました。



当時は、戦争に使われる燃料庫をイメージさせるなどの理由により反対意見が多く、一般的な教会を求める声がほとんどでしたが、実際にこの教会がオープンしてからは徐々に受け入れられ、今ではコンサートも開催される文化施設としても大切にされています。



たしかに一般的な教会とは全く違うことから、当時受け入れがたいものではあったのには納得ですが、もともとあった岩を撤去するのではなく建物の一部として使うという行為は、建物を建てる土地に対するリスペクト。



自然にできるだけ干渉せずに人工物を寄り添わせることの大切さを、岩の凹凸に合わせて設置されたキャンドルスタンドを眺めながら感じました。



長い年月を経た天然の岩と、銅という経年変化していく素材の組み合わせの素晴らしさに触れられる「テンペリアウキオ教会」。



少し変わったフィンランドの一面を見に行ってみませんか?



ことりっぷ

2018年02月16日 11時45分

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