スピッツが教えてくれる「変化」することの喜び

2019年12月10日 17時10分

恋愛 マイナビウーマン

音楽って、そのときの心の状態によって、聴こえ方が変わってきますよね。

恋愛中によく聴いていた曲。たくさんあるのですが、とくに思い出深いのは、スピッツの曲です。悩んでいたときも、幸せなときも聴いていました。

■スピッツにだって噛みつく少女時代

ただ、最初はスピッツの曲、少し苦手だったんです。

私が彼らを知ったのは、『ロビンソン』が大ヒットする前。ラジオで流れた『君が思い出になる前に』というバラードでした。

君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて優しいふりだっていいから 子供の目で僕を困らせて

いいメロディだなぁ……。そう思う一方で、私はなんだかモヤッとしました。

え、どこに!? と思いますよね。私も今はそう思います。が、大学生の私は「子供の目で僕を困らせて」という歌詞に引っかかってしまったのです。

子供の目? 生きてれば女だって悩むし、細かいことをウジウジ考えるし、無邪気な子供じゃいられない。自分はウジウジ悩む男だけど、君には無邪気な子供のように接してほしいと? そんな子供に癒やされる側でいたいと? 女だって癒やされたいし救われたいのに!!

……キ、キビシー! と、当時の自分にツッコミを入れたくなりますが(笑)今思うと、相当心に余裕がなかったんだなぁ、と。

ちょうど、「日本では、見た目が可愛くて中身が幼い女子が好まれるんだな」と感じていたタイミングだったせいもあります。

当時の自分は、ドイツから帰国して直面した逆カルチャーショック真っ最中。いろいろなシーンで感じる違和感を理解してくれる人がいない孤独、でもここで生きていかなければならない、日本を好きにならないといけない、という居場所問題で苦悩しており、ぶっちゃけ恋愛どころではありませんでした。

自分の悩みは人にわかってもらえないと思っていたため、心も開かず表情も暗くなり……。当然そんな女性がモテるはずもありません(笑)。

ですが、この曲がヒットした頃は気持ちも穏やかになりつつあり、ようやく恋愛への意欲もわいてきていました。しかし、いかんせんまだ恋愛の経験は浅く、孤独で心にも余裕がないため、他人の恋愛観にも厳しかったわけです。

ただ、学生数が多い大学に入れば、話が通じる人やわかり合える人にも出会えるはず! との予想が的中したタイミングでもありました。

心がほぐれてきた自分。気持ちを新たに、これまでなら「合わなさそう」と決めつけていたタイプの人たちにも心を開いて接してみました。

すると、自分の感じ方も、自分に対するまわりの反応も変わっていきました。わかり合えない部分もあるけれど、わかり合える部分だってある。ふれ合ってみることで「いい人だな」「嫌いじゃないな」と思えることがあると。

つまり、自分が孤独なのは「自分が心を閉ざしているからだ」と気付いたのです。

そんなふうに自分を開いていくうちに、「誰かにわかってもらいたい」気持ちよりも「誰かをわかりたい」気持ちが強くなっていきました。自分が誰かをわかってあげられたらいいな、受け止められたらいいな、と。

剣山のように尖っていた心が、スポンジのように柔らかくなっていった感じです。

■変化する喜びを教えてくれたスピッツ

そうなってくると、音楽の聴こえ方も変わってくるわけで(やっとたどり着きました笑)。前述の「子供の目で僕を困らせて」にもイラッとしないし、「好きな人の子供みたいなところに手を焼かされるけど、同時にそこが好きだったりもするよね」と昔とはちがう感想を抱くようにもなりました。

もともとそのフレーズだけが引っかかっていて、スピッツのメロディやサウンドや世界観は好きだったので、共鳴と共振はどんどん加速。

そんなスピッツの曲の中でも『謝々!』は大好きな曲です。

私は、スピッツがリアルな恋愛の喜びを高らかに歌い上げるようになったのは、アルバム『フェイクファー』からだと思っているのですが、その中でも『謝々!』は、閉じていた扉を開けて、誰かとちゃんと向き合って、新しい何かが生まれた喜びが炸裂している曲です。

いつでも優しい君に謝々!!大人も子供も無く涙でごまかしたり 意味もなく抱き合う僕ら今ここにいる woo…

やっぱりスピッツの曲に出てくる女性は「いつでも優しい」のですが(笑)。この曲では、女性の幻影に固執しておらず、目の前にいる「君」と「意味もなく抱き合う」ほど、今を受け入れ、自分を受け入れ、相手を受け入れている。自然な喜びに満ち溢れています。

カラオケでも何度歌ったかわかりません。そして、こんなハッピー大爆発なラブソングに共鳴できる日が来るなんて、かつての自分は想像していませんでした。

そして、実は「変わる」も、スピッツの曲に頻繁に出てくる言葉です。

変わろうとすれば、変わるのを面倒くさがらなければ、恐れなければ、楽しめば、その先には思いも寄らぬ物語が待っている。

そんな風に思わせてくれた、これまでに出会った人たちにも、勝手にイラついたり共鳴したりしながら変わっていく日々を彩ってくれたスピッツにも、改めて伝えたい。謝々!!

(文:ヨダエリ、イラスト:オザキエミ)

マイナビウーマン

2019年12月10日 17時10分

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