“ワンオペ家事”の妻、夫に相手にされない日々に嫌気がさし同窓会で不倫...「まるで家政婦」「気持ちわかる」共感の声も

出来心で不倫をしてしまった妻がタイムスリップによって、今度は不倫された側に。妻は夫と不倫相手にどう対抗するのか…。登場人物が全員不倫しているという奇想天外な不倫復讐劇が描かれる『サレシタ逆転夫婦』(マンガアプリ『comico』で連載中)は、続々と不倫漫画が話題を集める中でも異色の設定だ。「人は本当に改心できるのか」というメッセージも込められた作品への想いについて、原作者の山口夢さんに話を聞いた。
【漫画】「登場人物、全員不倫!?」夫からはまるで家政婦扱い…ワンオペ妻が取った行動とは?
■「コメント欄が荒れてもいい」人生を間違えた人にやり直す機会を
――登場人物が全員不倫したという、とんでもない物語です。読者からの反響もさまざまですね。
【山口夢さん】主人公の晴海が不倫してからのスタートなので、最初の頃はよく「誰も応援できない」「全員嫌い」みたいなことを書かれました。ただ、普通の漫画作品だったら、「誰にも感情移入できない」と書かれるとちょっと凹むんですけど、この作品に限っては「全員嫌い」と言われても、「いいぞ!」となっちゃう(笑)。私としても特殊な作品です。
――コメント欄が荒れていても気にならない?
【山口さん】晴海がどう戦っていくかというストーリーで、ヒロインは彼女です。とはいえ晴海は1回不倫していて、まっさらな善玉ではないんですよね。だから、「お前も不倫したじゃないか」と書かれると、「そうだ、そうだ」と共感しちゃう。たとえ読者コメントが荒れていても大丈夫で、むしろ「いいぞ」と思うような作品です。デトックス的な感じで、ある意味心の健康にいいのかもしれません(笑)。
――晴海は夫とのすれ違いで心がむなしくなってしまい、出来心で1度だけ不倫してしまいます。それで後に、大変な後悔にさいなまれます。
【山口さん】晴海に「頑張れ」って言ってくれる読者もたくさんいるんですよ。最近は、間違ったことをしてしまった人にやり直す機会を与えた方がいい、という論調もありますよね。そういった意味でも、やり直そうとしている晴海に予想外のことが起こり、これからどう決断していくのかも楽しんでいただきたいです。
■「世の中は完全な善悪で割り切れない」人間の“本質”とは…
――今回、自身で初となる不倫をテーマにした作品を手がけられています。不倫というテーマがこれほど人気を集める理由をどう考えますか?
【山口さん】やっぱり物語として分かりやすいんでしょうね。『水戸黄門』みたいなものだと思いますよ。いい主人公と悪役がいて、悪いことをしている人たちを倒して“完”という分かりやすい構造ですよね。それを、この作品では主人公を1回“シタ妻”にしてしまったことで、完全な善人ではなくなってしまった。編集さんからは、「当たるかどうかは賭けですね」とずっと言われていました。
――主人公はタイムスリップしたことで、「夫とやり直したい」と反省して改心します。
【山口さん】どんな理由があっても不倫はもちろん悪い。だけど世の中は、完全な善悪でバッサリ切れるものはすごく少ないと思います。卑屈な性格の夫や、その不倫相手の性悪女。そして主人公が既婚者と知っていながら手を出した元不倫相手の彼も、全員どこか悪い部分を持っています。そんな彼らが、これからどうしていくかという点を楽しんで読んでもらえたらうれしいです。
(取材・文/渡辺麻美)