半年待っちゃダメ!...彼の気持ちが「遊びか本気か」の見極めどき
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 73
リク(27歳)制御本能レス、セクシーダイナマイト美女は果たしてセフレかと悩む

リクはフード宅配サービス専門店で働いている。事務職で入社したものの、まだ小さい会社なので人手がないときにはバイクで配達することがある。
「宅配先のお客をナンパなんかしてはいけない!」
社の厳格な規定とリクの道徳観がしっかり胸に刻まれていた。しかし、ベイサイドFUKUDA305号のお客、ありゃいったい何者だ? 毎晩オーダーが入る。店のメニューは全部制覇してる。1日2回オーダーされる時もある。
デリプレートを渡す時、「シャキーラかよ」とつっこみたくなる。
ロングヘアをかきあげながらキャッシュレス決済。そして挑発的な目で睨まれる。唇がいつも半開きだ。毎回ゆったりしたTシャツ。100%ノーブラ。いやあ、でかい。推定Eカップ。
なるべく目を合わさぬようにして、ササッとドアを閉める。もう一人の配達員ジローは「305のシャキ子」と呼んで恐れている。たしかに、部屋に引き込まれたら怖いというホラーセクシー系のお客。あの部屋の奥にはいくつもの男の亡骸が、と想像すると背筋が凍る。
恐れてる者に悪は忍び寄るものだ。休みの日、リクは海沿いのボードウォークのベンチでウェブマガジンを読んでいた。海風が、頬を心地よく撫でる。その時、シャキ子が目の前に現れたのだ。青い空、開放的な海景色にまったく似合わない…と思いきや、シャキ子は「デリさんでしょ、いつもありがと」とほほえんだのだ。やられてしまった。恐れの裏には、“囚われたい欲望”があるとリクは理解した。
そして付き合うこと3か月弱。
リクは過去4人と付き合っているが、比にならない。何が? セックスの回数、体位の豊富さ、エッチな言葉のバリエーション……すべてすべて。彼女の仕事は夜のお店系だと思っていたが、まさかのフリーのプログラマーだった。ちょっとかっこいい……。今となっては彼女の全部、ス・キ。
リクの部屋のベッドにシャキ子の香りが染み付き、シャキ子が来ないときも、ダイナマイトボディを思い浮かべながらひとりでいたすほど…。リクは自分のほとばしる性欲にとまどってしまう。
「俺ってセフレか? 飽きたら捨てられる?」と不安すら感じている。
【三松さんからのコメント】リクくんのケース、あるある。「彼女に近づくと魂持って行かれる」と怖くなるような女性、遠ざけようとすればするほど、気になってしまう。逆もありますね。「あんなチャラいEXITりんたろー。みたいな男、彼氏にしたら浮気される」と自分の心を制止するものの、引き寄せられてデートしてしまうみたいな。
恋とはそういうものですから。悔やむことはありません。
恋のストッパー。無理して制御しても苦しむだけ。うまくいかない恋、すぐ終わる恋、辛すぎる恋、すべて上等。経験を積むことで、相手を思いやることができる立派な大人にステップアップするのです。
恋を諦めるより、突き進んで破れたほうが肥やしになるんだ。
辛い経験があると、後輩やお友達の相談にも親身に答えてあげることができるでしょう。頼りにされることもこれまたいい経験。辛い過去を整理して話すことで未熟だった自分を作り変えることもできます。
ただし、制御するべき一線は守らねば身を滅ぼす。不倫とか、横取りとかあきらかに他者から憎まれる恋にはストッパーをかけてくださいね。セフレかどうかは、3か月くらいでジャッジできるはず。セフレ確定と感じたら、とっとと見切りを。ずるずる半年続くと、情が邪魔して決断力レスに陥ります。
「恋に損得勘定はいらない! お互い未婚であれば、まずは飛び込もう。セフレ or NOTジャッジは3か月をめどに実行せよ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。