エッチ苦手男子が増加中!...彼が「その気になる」唯一の方法
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 60
桃香(29歳)友達レスでクールな孤高の男と付き合ったら、地雷が多すぎて疲労困憊

桃香はタピオカ店の店長を任された。バイト時代の威勢がいい働きぶりが評価されて、契約社員になり、正社員になり、今年の春についに店長にのしあがった。同じ店舗のスタッフ、楓は年が近いのでいつも説教をたれてくる。
「店長、彼氏いないんですか? 作らないんですか? そのままじゃ干からびますよ」
背中を押され、出会い系アプリに登録した。恋愛経験が1.5回しかなく(うち0.5は未遂に終わる)不安だったが。一番はじめにマッチした空くんとの初デートで、まずそれを話してみた。
「俺も人見知りなんだよね。友だちとかいないし」
どちらかと言えば八方美人、無理してでも明るく話すタイプの桃香は、孤高な雰囲気の空くんにグっときた。
フリーのカメラマン。収入は不安定かもしれないが、そこは置いておこう。男を稼ぎで選んではいけないと女子向けwebに書いてあった。彼の撮る写真の繊細さが好きだ。人間関係が希薄だからか、シャイすぎるところもある。目線を合わせてくれない。まあ、コミュ力の高い桃香がカバーすればいい。
桃香は惚れ込み、4回目のデートの時に告白。付き合うことになった。
付き合って1か月。そして初のお泊りデート。空の家に着き、一緒に買った白ワインを飲みながら写真集を見ていたらさっそくいい雰囲気に。空の胸にもたれて甘えると空の心臓からドッドッと心音が聞こえた。緊張してるんだな。
しばらくすると空の手が桃香のシャツをめくりあげ、お腹から胸に向かってまさぐり始めた。
「あ……いやっ」
恥じらいが大事と思い、少し戸惑うフリをする。空の動きが止まる。
「嫌なの?」
嫌って本当に嫌なワケじゃない。首を横にブンブン振ると空は、ブラのホックをはずした。次はキスと思ったので、恥ずかしそうに目を背けた。
「嫌ならやめるよ」
え!?
空はすでに背中を向けている。
はあ?? むしろヤル気満満だったんですけど!
そしてエッチなしで、3か月経過。お泊りをしても、あれっきり手を出してくることはない。
「空くん、男友達とエッチの話とかしないの? お前、どんなことしてんだとか」
「そんな友達いない」
「じゃあ女子友が、教えてくれない? 同級生とか地元の女子友……」
「いるわけない」
ケンカに発展しそうな雰囲気。男性って男友達とワイワイエッチな話しながら知識をつけるんじゃないの? いや、ネットの情報でもいいけどとにかく、清純なお付き合いは脱却したい!! わたしゃアラサーだぞ。
孤高な彼の下半身問題に悩む桃香だった。
【三松さんからのコメント】草食系という言葉が数年前に出てきましたね。桃香さん系のお悩み相談をされる機会が増えています。同じベッドに寝ているのに、男性が手を出してこないというやつです。マンネリ夫婦のセックスレスなら、まあ理解できますが、交際開始のフレッシュ時期に、エッチに発展しない。
“エッチ苦手男性”の増加が深刻になってきています。
手を出してこないには、もちろんマイナスな面だけでなく、プラスの意味もあるのです。それは、彼女を大事にしているという側面。「僕は君のカラダ目当てではないんだよ」という。
しかし、付き合う前ならまだしも、付き合ったあとであれば、早く手を出してくれよ、私に魅力がないのかよ、と思うのが女性側の本音。今回のケースは、とにかく空さんに恋愛知識がない様子。通常であれば女性が恥らったり嫌がったりする姿に男性は盛り上がる。
女子友からの教えや元カノとの経験が少ないため、エッチの駆け引きがわからないという男性も一定数います。そんな場合には「そこが気持ちいい」「もっと進めて」などプラスな感情をストレートに伝えていくしかありません。相手は女の企みに気づかないのですから。
自分から誘うのが恥ずかしい場合は「寒いな」「腕枕してん」とピットリくっついてみたり、ボディラインがはっきり出る部屋着を着たり。「背中流してあげる」と裸になるのを促すのもよいかと。
友達レス男子は、クールで我が道を行く姿がかっちょいいかもしれませんが、コミュ力不足でエッチも自分流。
「クールな男はエッチも寒い…かもしれない。女子側からひたすらホットなエッチを仕掛けるしか道はない。長靴はいて雪道を進め」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。