記念日よりエッチしたい...性欲クズ彼氏が心改める「女のお仕置き」 レスなひとびと
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 28
香織29歳。彼氏といろんなイベント、せめてクリスマスと誕生日は過ごしたいのに、彼氏は知らん顔。彼氏とのハッピー画像投稿ゼロ枚の悲哀。
香織は、テンションが下がっていた。
「なんか今日、元気なくね? 焼鳥冷めるぞ」
彼氏の拓也が、あつあつの焼鳥をハフハフ頬張りながら、脳天気な満足顔をしている。
元気なくね? だと。
そりゃそうだ。今日は香織の誕生日。今日会おうなんて言うから、素敵なレストランを予約してくれてるに違いないなんて、期待した自分がバカだった。まあ、怒らず過ごすことにしよう。バースデーに喧嘩するのもむなしいし。
店を出る時、香織は提案してみた。
「まだ時間早いから、バー行かない? 甘いお酒飲みたい」
「今日はもう疲れたよ。帰ろう。泊まってくだろ?」
香織は今日、小花模様のおニューのワンピースを着て、メイクも念入りにしている。焼鳥を5本食べて、あとはもう帰るだけ?
拓也の部屋のドアを開けると、いきなりキスされた。
「え? ここで? ワインとか呑みなおさない?(サプライズでケーキとかないわけ? 花束はどこ?)」
拓也はもう香織の声は聞こえないほど興奮モードに入る。あっという間にワンピースを脱がされた。前戯もそこそこに本番だ。
“誕生日に、レストランやホテルどころか、玄関でセックス……”
思わず涙が出た。
元カレですら、誕生日ラインをくれたというのに。元カレとは、いろんなイベントを楽しめて本当に楽しかった。別れてしまったが、楽しい思い出の写真は今も消せない。
なのに拓也とは、夏季休暇、クリスマス、ホワイトデー(バレンタインはあげた)などの、イベント時、特別なことは何もない。拓也のバースデーは…彼の残業で会えてさえいない。
クリスマスはばっちりあけておいたのに「海仲間との飲み会があるから! またね!」とサクっと言われた。
「誕生日とクリスマスくらい、イベントらしいことがしたいなあ」
と言うと、
「俺、そういうの苦手だわ。常識に沿って生きるのつまんない。俺ら、毎日楽しいじゃない」
と一蹴。
高級プランを求めてるわけじゃない。年に2回のイベントくらい、浮かれたいだけなのだ。SNSを覗くのが辛い。彼氏と幸せそうに、イベントをイベントらしく過ごす友人たちの写真がたくさん。幸せそうだな。羨ましいな。こうやって付き合っていって、私は幸せになれるのか。
「最近元気? 久々にごはんでも行かない?」
2年ぶりにLINEをくれたのは元カレ。
さあ、香織、元彼との復活愛に走るか?!
香織さんと拓也さんの関係、昭和にはあったかもしれません。オトコの都合いい行動の影でオンナは泣く的な。
彼女の気持ちを汲み取る男性、気遣いする男性が増えた現代、拓也さんはちょっと残念かもしれない。でもでも「香織はわがままだなあ!」と思う方もいますよね。イベント苦手なひともいますから。
イベントごとが好きか、無関心かは、票がわかれるところでしょう。ただ香織さんは「付き合って○か月記念日を祝いたい」など、過度な要求をしたわけではありません。誕生日とクリスマス指定。
鉄板2大イベントをスルーすることで「大切にされていない」と感じてしまう女性は一定数います。(女子会調べ)
SNS好き女性はとくに。ハレの日は思いっきりアゲアゲ投稿したいのです。
どうしてもどうしても、そこの価値観が合わないということであれば、無理に一緒にいる必要はありません。
なぜなら。
将来、二人に大きな事件があったとき、蓄積された「イベントレス悲話」が爆発し「今まで私のこと大事にしてくれなかったじゃん」とポッキリ別れてしまう確率は高まる。
ずっと一緒にいたい彼女が「イベントを一緒に過ごしたい」とお願いしてきたら、年に2回のことです。実行あるのみ。彼女が喜ぶ顔のための思いやり。
香織さんと同じ悩みを持つ女性は「年2回のイベントしてくれないならセックスしない」とジャブ打ってみてください。
「鉄板2大イベントをスルーする彼氏には、あっちがしたいことを拒否るくらいのおしおきを! セックスなんかさせてやるな」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。