初エッチの予感...男の性欲を掻き立てる「さりげないエロアピール」 レスなひとびと
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 22
佳乃子(32歳)「反応レス」作戦は、今どき男子には伝わらず。
相手がちょっかいかけてきたらウフンモード♡ にギアチェンジ。
佳乃子は鼻歌を歌っていた。西野カナの恋の歌。なんと今日は、彼氏のジュンが初めて泊まりに来る。付き合って3か月。ジュンは久々の彼で、しかも3歳年下。大人っぽい女性が好きだろうからと、あえてがっつかずにいたのでまだ未セックス。
最近、頭の中は「いつエッチするんだろ」でいっぱいだった。今日に備えて、お風呂場で入念にスクラブをしたし、ワキソリソリもした。花柄下着も買って準備万端。
「佳乃子さん料理、上手だな~。カルパッチョとか作れるんだ。全部おいしくて惚れ直しちゃうよ」。ジュンは食べっぷりが良く、見ていて気持ちがいい。ほろ酔いにさせようと、ワインをつぐことに集中する。食事後、映画を見ながらまったりしていると、ジュンがうつらうつらと居眠りし出した。
やばい! 飲ませすぎたか。これで朝まで起きないとなったら最悪だ。
「ジュンくん、ここで寝ちゃ風邪引く。お風呂入ってきなよ」。う~んと起き上がると、ノソノソとお風呂場に向かうジュン。クマさんみたいでかわいい。
「佳乃子さんも一緒に入ろうよ」。ジュンの言葉にドキンとしたが、すぐに断る。「入らないよ。ひとりで入ってきなさい」。「えー」と言いながら、お風呂場に消えていく。
一緒にお風呂に入りたいが、おそらくジュンの元カノは20代。ヤングボディに慣れている彼にとって、自分のボディはどう写る?? 裸を見た瞬間、幻滅されたら怖いぞ。あれこれ思惑。ベッドで待っていよう。そのほうがかわいい。佳乃子は布団にもぐりこむ。
「え、佳乃子さんもう寝てるの? 眠いの?」
「う~ん。ちょっとね」。かわいく眠いフリをする。
ジュンがシーツをめくって隣に寝そべる。ドキドキドキ。内心大興奮。「佳乃子さん……」背中から強く抱きしめられた。反対側を向いて寝ているから顔は見えないが、ついにするのか、来るのか。来い。カモン。しようぜ初エッチ。
3分後……寝息が聞こえて来た。
え!! ガバっと振り返るとジュンが小さないびきを。
はああ??
男女がベッドで一緒に寝たら、男性が手を出してくるものじゃないのか。すやすやとクマさんのように眠る彼を見て、茫然とした。今日を逃せばジュンとはいつセックスできるのか。佳乃子は起き上がってひとりでワインを飲み直した。
男性=肉食という時代は終焉を迎えました。もともと性欲があんまりない男性もいるのが今の時代。セックスより楽しいことがたくさんありますから。「ファーストセックスのとき、女性は恥ずかしがって待っていればいい」は不正解です。
ジュンさんは、佳乃子さんに、ちゃんと探りを入れてきています。お風呂へのお誘いもあり、ベットでも後ろから抱きしめています。それに対し、恥ずかしいからと、軽く断ったり、背中を向けたまま、何の反応もしなかった。
経験浅い年下彼氏が「がっつかないほうがいいのかな」「眠いならそっとしてあげるのが優しさ」と感じてしまっても仕方がない。相手の意思表示に対し、ちゃんと向き合ってこちらからもハグするなど、最低限、「嫌じゃないよ」アピールはしましょう。好きな人に嫌われることは、性別関係なく、怖くて当たり前。特に今どき男子は、嫌がられることを恐れます。リスク回避型多数。
かわいい下着をつけたり、おいしい食事を用意したり、その努力はありですが、遠回しに塀を固めるだけでなく、ストレートなアクションも必須。素直に要望を伝えることです。言葉でなくともアクションでOK。女性がセックスをしたいと思うことは恥ずかしいことではありません。自信を持って、かわいいアピールの仕方を身につけていくのです。ギアチェンジをどこでするかは、女性にかかっている。
「まちがった反応レスで、男心は沈静化する。ただし! 嫌よ嫌よで燃える男もいるので見極めながら作戦を立てよ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。