だって家には...男が「彼女を部屋に絶対呼ばない」切実な理由 レスなひとびと
文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ
【レスなひとびと】vol. 20
指輪レス男にはまってしまったあゆみ(27歳)
もはや、同世代男との恋愛は無理。
あゆみには1年付き合っている彼氏、遼ちゃんがいる。41歳。遼ちゃんと知り合ったのはオトナゴーコン。その後はシンデレラ系の展開に。
数か月先まで予約があり、ひとりなら絶対に入れないような和風フレンチの店で食事をしたあと、ここで飲めば絶対セックスしたくなるだろう系のバーに行き、これでもかと言うほど口説かれた。
「なんでそんなにかわいいの? 今まで見た中で一番かわいい」「帰したくなくなっちゃうな……ホテル行こっか。あそこのホテルメンバーだからデラックスルーム泊まれるよ」。
そりゃ行くだろう。憧れホテルのジュニアスイート……。webでしか画像を見たことないが、とにかくキラキラしたお城みたいな部屋。そりゃ、泊まってみたいさ。
そのまま、一夜を共にしてしまった。遼ちゃんの薬指、もちろん指輪はない。
遼ちゃんからのアプローチは、その後もゴリゴリ。「次はいつ会える?」。LINEもマメで、あゆみの中で遼ちゃんの存在が大きくなっていき、ついに付き合うことに。歴代のモトカレたちとは大違い。こんなに遊び上手で会話が楽しい人もいなかった。もう若い男たちには戻れない。
ウフ〜ンと甘いため息をついた。と、その時、
「あゆみ~、ため息つくと、幸せが逃げてくよ。ねえ、もう彼の家に行った?」
社食でピラフを食べながら同僚の亜希と話す。
「行ってないよ。ホテルかうちの家。遼ちゃんのお部屋は自信ないから見せたくないんだって」
「付き合ってもう一年でしょ。怪しくない? 奥さんいないのかな?」
「いないいない! 不倫とか勘弁だし、遼ちゃんに限ってないよ!」
後日、仕事中に、一件のLINEが届いた。
「遼の妻です。突然ですが、もう遼と会わないでください。私、妊娠してるんです。次また会うなら、200万を請求します」
ドッスーン!!! 心臓が腰まで落ちた。
遼ちゃんにすぐに電話。
「こんなLINEが来たんだけど。結婚してたの?」
「俺、結婚してるって、付き合う前に言わなかったっけ? ごめん、妻にはよく言っとくよ。じゃあ、またいつか会おうね。愛してるよ。あゆみ」
電話が切れた。あゆみは給湯室の床にヘナヘナと座り込んだ。
あれから1年。あゆみはいまだ彼氏を作れず。遼ちゃんのことを忘れられない。恨むどころか、奥さんと別れてもう一度わたしに、とすら思っている。
「カムバックーーー! 遼ちゃーーーん」
あゆみの心は毎晩、震える声で叫んでいるのであった。
ワイドショーはもちろん、身近でもよく耳にする「不倫」。自分は不倫なんて絶対にしない! そんなふうに思っているあなたにも、知らない間に忍び寄るのが「不倫」。今そこにある危機。薬指を見て安心する時代は終わりました。私の身近な女性6人は、あゆみと同じく、指輪レス男と1年以上不倫継続。彼女たちの共通項は、根が真面目でピュア。人を疑わない。また男性側の共通項は、遊び上手、バブル系、話しやすい、相談に乗る、持ち上げる、セックス最高、連絡がマメ、絶対に家にいれない。だいたい、妻が浮気に気づき、別れてくれという連絡が来て、はじめて彼が結婚していることを知る。それでも彼がしつこく連絡をくれて、逃れられない、不倫の沼にハマる。
合コンに来ている=フリーなどと思ってはいないでしょうね。合コンの半分が実は既婚者だった! ということはアルアル。相手から見て取れる「もしかして?」の疑念に目を背けるのはやめましょう。愛してしまうと、疑念に蓋をしてしまうのね。結婚前の大事な時期を指輪レス男に捧げるのはもったいない。神も法律も認めてくれないのが不倫。慰謝料を請求されるのはあなた。
一番やっかいなのは、甘い時間のメモリアルがハートと体に刻印され、同世代の男性にもの足りなくなってしまうこと。ああ、恐ろしい。深みにハマる前に、疑う勇気を持って。
「家に呼ばない理由はただひとつ。妻がいるからだ! 男の指には透明の結婚指輪がはめられている。無念」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。