cover interview 池田エライザ

2018年07月21日 07時00分

ライフスタイル michill

事故物件に住み込んで事故や事件の履歴を帳消しにし、次の住人を迎えるまでにクリーンな空き部屋へと浄化(ロンダリング)する。
そんな都市伝説的な秘密の仕事をする八雲御子を通して、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる映画『ルームロンダリング』。
主人公、御子を演じる池田エライザさんに映画にかける想いを伺った。

Profile
1996年生まれ。ファッション雑誌「ニコラ」のモデルオーディションでグランプリを獲得しモデルデビュー。11年に『高校デビュー』で映画デビューし15年『みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢。17年『一礼して、キス』で映画初主演を果たして以降女優業が急増。公開待機作に『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『億男』がある。

プレッシャーや責任はあるけれどそれを任せてもらえたことはとても幸せでした

「どんなにコミュニケーション能力の高い女性でも御子ちゃんはいると思うんです」
 池田エライザさんが演じるのは天涯孤独な八雲御子。アヒルのランプが手放せない、ちょっぴり不思議な女のコだ。モデルとしての華やかなイメージをくつがえす、ひきこもりがちな女のコをどう演じたのか? 役作りについて伺うと冒頭の言葉が返って来た。

「みんな内弁慶な部分というか、外に出さない自分がいると思うんです。でも表ではそれを見せないように新しい自分を作って他人とコミュニケーションをとってる。とくに明るい人ほど1人でいるのが寂しかったり、人とたくさん接したからこそ心の壁が分厚くなったり人間不信になったりすることってあるんじゃないかなぁ。でも御子ちゃんはそれを隠さず、そのまま大人になった女のコ。神様は不公平だと思って生きているけれど、特別変わっているというより閉鎖的な環境が御子ちゃんをそうさせただけなんですよね。だから特別変わった女のコとしての役作りは意識しませんでした」

 御子というキャラクターは現場で作られたと池田さんは話す。
「御子ちゃんって根暗だけど、意外とかわいいものが好きなんです。緑と赤で統一した衣装もそうですし、レトロなカーテンや衣装ケース、アンティークなトランクにアヒルのランプが置かれた部屋にもかわいいが散りばめられてて。さりげなく置かれた動物の置物も、きっと御子ちゃんは雑貨屋さんで見つけたときにひとりで微笑んでから、うつむき加減で『これください…』ってレジに行ったんだろうなって。細かいとこまで想像できちゃう部屋をスタッフさんがこだわって作ってくれたので、自然と御子ができあがっていきました。私もこの前初めて雑貨屋さんに行ったんですけど、オシャレ過ぎて自分が来ていい場所なのか心臓がバクバクしちゃって。ドキドキしながらシュシュを買ってる自分に御子ちゃんとの親近感を覚えました(笑)」

 最近、原作ありきの映画が増えている中『ルームロンダリング』は完全オリジナル。撮影が進んでいく過程で作品がブラッシュアップされるのがオリジナルの良さだし、それに携われたのが幸せだったと池田さんは話す。
「原作がある役を演じるときは、そのキャラクターと、それを愛してくれている読者の方たちへのリスペクトが根底にあって。そのキャラのイメージを壊さないように、大事にしながら『あのキャラのまんまだ!』って思ってもらえるような演じ方をするんです。でもオリジナルはみんな正解がわからない中で、模索しながらアンサーを出していく作業。どっちも難しいけれど、オリジナルの方に愛着が湧いちゃいますね。御子ちゃんを作って行くプレッシャーや責任はあるけれど、それを任せてもらえるというのは自分にとって幸せなことでした」

 ストーリーは御子が見えてしまう幽霊たちが御子に悩みを相談することで進んでいく。自殺したものの夢を諦め切れないミュージシャン、自分を殺した犯人を見つけて欲しいOL…。最初は自分には何もできないと断る御子だったが、幽霊の『お前にしか見えねぇってことは、お前にしかできねぇってことなんだぜ』の言葉にハッとする。そこで池田さん自身がこれまでハッとさせられた言葉を伺うと。

 「“大人にはバレてるぞ”ですね。子供の頃から大人っぽいと言われることが多かったんです。自覚はなかったんですけど、周りがそういうなら大人っぽくいなきゃ、何でもできる姉御肌でいなきゃって意識してたんですよね。でも中学生のときに事務所の方からそんな風に言ってもらえて。肩肘はらないでそのままでいい、子供としてできることをやりなさいって意味で言ってくださったんだと思うのですが、その言葉ですごくラクになったのを覚えてます。なんだバレてるなら背伸びしなくていいんだ、ありのままでいようって思ったんです」

 家族がいること、そして死んでしまったら何もできないということ。普段、当たり前すぎて考えることすらしてこないことが、当たり前なんかじゃないということを教えてくれる『ルームロンダリング』。最後に池田さんに死ぬ前にやりたいことを伺うと返って来たのは『出てこない(笑)』と意外な答えだった。

 「細かいことは色々あるんですよ、例えば弟に彼女ができたらめっちゃ仲良くしたいとか。でもこういうお仕事させてもらってると、日々成し遂げたいことが出てきて、それを発言すると気づいた頃には叶ってたりする。でもそのときにはまた新しい目標ができてて… って更新していくのでその都度叶えていけたらいいなって思います。でも常々考えているのはいい走馬灯を作りたいなって。例えば、今こんな言い方したらいい走馬灯にならないな、とか、ウソつくくらいならやめておこうとか。なるべくいい思い出が積み重なるように細かいことも落ち着いて考えるようにしています。そしてつねに聡明な人でありたいですね。自分が今、なぜそれをしているのかを説明できる人でありたいです」

ルームロンダリング

©2018「ルームロンダリング」製作委員会
監督/片桐健滋 脚本/片桐健滋、梅本竜矢
出演/池田エライザ、渋川清彦、オダギリジョー 他
公開/7月7日(土) 新宿武蔵野館、渋谷HUMAX
シネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

PHOTO/Hirohiko Eguchi(LinX)
STYLING/Harumi Fukuda
HAIR&MAKE/Chie Toyota
TEXT/Satoko Nemoto

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2018年07月21日 07時00分

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