「絶対に死なせない」飼育員たちの奮闘で元気に成長、モフモフで希少なネコ科の赤ちゃんたち

2020年01月26日 09時30分

ライフスタイル eltha



生まれて間もないマヌルネコの赤ちゃん(写真提供:那須どうぶつ王国)


 野性味があるのに、モフモフ――。動物園に行くと、普通の猫とは一味違うネコ科の動物たちに出会うことができる。なかでも、希少種であるマヌルネコやユキヒョウは、猫好きもうならす人気ぶり。だが、その裏には、生育の難しい赤ちゃんたちを育て上げた、飼育員の奮闘があった。


【写真】野性味と可愛さにキュンっ! モサモサ毛皮のマヌルネコの双子


■生育難しいマヌルネコ、涙なしでは語れない飼育員たちの奮闘


 モフモフの愛らしさと、家猫とはひと味違う野生が共存し、高い人気を誇るマヌルネコ。国内でもわずか16匹(2019年当時)しかいないという、準絶滅危惧種の動物である。もともと高山帯などに生息しているため、雑菌に非常に弱く、感染症にかかりやすい。当然ながら飼育が難しく、無事に子どもから大人に育った例はこれまでに国内で3園のみだという。


 栃木県の『那須どうぶつ王国』の母猫のポリーは、2017年に4匹の赤ちゃんを出産したが、感染症によりすべて死亡。2019年4月にも再び8匹の赤ちゃんを出産するものの、1匹は死産。残る7匹の子どもたちは、生後5日間ポリーが育てていた。ところが、そんなポリーも感染症にかかってしまい、子どもたちをるためには母猫から引き離して人工保育する必要があった。飼育員のブログでは、当時の心境が語られている。


 「ポリーは体調が悪くなったにもかかわらず、必死に子育てをしており、人工保育に切り替えるのは苦渋の決断でした。いざ取り上げるとなったときも、ポリーは子どもたちを取られないように必死で守ろうとしました。今思い出しても、とてもとても心が苦しくなり、きっとあの光景は一生忘れることができません。しかし、取り上げたからには、残った子どもを育てることに気持ちを切り替えて、ポリーの体調の回復と人工保育が始まりました」。


 とはいえ、マヌルネコの人口保育は容易なものではない。


 「まず防護服、マスク、手袋を着用。全身に消毒液をかけ、靴を履き替え、消毒が済んだら一切何も触れない、関係者以外の出入りを禁止…などのルールを徹底し、感染症を予防。生後しばらくの間は、朝5時から夜中1時まで、担当者と獣医が交代しながらミルクを与えていました。ちょうど混雑するシーズンだったので、みんなとても大変そうでした」(広報・林さん)


 しかし、そんな奮闘努力も空しく、7匹のうち5匹の子どもが感染症で命を落としてしまう。


 「ポリーから取り上げて『絶対に死なせない。どうにかみんなで守る』と誓ったはずなのに、守れなかった。次々と死亡していく子マヌルを見て、胸が張り裂けるような感情と同時に、残っている子をどうにか守るという感情のくり返しの日々でした」(ブログより)


■無事成長し一般公開へ、“二度と触れられない”複雑な心境も


 生き残った2匹の子どもたちは、奮闘の甲斐あってその後順調に成長し、やがてエル(オス)、アズ(メス)と名付けられた。2019年7月には一般公開されるとともに、人口保育から関節飼育へと移行。飼育員たちは「ここまで育ってくれてうれしい気持ちと、手が離れていき寂しい気持ちと、新しい場所、知らない人がたくさんいる状況で大丈夫だろうか…という心配な気持ち」(ブログより)を感じながらも、子どもたちを思い、冷静に日々の飼育を続けているそうだ。


 「野生動物としての凛々しい姿や、たまに見せる表情の変化にも注目してみてください。父親ボル、母親ポリーの落ち着いている様子と、まだまだやんちゃな子どもたちエル、アズの動きをぜひ比較してみてください。じゃれている姿は今しか見られないかもしれません」(飼育員・千葉さん)。



 同じく、フワフワの毛並みと野性的なまなざしを併せ持ち、太いしっぽも人気なユキヒョウの子どもが、北海道旭川市・旭山動物園で成長中だ。現在一般公開されているのは、2019年7月に母親・ジーマから生まれたユーリ(メス)だ。12月の時点で、体重は推定10キロほど。


 ユキヒョウというと、ネット等では「しっぽをくわえた姿」の写真が人気だが、実際には「当園では見たことはありません。子が母親の尾にじゃれついたり、母親がわざと猫じゃらしのように尾を動かして遊んであげたりすることはあります」(飼育員・大西さん)とのこと。


 「ユキヒョウは、繁殖期には“ニャオーン”と大声で鳴き、異性を呼びます。子は不安なときに“ピー!”と小鳥のような高い声で鳴き、母親を呼びます。“フフフ、フフフ”と鼻を鳴らすのは親愛の表現。母子で鼻鳴らしをしているのを見ると、やっぱり親子愛を感じますね」


 そんなユキヒョウもまた、中央アジアの山岳地帯に生息する絶滅危急種。同園での生育も、これまですべてが順調だったわけではない。


 「2015年に母親ジーマから生まれた子は、出生の翌日に死亡してしまいました。ジーマが産箱に慣れていなかったことが一因と考えられます。産箱の環境に慣れさせ、2016年に生まれた子は無事に生育。2019年も出産の3ヵ月前から産箱に慣れさせて備えたところ、ここまで無事生育しています。親がしっかり子育てしていれば、飼育係がするべきことは少ないんです。朝、放飼場に出て、夕方に寝室に帰ってくる…という動きを今のうちから覚えさせておくぐらいですね」


 飼育員たちの準備が功を奏し、今では元気に成長しているユーリ。大西さんが、その見どころを教えてくれた。


 「中央アジアの高山帯に生息するユキヒョウの子育てを、間近で観察できるのはとても貴重なことです。ユキヒョウのような大型肉食獣は、とても小さく可愛らしい子を産みます。しかし彼らはあっという間に成長し、2~3歳で親離れして単独生活を始めます。それから先は、自分の力で獲物である草食獣を仕留めて生きていかなければなりません。厳しい自然を生きる、彼らのたくましさを感じていただければうれしいです」

eltha

2020年01月26日 09時30分

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