しいたけ.さんが星野源を好きな理由 「よくコンサートで...」

2019年11月23日 20時50分

ライフスタイル anan

今、多くの人が悩む「浮かれることについていけない」というお悩みについて、いつも優しい言葉で、私たちの悩みを受け止めてくれるしいたけ.さんにそっと聞いてみました。

「浮かれる」ことが苦手でつい冷めてしまう人へ。



こんな人はぜひ!

おめでたいことに、心が反応しない。 人混みを想像するだけで気持ちが鬱々とする。 友達の誘いを断ることが多い。

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「浮かれる」という言葉に、みなさんどんなイメージがありますか? 僕は、ワールドカップで盛り上がったり、ハロウィンで仮装をしたり、というようなことを思い浮かべますが、もしかしたらそういったお祭り騒ぎに拒否反応を示してしまう人もいるのではないでしょうか。そもそも真面目で勤勉な人が尊ばれる日本では、浮かれるってあまりいいイメージではないかもしれませんね。でも僕は、浮かれることはとても大切だと思っています。


なぜこんな話をするのかというと、それは、「幸せとは何か」につながることだと思うから。浮かれるって、言ってしまえばあまり意味のないことなのですが、僕はそういうことにこそ、幸せの本質があるような気がしています。


今の世の中に生きている人たちは、勉強ができるとか、収入が高いとか、「商品」としての価値を求められることが、どうしても多くなってしまいますが、それは終わりのない戦いを常にしているようなもの。ずっとその渦中にいると、やっぱり幸せって感じられなくなっちゃいます。だから、商品としての価値から離れた生産性のない時間、「それやって何になるの?」っていう時間が人には必要だと思うんです。


そしてもうひとつ、「浮かれる」と「幸せ」の関係について、お話ししたいことがあります。僕は、幸せって、実はちょっとしたうしろめたさや罪悪感が潜んでいるからこそ、感じられるものだと思っているんです。たとえば深夜のラーメンに幸福感を抱くのは、「ほんとはこんな時間に食べちゃいけないのに」という気持ちが、ちゃんとどこかにあるからなんですよね。そういういけないことをするような感覚は、「浮かれる」にも共通すると思っていて、浮かれるのが苦手な人って、たとえば「ワールドカップで騒ぐくらいなら英単語を覚えたほうがいい」みたいな子ども時代を過ごしてきたんじゃないかって。そんなふうに勤勉で成績がよかったり、親の言うことを聞いてほめられる子であったりっていうのは、若いうちはそれで幸せが保証されていたかもしれませんが、大人になると、案外、「適度にろくでなし」だった人のほうが仕事ができる、なんてことはけっこうあるんです。逆に、冷めた気持ちで他人のアラを探し続けてしまうクセは、どこか「浮かれ」のブレイクスルーを体験してこなかった人に多いのではないでしょうか。


カラー心理学でいうと、浮かれ上手なのは赤やオレンジ、ピンクなど暖色系。一方で、寒色系は浮かれるのがちょっと苦手です。ネイビーは自分に厳しく浮かれることを許さないし、緑は自分からは浮かれないけどのってはくれる。エメラルドは浮かれたいのに、浮かれ方がわからない…という感じです。もちろん、浮かれたくないなら無理する必要はありません。でも、浮かれてみたい気持ちが少しでもあったら、心にブレーキをかけずにえいっとのってみてほしいのです。


来年は特大の浮かれ祭り、オリンピックが東京で開催されます。せっかくの機会なので、それをナナメに見ていないで浮かれちゃってもいいと思います。でもだからといって、浮かれを強要されるのは違うと思うんです。今年、元号が平成から令和に変わった時も、「さあ、みんな喜びなさい」っていう世の中に漂っていたムードに、のれなかった人もいるでしょう。


浮かれるって、なにもみんなでやらないといけないことではない気がしているんです。むしろ一人のほうが、浮かれることの出発点としては幸せなのかな、と思うことも。というのも、ここでちょっと僕が好きな星野源さんの話をしたいのですが、星野さんはよくコンサートで「バラバラになってほしい」と言ってくれるんです。日本だと、「踊って」って言われると、つい周りを見て正しい踊り方をマネしたくなったりしますよね。でも、「合っていなくていいから、好きな動きをしてほしい」と。僕は星野さんのそういうところが、すごく好きなんです。確かに楽しみ方を決められてしまうと、それはもう楽しみじゃないっていうか。


僕は数年前から趣味を探す活動をしているのですが、その時にも一人のほうがいいかもと思ったことが。釣りをやってみたいと思って、釣りが好きな友人に連れていってもらったことがあるんですけど、いきなり上級者のやり方を教えてくれたものだから、大変な思いをしてしまったんです(笑)。もちろん友人はよかれと思っているし、その方法を覚えたほうが上達は早いに違いない。でも、その道のプロに最初からくっついていっちゃうと、その人の好みに染められることになるし、自分で徐々にうまくなっていく感覚も楽しめない気がするんです。


だから、「浮かれる」という言葉を聞いた時、僕みたいにみんなと一緒に盛り上がらなきゃってプレッシャーに感じる人は、まずは一人で浮かれることから始めてみるといいと思います。浮かれるのが恥ずかしい者同士が「今度一緒に浮かれてみない?」と言い合ったら最高です。それに浮かれるって、オリンピックみたいにいわゆる祭り的なことだけではなく、周りの人には理解できないような個人的な趣味にハマるのも浮かれの一つ。今はネットでいろんな情報に触れられるので、自然と心が動く浮かれスイッチも探しやすいんじゃないでしょうか。あるいはタピオカブームみたいにちょっとミーハーな祭りにのってみるのもすごくいいと思います。今のところとくに興味を持てるものがないという人には、家で一人でダンスを踊ることをおすすめします。音楽が流れて体が動くということは、ある種のノリのよさにつながっていくと思うから。


浮かれ方は人それぞれ、自由でいいと思います。ただ、人目を気にせず、無邪気に楽しめる場所を持ってほしい。浮かれることに素直になれると幸せの感度が上がりますし、自己満足はけっこう大事なんです。「私はなんて愉快な人なんだ」と一人で笑えたらハッピーになれるから。


しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究する傍ら占いを学問として勉強する。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)、『しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢』(KADOKAWA)など。


※『anan』2019年11月27日号より。イラスト・100%ORANGE 文・保手濱奈美


(by anan編集部)


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