連続殺人鬼に初挑戦の阿部サダヲ「岡田健史くんは予測不能でおもしろい人」

2022年05月03日 20時00分

エンタメ anan

ミステリー作家・櫛木理宇の最高傑作とも言われている『死刑にいたる病』が、ついに実写映画化。『孤狼の血』や『凶悪』で知られる白石和彌監督が手掛けたこともあり、原作ファンのみならず、映画ファンからも注目を集めている1本となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

阿部サダヲさん


【映画、ときどき私】 vol. 480


劇中では、世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村(はいむら)を演じた阿部さん。岡田健史さんや岩田剛典さん、中山美穂さんといった豪華俳優陣との共演はもちろん、阿部さんの見事な怪演ぶりがすでに話題となっています。今回は、役作りの裏側や現場での忘れられないエピソード、そして日常生活におけるこだわりなどについて、お話いただきました。


―『彼女がその名を知らない鳥たち』に引き続き、すごい役で白石監督からオファーがきましたが、どのようなお気持ちでしたか?


阿部さん 白石監督とはまたご一緒したいと思っていたので、声をかけていただいたときはうれしかったです。ただ、まさか24人も殺している殺人犯の役になるとは考えもしませんでしたが……。でも、役者である限り、この榛村という人物は一生に一度あるかないかくらいの役ではありましたし、先輩たちからも「凶悪な役とか合うんじゃない?」と言われたこともあったので、挑戦したいと思いました。


―これまでも幅広い役どころを演じられているので、シリアルキラーの役が初めてというのは少し意外な感じがしました。


阿部さん ファンの方が教えてくださったんですが、歴代の作品のなかで刑務所に入っていることは多いみたいです(笑)。でも、ここまでひどい殺人犯ではなく、どれも軽犯罪ですが。とはいえ、捕まっている場面や面会のシーンがけっこうあったので、演じたことがありそうというイメージがあるのかもしれません。


―では、実際に演じてみて、いかがでしたか?


阿部さん 人をいたぶる場面では、経験したことのないようなことばかりでしたし、けっこうハードな描写も多かったので、気持ち的にはきついところもありました。でも、撮影自体は楽しかったです。

実は、血が流れるものやゾンビが得意ではない


―ちなみに、原作は読まれてから現場に入られたのでしょうか。


阿部さん 偶然、妻が読んでいたので、家に原作がありましたが、身近にあったことに驚きました。このような話を思いつくことに驚きましたが、すごくおもしろかったです。


―ということは、こういったタイプのサスペンスやミステリーなどはお好きですか?


阿部さん いや、苦手です(笑)。というより、怖いです。実は、血が流れるものが苦手で、ゾンビとかもあまり得意ではなくて……。なので、この作品では、本当にひどいことをしているなと自分でも思ったほどです。


―苦手な方がされているとは思えないほどの狂気で、特に目の迫力がすごかったですが、そこは意識されていましたか?


阿部さん 僕自身はあまり気にしていませんでしたが、監督は『彼女がその名を知らない鳥たち』で僕が見せた目の怖さが印象に残っていたので今回の配役をしたとおっしゃっていました。男性を突き飛ばすシーンのときに、「5分前に人を殺したような顔をしてほしい」と言われて作った表情でしたが、監督はそういうところを伝えたかったのかもしれないですね。

岡田くんに引き出されるようなところはあった


―なかでも、引き込まれたのは、岡田健史さんとの面会のシーン。綿密なリハを行っていたのか、それとも本番でぶつかり合う感じだったのか、現場の様子を教えてください。


阿部さん 岡田くんとは撮影に入るずいぶん前に1回だけ本読みで顔を合わせたくらいで、全然会っていなかったので、どういう芝居をしてくるかもまったくわからない状態でした。なので、面会シーンは僕もすごく楽しみだったんです。岡田くんが外で何をしていて、どんな芝居をしているかを僕は見られないので刺激的でしたね。それに、彼は純粋な方なので、外から帰ってくるたびに顔が変わっていくんですけど、それがおもしろくて。


ネタバレになるので詳しくは言えませんが、彼が僕のことを“ある人物”と勘違いしているシーンでは、不思議な表情を浮かべていて、そういうふうにアプローチしてくるのかと驚かされました。それを受けて僕も違うパターンで行きましたが、そんな感じで僕も引き出されるような感じはあったのかなと。本当に予測不能でおもしろい方ですよ、岡田くんは。


―ぜひ、おふたりの表情には注目していただきたいですね。そのほかにも豪華な共演者が揃っていましたが、印象に残っている方といえば?


阿部さん 中山美穂さんは、会えるだけでうれしかったですね(笑)。だって、中山美穂さんですよ! 僕が芝居を始める前から見ていて、すごい時代を生きてきた方ですからね。


―共演者というよりは、ファン目線に近い感じだったと。


阿部さん そうですね。でも、度胸がなくて話しかけられませんでした……。ずっと見てたんだから、話しかければいいのにと思うんですが。


―ということは、一度も声をかけられずに終わってしまったのですか?


阿部さん 川辺で撮影していたときに、確か僕が蚊に刺されて、「ここは蚊がいますよ」くらいは言った気がします(笑)。でも、その1回きりなので、もう少し話しかければよかったなとは思いました。

人を操るよりも、操られるほうが楽に感じる


―それは次回の共演に持ち越しですね。完成した作品をご覧になったとき、気になるシーンなどはありましたか?


阿部さん 岡田くんが外で動いている様子を見るのは初めてだったので、まずはそれが楽しみでした。自分のシーンでいうと冒頭のほうにレコードを聞きながら紅茶を飲んでいるところがありますが、撮影のときは「クラシックっぽい曲が流れます」とだけ言われていたんです。


でも、監督が榛村のテーマソングを作ってくださっていたので、曲が流れた瞬間にしびれたというか、ゾクっとしました。『Mr. ビーン』のオープニングくらいでしか、聞いたことのないような曲でしたから(笑)。すごくうれしかったのもありますし、かっこいい曲だったので、監督にお願いしてすぐに曲のデータをいただいたほどです。


―今回は、人を巧みに操る話術や表情というのは、事前に研究されたりしたのでしょうか。


阿部さん 榛村としては自然にしていることなので、どうすれば操れるかというのを意図的に考えていたわけではありません。なので、芝居している感じにも見えないような意識はしていました。「あの人がこんなことをするなんて……」と近所の人が言うような雰囲気が出ればいいかなと。「連続殺人犯ってこうでしょ」ではなく、榛村が日常を過ごすなかで、結果的に人を操っていたという感覚です。


―ちなみに、ご自身は人を操るのは得意ですか? それとも操られがちですか?


阿部さん どっちもある気がしますが、あまり人を操れてはいないかもしれないですね。「飲み会やってよ」と人に言っても、誰もやってくれませんから。


―(笑)。ということは、できれば飲み会の幹事を操りたいと。


阿部さん そうですね。でも、人との付き合いや距離感が一番難しいですよね。何でも言うこと聞いてくれる人がいたら逆に怖いですし。そういう意味では、人を操るほど責任を持てないので、操られるほうが楽かもしれないです(笑)。

ルーティンを決めずに生きている


―また、榛村といえば、典型的な秩序型殺人犯ということで、自分のなかで絶対的なルールがいくつかありましたが、阿部さんにもこれだけは譲れないルーティンのようなものはありますか?


阿部さん 僕はそういうのを決めて生きていないんですよね。とはいえ、お休みがないとおかしくなってしまいそうなので、お休みだけはきちんといただいています。あと、コロナ禍になってから、僕も家族も家にいる時間が長くなりましたが、そこで気がついたのは、ひとりの時間も必要だということでした。おそらく、向こうも思っていると思いますが(笑)。


―では、お気に入りのひとり時間の過ごし方といえば?


阿部さん 知らない道を行って、迷っているときが一番好きです。変な道に入って行くと、ワクワクしますから。そういうところがあるので、ルーティンがないのかもしれないですし、なので芝居でも作っているときが一番楽しいんでしょうね。


―なるほど。迷うからこそ見えるものもあるんですね。


阿部さん ちなみに、最近はスマホのマップで近道を教えてくれますが、それを巡って妻とケンカになることも。なぜなら、僕の知っている行き方のほうが早いと僕が思っているからです。妻は僕が早歩きするつもりだとか言うんですけど、そんなことしなくても絶対僕のほうが早い。だって、僕は50年以上も生きているわけで、そんな最近できたばかりのマップに負けるはずがないんですよ! 


―(笑)。確かに、スマホに操られている感じが嫌だなと思うことはありますし、迷う楽しみがなくなった気はします。


阿部さん そうですよね。そんなふうに決めないから迷うし、毎日がすごく変わっていく感じはあります。ご飯を食べに行っても、毎回同じものを頼むこともしないほうかもしれないです。

変化するかどうかは、自分が決めること


―ほかにも、仕事のあとの楽しみといえば何ですか?


阿部さん あまりないですが、お買い物とかは好きです。いまは自転車がほしいなと思っています。


―自転車で行きたい場所はありますか?


阿部さん 瀬戸内のほうにあるしまなみ海道は、自転車で走ってみたいですね。でも、いざ行くとなったら面倒になってしまいそうではありますが……。


―行けないと思うと行きたくなりますし、行っていいよと言われると面倒になるお気持ちわかります。


阿部さん そうなんですよ、難しいですね。


―では、ananweb読者へ向けて、阿部さんから元気になるようなメッセージをいただけますか?


阿部さん 明日は必ず来るものなので、僕は毎日生まれ変わっていいと思っています。変化を嫌う方もいますが、女性はどんどん変わっていいんじゃないかなと。ただ、「変化するかどうかは、君が決めることだよ」ということは覚えておいてほしいなと思います。


―素敵なお言葉をありがとうございます。それでは最後に、本作の見どころについても教えてください。


阿部さん もしかしたら、女性のみなさんは普段あまり観ないタイプの作品かもしれませんが、人を信じていいのか、いけないのかという部分も描かれていますし、注意喚起にもなる作品だと思っています。僕自身もこういう役は初めてなので、そのあたりもぜひ注目していただきたいです。

インタビューを終えてみて……。

劇中では、血も涙もない冷酷な表情に背筋がゾッとしましたが、取材では次々と繰り出されるおもしろいお話で終始笑わせてくださった阿部さん。まさに新境地とも言える役で見せる細かな表情の動きや仕草、そして観客までも操るような声のトーンなどにぜひ注目してみてください。

ギリギリの心理戦から目が離せない!


二転三転する真実の先にたどりつく、驚愕のラストに戦慄が走る究極のサイコ・サスペンス。かつてないほどの残虐さを見せながら、得も言われぬ魅力で人々を惹きつける連続殺人犯・榛村に、あなたも翻弄され、いつの間にか虜になってしまうはず。

写真・北尾渉(阿部サダヲ) 取材、文・志村昌美 

ストーリー


鬱屈した日々を送っていた大学生・雅也のもとに、一通の手紙が届く。それは、稀代の連続殺人鬼として世間を震撼させた榛村からだった。犯行当時、榛村は雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていたのだ。


すでに、死刑判決を受けていた榛村だったが、「最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」と雅也に依頼する。事件を独自に調べ始めた雅也だったが、そこには想像をはるかに超える残酷な事件の真相があった……。

謎が深まる予告編はこちら!


作品情報

『死刑にいたる病』

5月6日(金)全国ロードショー

配給:クロックワークス


©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会

写真・北尾渉(阿部サダヲ)

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2022年05月03日 20時00分

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