上田慎一郎監督に皆川暢二が共感「借金苦のホームレス時代、幸せを感じたのは...」

2022年01月12日 20時30分

エンタメ anan

2022年も年明けからさまざまな話題作が顔を並べていますが、そのなかでも異彩を放っている注目作といえば『ポプラン』。ある朝、突然家出してしまったイチモツを見つけ出すために奮闘する男性を描いた異色の物語です。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。

上田慎一郎監督 & 皆川暢二さん


【映画、ときどき私】 vol. 443


今回、長年温め続けていた企画の映画化を実現したのは、『カメラを止めるな!』で社会現象を巻き起こした上田監督(写真・左)。本作では、映画『メランコリック』で主演・プロデューサーを務め、国内外の映画祭で高く評価された皆川さん(右)を主人公・田上役に抜擢し、タッグを組んでいます。完成するまでの道のりや見どころ、そして本作を通して感じたことなどについて、おふたりに語っていただきました。


―まずは、劇中でイチモツを意味する『ポプラン』というタイトルが非常に気になります。由来をおうかがいできますか?


監督 実は、それは企業秘密です(笑)。というのも、僕が言ってしまうとそれが答えになってしまいますからね。そうではなくて、観た方それぞれに想像していていただきたいと思っています。


―なるほど。本作は構想10年ということですが、どういった経緯で生まれたのか教えてください。


監督 アイディアが生まれたのは、僕が20代後半の頃で、フリーターをしながら自主映画を作っていたときのこと。ふと思いついただけだったので、最初は単なる奇抜なアイディアでしたが、すぐに脚本を書き始め、いなくなってしまったアレを捕まえる過程が自分を探す旅になるという物語に自然となりました。


ただ、そのときは1本の長編映画にできる感触を僕自身がつかみきれていなかったので制作には至りませんでしたが、今回はCinema Lab(シネマラボ)という映画実験レーベルで「好きなものを作ってください」と言っていただいたので、ぜひ作りたいなと。僕もまだ若造ではありますが、この10年の間に成功も失敗も味わい、結婚して子どもを持つといういろいろな経験をしてきました。であれば、それらの思いを重ねて映画にできるのではないか、という実感を持てたのも大きかったです。

成功のあとにくる“壁”も描きたいと思った


―ということは、いまだから描けた部分もあったと。


監督 そうですね。もし10年前に作っていたらもっと軽い物語になっていたと思います。今回は漫画配信で成功を収めた経営者を主人公にしましたが、当初は小さなバーの店長でした。設定を変えたのも自分がある程度の成功を経験し、映画監督としてご飯を食べていけるまでになっていなければ思いつかなかったのかなと。そのうえで、成功のあとにくる“壁”みたいなものを描けたらいいなという気持ちもありました。


―皆川さんは最初にオファーをもらったとき、どのような反応でしたか?


皆川さん それまで上田監督とはあまり接点がなかったので、びっくりしました。でも、そのあとに監督が描きたいものや作品の概要が文字で送られてくるのではなく、オンラインミーティングで監督が自らの言葉で丁寧に説明をしてくださったんです。それを聞いたうえで自分なりの解釈をし、ぜひやらせていただきたいとお答えしました。

 

―そのときに、ご自身が選ばれた理由などについても考えられたのでしょうか。


皆川さん 監督に直接質問することはなかったですが、あとから聞いた話では、お互いにインディーズ映画を制作するなかで、『カメラを止めるな!』ほどではないものの、僕も『メランコリック』という作品で少し知っていただけるようになったので、同じ境遇にいる人間として共感してくれるんじゃないだろうかと。その話を聞いたときは納得しましたし、主人公の田上までいかなくても、僕にも忘れかけていたものがあったんじゃないかなと演じながら感じる部分はありました。

親にどれほど支えられていたかを実感した


―この作品で描かれているように、あることが当たり前なものでも、失くして初めて大切さに気づくことはよくあります。おふたりにもそういう経験はありますか? 


監督 たくさんありますね。ちょっと恥ずかしいですけど、「幸せ」もそのひとつなんじゃないかなと。たとえば、学生時代の僕は映画監督になり、映画を作って生活していけるならそれはめちゃくちゃ幸せなことだと思っていました。で、実際にいまはそのときに思い描いていた自分になれているので、幸せなんですけど、それでもどこか満たされない瞬間を感じることも……。と言っても、幸せを失くしたわけではないんですけどね。


皆川さん いやー、その気持ちわかります。僕は、父親の存在ですね。まだ健在ですが、これまで海外に1年行っていたときや親元を離れたりしたときに、一定期間失くすような状況を経験し、そのときに親のすごさやどれほど支えられていたのかを実感しました。


監督 そういうのありますよね。いま僕には4歳の息子がいて、毎日遊びに際限がないので、正直言って1日中一緒にいるのはけっこう大変だなと感じることも。でも、仕事が忙しくて妻の実家に預かってもらうと、寂しくなって、リビングがもうちょっと賑やかでもいいのにと思うことがありますから。

身近にあるものがいかに大切かを知った


―幸せも家族も、かけがえのないものですよね。


監督 あと、もうひとつ思い出しました! 僕は20代前半で借金まみれになってしまい、友達も家も失ってホームレスをしていたことがあるんです。そのときにずっとお風呂に入れない期間が続いていたんですけど、そこからのシャワーはものすごかったですよ(笑)。シャワーってこんなにも人にとって大切で、幸せなものだったのかと知りました。


皆川さん これもめっちゃくちゃわかります。僕もアメリカを自転車で横断していた頃、基本的に野宿をしていたので1週間くらいお風呂に入れないこともありましたから。毎日すごい汗をかいていたこともありますけど、しばらくぶりのシャワーはヤバかったですね。いまそのときのことを鮮明に思い出しました。


―幸せ、家族ときて、まさかのシャワーにたどり着くとは(笑)。


監督 あと、布団とかもそうかな。


皆川さん つまり、身近にあるものがいかに大切かということですよね。

僕のポプランは田舎に安らぎを求めているかも(笑)


―そうですね。本作では、イチモツを失くした人たちは過去に関わりのある人たちや場所を訪ねる自分探しの旅に出ますが、もしご自身も朝起きてなくなっていたらどうしますか?


監督 自分ひとりで抱えていたら頭が狂いそうになるので、まずは妻に話しますかね。妻になら見せられますから。そのあとは地元に帰ると思います。コロナ禍で両親にも友達にも久しく会えていないのもありますが、もしかしたら僕のポプランが東京での慌ただしい日々のなかで、田舎に安らぎを求めているかもしれないので(笑)。


皆川さん 僕も実家のある横浜に帰って家族に話をします。近所に少し大きな川があるんですけど、小中高とよく遊んでいた場所でもあるので、「俺は何か初心を忘れてはいないだろうか」とポプランが失ったことの原因を自分に問いかけながら河川敷を歩く気がします。


監督 僕も琵琶湖のほとりでよく遊んでいたので、地元に帰ったら琵琶湖に行くかもしれないですね。


―映画でも海が出てきますが、ポプランは水辺を求めがちなんでしょうか……。


監督 琵琶湖は「マザーレイク」とも呼ばれていて、母なる湖なので、ポプランは最初に生まれた母の胎内を求めて琵琶湖の周辺を飛んでいる気がしています。


皆川さん というか、みんなで大真面目にこの話をしている図が一番シュールですよね(笑)。でも、これこそが『ポプラン』の世界観じゃないかなと。


監督 まさにそうですね。

撮影は難しかったけど、おもしろかった


―また、劇中ではポプランが飛んでいるシーンなども見どころですが、撮影で大変だったことがあれば、教えてください。


監督 実際にポプランがどのように表現されているかは劇場で見ていただきたいですが、まず実物は映らないのでご安心いただければと。撮影中は、ポプランの軌道をみんなで話し合い、イメージしながら慎重に進めていきましたが、そこはけっこう苦労したところですね。


皆川さん そうですね。監督からどういう特徴なのかを聞きながら演じましたが、口のなかでモゴモゴ動いているシーンとか、地味に見えるところもいろいろと考えてやりました。難しかったですけど、おもしろかったです。あと、脱ぐこと自体に抵抗はなかったですが、僕的には前張りが大変でしたね。実は見えているところもあるんじゃないかと心配しているのですが……。


監督 (笑)。それはちゃんとチェックしているので、大丈夫です!

普遍的な物語なので、性別問わず楽しんでほしい


―それでは最後に、ananweb読者へ向けてメッセージをお願いします。


監督 あらすじを読んでギョッとする方や女性だと楽しめないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれないですが、試写で観ていただいた女性からは、「自分にイチモツはないけどすごく共感できた」という声も上がっているほど。極端な話のようですが、普遍的なことを描いているので、性別問わず、子どもからお年寄りまで楽しめる作品になっています。観る方によってかなり感想が変わってくる映画にもなっているので、ぜひ観た方同士で語りあっていただき、鑑賞後もこの映画を膨らませていただけたらうれしいです。


皆川さん 先ほど監督からもお話がありましたが、注意書きとしてまず伝えておきたいのは、はっきりイチモツが映ることはありません。なので、キワモノっぽい印象だけで判断せずに観ていただきたいです。おそらくみなさんが過去に経験したことのある部分とリンクするポイントが各エピソードに入っているはずなので、そういったところに共感などをしていただけたらと。あとは、単純に「男ってバカだな」とこの設定を純粋に楽しんでもらえるのもおもしろいと思います。

インタビューを終えてみて……。

どんな質問にも、真剣でありながら笑いも忘れずに答えてくださる上田監督と皆川さん。過去の経験や撮影の裏話、そして「もしも自分だったら……」の話など、どれも興味深く聞かせていただきました。気になるポプランの姿と正体は、ぜひ劇場でじっくりとご覧ください。

見たことのないエンターテインメントに引き込まれる!


想像の遥か上を行くコメディタッチな展開で笑いを誘いつつ、誰もが共感してしまうまさかの人間ドラマへとつながっていく本作。いい意味で予想を裏切る秀逸なストーリーを堪能しながら、「自分にとっての“ポプラン”とは何か」を考えてみては?

写真・北尾渉(上田慎一郎、皆川暢二) 取材、文・志村昌美

上田慎一郎ヘアメイク・堀ちほ

皆川暢二スタイリスト・沖田慧/ヘアメイク・Chieko Katayama (HMC)

ストーリー


東京の上空を高速で横切る黒い影が目撃され、ワイドショーでは「東京上空に未確認生物?」との特集が放送されていた。ある朝、漫画配信で成功を収めた経営者の田上は、自分のイチモツがなくなったことに気がつき仰天する。


イチモツを失った人々が集う「ポプランの会」という名の集会に行き着いた田上は、取り戻すための説明を受けていた。「時速200キロで飛びまわる」「6日以内に捕まえねば元に戻らない」「居場所は自分自身が知っている」といったイチモツに関する情報を得ることに。そこで、田上は疎遠だった友人や家族の元を訪ね、家出したイチモツを探す旅へと出るのだった……。

興味をそそられる予告編はこちら!


作品情報

『ポプラン』

1月14日(金)テアトル新宿ほか全国公開

配給:エイベックス・ピクチャーズ


©映画「ポプラン」製作委員会

写真・北尾渉(上田慎一郎、皆川暢二)

anan

2022年01月12日 20時30分

エンタメ anan

BIGLOBE Beauty公式SNSはこちら!

最新記事はここでチェック!

タグ一覧

ヘアアレンジ スタイリング 時短アレンジ術 簡単アレンジ術 前髪 人気ヘアカラー まとめ髪 ショートヘア ボブ ミディアムヘア ロングヘア ストレートヘア パーマヘア ポニーテール お団子ヘア ヘアアイロン活用 ヘアケア シャンプー 髪のお悩み 流行ヘア モテヘア カジュアルヘア オフィスヘア ヘアアクセサリー バレッタ ターバン ヘアピン・ヘアゴム 小顔ヘア セルフネイル ジェルネイル 上品ネイル ピンクネイル カジュアルコーデ シンプルコーデ ナチュラルコーデ プチプラコーデ フェミニンコーデ コンサバコーデ ガーリーコーデ モテコーデ ベーシック ゆったりコーデ ママコーデ ストリートコーデ モードコーデ ギャル 結婚式コーデ ミリタリー モノトーンコーデ カラーコーデ スポーツMIXコーデ パーティスタイル ヘビロテ 着回し抜群 トップス アウター カーディガン シャツ ワンピース ビスチェ パーカー フーディー コート トレンチコート カラージャケット スカート フレアスカート タイトスカート ミニスカート デニムスカート ガウチョパンツ ワイドパンツ ワイドデニム スキニーパンツ バギーパンツ 靴下 タイツ スニーカー サンダル ミュール ニューバランス ブーツ ショートブーツ パンプス 帽子 ニット帽 ベレー帽 スカーフ グッズ メガネ ベルト 腕時計 ピアス トレンドアイテム バッグ ファーバッグ クラッチバッグ リュック ショルダーバッグ チェック柄 グレンチェック 刺繍 ファー ロゴもの コーデュロイ デニム 色気のある格好 花柄 ボーダー柄 レイヤード パンツスタイル ドレススタイル ニット スウェット anan表紙 雑誌付録 ユニクロ GU しまむら ZARA メイク術 スキンケア クレンジング 化粧水 美容液 オールインワン 美白ケア 毛穴ケア 眉毛ケア コンシーラー ファンデーション マスカラ アイシャドウ リップ 乾燥対策 ムダ毛ケア バストケア ヒップアップ マッサージ エクササイズ ダイエット ヨガ 動画レシピ サラダ カフェ巡り スタバ ひとり旅 女子旅 パワースポット巡り 人気スポット 絶景スポット 絶品 お弁当 スイーツ パン 占い 心理テスト 結婚 浮気・不倫 モテテクニック スピリチュアル 恋愛お悩み 男性心理 デート 恋愛テクニック ドン引き行動 エッチ LINE体験談 ホンネ告白 胸キュン 片思い カップル話 婚活 倦怠期 ファッション恋愛術 プチプラ おしゃれマナー マネー お仕事 家事・育児 趣味 アプリ 癒し 大人女子 金運 ミュージック アニメ・漫画 アウトドア 清潔感 インスタ映え イメチェン パンチョとガバチョ ナイトブラ 脱毛 置き換えダイエット ケノン 痩身エステ

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、 各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。
ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。 本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。
ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。