「日本人で大ファンなのは...」香港の注目女性監督が語る日本の魅力

2021年11月04日 20時00分

エンタメ anan

仕事や結婚の問題だけでなく、家族との関係まで、働く女性たちの悩みは尽きないもの。そこで、そんな思いに共感せずにはいられない女性たちの姿を描いた注目作をご紹介します。

『花椒の味』


【映画、ときどき私】 vol. 426


ある日、旅行代理店で働くユーシューのもとに「父が倒れた」という知らせが入る。病院に駆け付けたものの、すでに息を引き取っており、話をすることもできなかった。その後、久しぶりに父が経営していた火鍋店「一家火鍋」へ行き、遺品の携帯を見ていると、自分とよく似た名前があることに気がつく。


葬儀の日、台湾からは黒い服を着たクールなルージー、重慶からはオレンジ色の髪の元気なルーグオが出席し、これまでお互いの存在を知らなかった三姉妹が初めて顔を合わせることに。すぐに打ち解けた3人は、それぞれが持つ父の思い出について話し合う。そして、ユーシューは賃貸契約と従業員を抱えた父の火鍋店を継ごうと決心するのだが……。


「香港のアカデミー賞」とも称される香港電影金像奨において、11部門でノミネートをはたし、高く評価された話題作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

ヘイワード・マック監督


ヴェネチア国際映画祭功労賞の金獅子賞を受賞するなど、香港映画界でも著名なアン・ホイさんがプロデューサーを務める本作で、才能に惚れ込まれて抜擢されたマック監督。映画化するうえでのこだわりや働く女性たちに伝えたい思い、そして日本が好きな理由について語っていただきました。


―この企画の話をもらったとき、どのようなところに魅力を感じましたか? 


監督 最初に小説を読んだのですが、三姉妹がそれぞれの立場と場所で父親の過去を追いかけるという展開が非常に面白いと思いました。この作品を映画化するうえで意識していたのは、年齢の違う彼女たちが破綻した家庭のなかで失くしてしまったものをどうやってもう一度見つけることができるか。そして、どうやって自分自身を取り戻して成長できるか。そのあたりをどのように描くかは、苦労したところです。


―今回、撮影は香港、台北、重慶の3か所で行われています。3都市にまたがったからこその面白さなどがあれば、教えてください。


監督 まず、私がこの3都市を選んだ理由は、地理的な環境がまったく違ったから。たとえば、香港にはトンネルがあり、台湾には橋や高速道路があり、重慶には川があります。そんなふうに、それぞれの街が持っている特徴が大きく異なっているというのは魅力的でした。


というのも、離れた場所同士はトンネルや橋や高速道路で繋がっているのに、どうして人の心と心は通じ合うことはできないのだろうか、ということを暗に意図したかったからです。私はこの作品で、物理的な距離ではなく、心の距離についても見せたいと思っていたので、今回のような設定にしました。

人の価値は結婚や恋愛で決めるものではない


―そういった人と人の間にある心の距離については、以前から問題を感じていたのでしょうか。


監督 そうですね。すぐ近くにいるにもかかわらず、他人と心の距離を感じることは普段からありました。たとえば、話す言語が違うとか、考え方が違うといったことだけで相手を拒絶してしまう人もいますからね……。なので、そういったことは前から考えていたと思います。


―ユーシュー、ルージー、ルーグオの3人が抱えているさまざまな問題は、日本の女性でも共感する部分は多いと感じました。劇中でも描かれていますが、女性のキャリアや結婚観の変化についてどのようにお考えですか? 


監督 当然のことながら、時代とともに女性に対する考え方は変化していると感じていますが、自立して生きていくことと、結婚は別問題だと私は思っています。この映画のなかでけっこうリアルに描いているのは、重慶のパート。両親が何とかして相手を探し、娘を結婚させようとするのですが、これは現代でもずっと続いていることですよね。


ただ、人の価値というのは恋愛や結婚をしているかどうかで決めるものではありません。キャリアの面においても、自分自身を確立していくことのほうが大事だと私は思っているからです。これは女性だけに限ったことではありませんが、人をひとつの価値観や決められた標準に押し込んでしまうのではなく、まずはひとりの人として見ることのほうが重要なのではないかなと。誰でも独立し、成長することができる存在なのだと言いたいです。

仕事をするうえでは、ひとりの人間として向き合っている


―その通りですね。では、監督自身が仕事を続けるなかで、貫いていることはありますか?


監督 いまでも映画業界は男性社会なので、女性であるがゆえの困難に直面することもありますが、私が一番よくないと思っているのは「自分が女性だから」と被害者意識を持ってしまうこと。私自身は、仕事をするうえで、男性も女性も関係なく、「自分はひとりの人間なんだ」と思うようにしています。だからこそ、私は人間的な映画を作りたいということに対して一生懸命向かって行けるのかもしれません。


どこの社会でも、「女性だから」「外国人だから」と相手を見下す人がいますが、私からすれば一番見下されている人は、真面目に取り組んでいない人ではないかなと。どんなことにも一生懸命な人は見下されることはないと信じているので、私は監督として映画を撮る際には、自分が持っている力を精一杯発揮し、努力するように心がけています。


―ぜひ見習いたい意識です。では、まもなく日本で公開を迎えるいまのお気持ちについて、お聞かせください。


監督 私は日本がすごく好きで、いままでに日本のさまざまなタイプの監督から多くのことを学んできました。それだけに、自分の作品で日本のみなさんと接することができるというのは、非常に光栄なことですし、うれしく思っています。


日本には行ったこともあり、その際に感銘を受けたのは奈良で見た草地を焼くお祭り。人と自然が一体となっている様子だけでなく、自然に対して敬意を払っている姿を見て、心を打たれました。日本の伝統的なお祭りや文化には、自然に対する敬意が感じられるので、そういったところも素晴らしいと感じています。

自分に「愛してる」と言ってほしい


―ちなみに、日本の作品などで影響を受けているものはありますか?


監督 まず、映画監督として大好きなのは、黒澤明監督の作品。最近では、是枝裕和監督のことも尊敬しています。そんななかで、一番好きなのは北野武さん。映画監督としてというよりも、人としてとにかく好きなんです。北野さんが書かれた本も読みましたし、俳優として出られた作品も監督作も観ていますが、どれも素晴らしいので、大ファンになりました。


あとは、アニメも大好きでお気に入りは『AKIRA』。それから、実はananもよく読んでいるので、私はanan読者のひとりなんですよ。


―ありがとうございます! ananのどんなところがお好きなのでしょうか?


監督 ちょっとお恥ずかしいのですが……、イケメンの男性たちがよく登場しているからというのは大きいですね(笑)。でも、それだけでなく、写真もすごくキレイなものが多いですし、あとは男女間に関する記事も多くて、とても興味深い内容だと思います。ただ、私は日本語がわからないので、日本語ができる友達に頼んでいつも読んでもらっているんです。


―そんなふうにお楽しみいただけて、うれしい限りです。では、監督の仲間でもある読者のみなさんへメッセージをお願いします。


監督 誰が何と言おうと、みなさんは美しい存在です。だから、自分のことを大事に抱きしめて、自分に「愛している」と言ってあげてくださいね。

人生には、ピリリと辛いときもある


悲しみが押し寄せてくることがあったとしても、人との絆が癒しと新たな幸せを与えてくれるのだと感じさせてくれる本作。自分自身と向き合うことで成長していく彼女たちの姿は、熱々のスープのように心の奥まで温めてくれるはずです。

取材、文・志村昌美

味わい深い予告編はこちら!


作品情報

『花椒の味』

11月5日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

配給:武蔵野エンタテインメント株式会社


©2019 Dadi Century (Tianjin) Co., Ltd. Beijing Lajin Film Co., Ltd. Emperor Film Production Company Limited. Shanghai Yeah! Media Co., Ltd. All Rights Reserved.

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