山崎まさよし「手こずりました」と語るデビュー25周年のメモリアルアルバム

2021年09月21日 20時00分

エンタメ anan

【音楽通信】第90回目に登場するのは、現在、デビュー25周年というアニバーサリイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん!

アーティストとしての原点は地元のライブハウス

【音楽通信】vol. 90


1995年にデビューし、現在デビュー25周年というアニバーサリーイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん。


音楽活動はもちろんのこと、主演映画『月とキャベツ』(1997年公開)の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、近年も主演映画『影踏み』(2019年公開)で俳優としても活躍するなど、さまざまな顔をわたしたちに届けてくれています。


そんな山崎さんが、2021年9月22日に、メモリアルとなるニューアルバム『STEREO 3』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。


――おさらいとして、まず山崎さんがデビューする前によく聴いていたアーティストから教えてください。


たくさんいますが、基本的にはシンガーソングライターで、楽器を演奏する人の音楽をよく聴いていました。(イギリスのミュージシャン)エリック・クラプトンであったり、(アメリカのシンガーソングライター)スティーヴィー・ワンダーであったり。他にもギタリストの曲や洋楽を聴くことが多かったですね。でもやっぱりザ・ビートルズ、なかでもポール・マッカートニーにすごく憧れていました。


僕が洋楽を聴き始めたのは、地元の山口県に住んでいた頃です。アメリカのヒットチャートを紹介する『ベストヒットUSA』(テレビ朝日系 1981年〜1989年/2003年より復活し現在BS朝日で毎週金曜 深夜0時から放送中)という、小林克也さんが司会をされている音楽番組のチャートをよく観ていて、興味を持ちました。


――いつ頃から楽器に触れ、シンガーソングライターを目指すようになったのですか。


中学3年生ぐらいのときにアコースティックギターを買って、ひとりで弾いていたのですが、高校生になると先輩とバンドを組んでドラムを担当しました。でも結局、高校3年生のときにみんなバンドを卒業していって、ドラムを叩くことがままならなくなって、ひとりでできる音楽はないかと考えるようになりました。


その頃、地元に「Boogie House」というライブハウスがあって、そこに「歌わせてくれないか」と交渉しに行ったんです。ほぼブルース専門のライブハウスだったので、ブルースのアナログ盤などが置いてあって、週に1度通うようになりました。マスターと一緒に演奏したりカバーをやったりして、ライブ活動を続けていくなかで、シンガーソングライターを目指すようになりました。


――その後、1995年9月にシングル「月明かりに照らされて」でメジャーデビューされてから、昨年デビュー25周年を迎え現在25周年イヤーですね。これまでを振り返ってみての心境をお聞かせください。


あっという間だけれど、やっぱり、いろいろなことはありましたね。この歳になると、1年がすごくはやく感じます。デビュー10年目ぐらいのときは「まだ10年か」と思っていたら、知らない間に四半世紀になっていたという感じですね。


音楽活動としては、ツアーをやって、制作をやっての繰り返しです。そのときどきでこんなことがあった、あんなことがあったという記憶はありますが、現場で僕についてくれているマネージャーが変わっていったことも、25年の歴史を感じさせますね。


25周年記念の「STEREO」シリーズ最新作

――2021年9月22日にニューアルバム『STEREO 3』をリリースされます。仕上がってみての手応えはいかがでしょうか。


実は、本当に発売延期になるんちゃうかな、というくらい手こずりました(苦笑)。アルバムの制作時は弾き語りのツアーに入っていたので、なかなか制作のほうにベクトルがいかなくて。あと体力的なものもありますし、切り替えが難しいモードのなかでやっと完成できて、良かったです。


――今回「3」となっていますが、1996年11月発売の『STEREO』、1997年11月発売の『STEREO 2』から、約24年ぶりの作品を「3」としたのは、特別な意味があるのですか。


最初に『STEREO』を出した頃の他のフルアルバムには、『アレルギーの特効薬』(1996年発表)や『ドミノ』(1998年発表)などもあるんですが、これらはサウンドプロデュースも楽器演奏も含めて、他者との関わりで作っているものなんです。


この『STEREO』は、全部の演奏を自分でやっているという意味において、『STEREO』『STEREO 2』とともに「プライベートアルバム」という位置づけで制作しているなかでの、今回の『STEREO 3』です。


ただ、以前出した『SHEEP』(1999年発表)が、そういう意味では『STEREO 3』だったんですが(苦笑)。だから最近は、ほぼ「STEREO」シリーズなんですよ。今回、タイトルを考えたときに「『STEREO3』ってどうですか?」という提案があって、タイトルを曲からはつけづらいので、それでいいかと。


けっして面倒くさかったわけではないです(笑)。25周年という記念的な部分もありますし、「STEREO」シリーズがすでにあるということをファンの方もご存知なので、「3」ならなかなか購買意欲をそそられるのではないかと思います。


――収録曲についてもうかがいます。2曲目「Hello ヘヴン」は忌野清志郎さんの声も聴こえてくる楽曲ですが、どのようにこの曲が生まれたのでしょうか。


「愛し合ってるかい?」という、ライブで清志郎さんが「スローバラード」(清志郎さんがいたバンドのRCサクセションの名曲)の前に、きまってお客さんをあおる言葉が、この曲の「Boys and Girls」と歌う裏で、入っています。さらに最初の「うかうかしてると見失う」という歌詞の部分では、僕が清志郎さんのものまねをして歌っています。

なんでそうなったかというと、「ヘヴン」とは「天国」のこと。清志郎さんが亡くなられてからずいぶん経ちますが、そんな天国にいる清志郎さんに歌っている曲が1曲あればいいなと。それは、僕が所属しているオフィスオーガスタ創始者の森川欣信さん(現・最高顧問)が提案してくれて、清志郎さんの遺族の方に許可をとって、この曲で声を使わせてもらっているんです。


――もともと山崎さんは清志郎さんがお好きですよね。


はい、高校時代にドラムをやっていたときは、RCサクセションのコピーバンドだったんですよ。プロになってからは、少しだけ、清志郎さんと交流もありました。最初は、この曲全部「清志郎さんのものまねで歌わないか?」と言われたんですが、「それは無理」と(苦笑)。この一部分だけだったら、いけるかもと、「Hello ヘヴン」が完成しました。


――4曲目「霧雨」は少しメランコリックな曲です。ラストに鐘が鳴り、雨の音も印象的です。


それも森川さんの案ですね(笑)。最初は、雨音が入っていなかったんです。でも最後に鐘の音を入れて、不安をあおるようにしたいとか、そういうアイデアはいっぱい持っている方なんですよ。


――制作されるときは、いつも話し合いながら作るんですか?


いや、今回は「レコーディングやるから一緒にやらない?」って、僕から誘ったんです。昔は、制作サイドに5人ぐらい人がいて、やいのやいの言いながら制作していました。でも面倒くさくなって、いつからか「STEREO」シリーズのようにひとりで作るようになってしまったんですよ。


ただ、よく考えたら、いろいろな人と関わって、切磋琢磨しながら制作していくのもいいんじゃないかなと。とくにいまはコロナ禍で、こういった状況下でひとりでレコーディングしたら、より独りよがりになってしまうのが、ちょっと嫌だったのかもしれません。それで、もともとRCサクセションのディレクターをやっていた経験もある、森川さんをお呼びしました。


――では逆に、コロナ禍じゃなかったら、人を立てるとは思わなかったのでしょうか。


そうかもしれないですね。いまはないじゃないですか、顔をつきあわせて、ちょっとムカッとしながらも話し合うとか(笑)。全部僕の意見を肯定するわけではなく、何かを否定されることもあるので。例えば、歌詞についての添削をされたりすると、若いときなんてそれだけですごくムカッとしていたんですよね。でも、こういうときだからこそ、他人の意見を生で聞きたくなるんです。おかげで、今回はアレンジも面白くなりました。

――8曲目「泣き顔100%」は小粋で弾むような楽曲で、山崎さんの声の後ろに、子どもの声が聴こえますね。


これ、娘です(笑)。子どもが楽曲に参加するのは初めてなんですが、家の地下をスタジオにしていて、今作を作っていて。ちょうどリビングで、娘がひとりで留守番していたので、「ちょっと来て」って呼んで作りました(笑)。


子どもが泣くときって、悲しみ100%なんです、絶望しているんですよ、世の中に。涙を流して、全力で泣いちゃうんですよね。だから、そういう歌を作ろうかなと。でも、子どもが泣いているところを見るのも嫌いじゃないんですよ、いつも可愛いなあって見てしまうんです。だから、そんな歌にしてみました。


――娘さんは、おいくつぐらいなんですか。


幼稚園の年長だから、6歳になります。長男は、小学校4年生なので、もう娘ほどは全力で泣かないですね。どちらにしても、この曲には、女の子の声のほうが良いと思って、娘が参加しました。


――アルバムのリード曲となる6曲目「サイドストーリー」は、9月15日に先行配信されていますね。


この曲は最初、誰かに提供しようと思って作った曲でした。でもそれをやめて、自分のアルバムに入れて。「ENEOS EneKey 2周年キャンペーンソング」になりましたが、僕が25周年でもあるので、そこも意識して書いていますね。


――歌詞ですと「どうだい? そろそろ また旅に出ないか」と、前を向いて歩いていく力強さを感じました。


大人になったら、冒険しなくなるじゃないですか。仕事でツアーに出て冒険のようなことが実現していてありがたいんですが、家にずっといてくれと言われたら、僕はインドア派なのでずっと家にいられるんです。でも、たまに外に出るのも必要なのかもと。


歌詞にある旅というのは、人生の旅なのかもしれないし、実際に外へ出る旅なのかもしれないし、いつもとは違う方面のことに踏み出すということかもしれないし、情報を探ることかもしれない。人それぞれにとっての、旅に出ないか、という意味がありますね。


これからも、楽しく探究して、挑戦していきたい

――お話は変わりますが、山崎さんはDIYがお好きなことで知られていますが、ご自身のYouTubeチャンネルでも毎週金曜日にDIYシリーズ「craftpapa」を配信されて本格的ですね。


けっこう、大変なんですよ(笑)。月に1回、2作品ぐらい作るんです。朝9時から夜8時まで、1日がかり。ちなみに、DIY好きが高じてできた歌が、アルバムの7曲目「斉藤さん」です(笑)。もともと何かを作ることが好きなんですよね。


DIYをやり始めたきっかけは、東日本大震災のとき。東京も揺れましたが、僕はそのときツアー中だったんですが、帰ってくると置いていたギターが何本も倒れていました。それで全部のギターを立てかけられるようにと、ギタースタンドを作ったあたりが、最初だったと思います。


あとは結婚して、妻からも「棚がここにほしい」というオーダーがあって、なかなかジャストサイズのものがないときに、「だったら作ったらいいんじゃないか」となって。近くにホームセンターや木材を売ってくれるお店を見つけたので、10年ぐらい前からDIYをやっていますね。いまはうちに工具もありますし、丸ノコもふたつありますし、溶接機もありますし、普通の家にないものが揃っていますよ。


――今年はバラエティ番組『有吉ゼミ』(日本テレビ系 毎週月曜19時)の人気企画「八王子リホーム」にご出演され、ヒロミさん、SixTONESのジェシーさんともDIYをしていましたが、すでに趣味の域を超えて、プロのような知識と仕上がりでしたね。


たぶんみなさんがけっこう引くぐらい、普段からDIYをやっていますからね(笑)。ヒロミさんとジェシーさんが作ってくれたベンチも良かったですし、ヒロミさんには「(事業者向け工業用間接資材の通信販売の)モノタロウのユーザーは、俺と山ちゃんぐらい」と言われましたね(笑)。けっこう、嫌いじゃないんですよね、自分で作るのが。家にも作業場がありますし、車庫の中で狭いスペースですが、そこで何かを作っています。


――ではDIY以外だと、おうちではお子さんと遊んだり?


そうですね、夏だとプールをやったりと、子どもと遊んでいます。「プールやりたい!」といわれて用意して、実際に入って遊ぶのは子どもですが、家庭用プールに空気を入れて膨らませて水を入れるといった“作業”が僕は好きなんですよ。遊んだら水を抜いてたたむという作業も好きで。あと、卓球台もあるんですが、子どもが「卓球やりたい!」と言ったら、卓球台を設営するんです。そういう作業が、好きなんですよ(笑)。

――作る作業というと、お料理もお好きですか?


やりますね。妻からも「ごはん作って」と言われたら、晩ごはんを作ったりして、挑戦ですよね、毎回。味付けとか、いろいろ試してみようかな、と。揚げ出し豆腐を作ったことがないから、今日は作ってみようかな、とか。毎年、僕が梅干しもつけていますし、妻は家庭菜園をやっていますね。


――素敵なご家庭ですね。いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。


僕の活動はデビューしたときから決まっていて、制作と、ライブパフォーマンスですよね。だから、そのやり方は変わらないですし、体力が続く限りは、ずっとやっていくと思います。それとともに、まだ欲求があるんですよ、何かを作りたいという欲求が。これをやろうかな、試してみようかな、というもの。


それが料理にせよ、DIYにせよ、ギターを弾くことにせよ、歌にせよ、自分自身のスキルを上げていきたいんです。歳を重ねるごとにできなくなってくることもあるかもしれないですが、上手いやり方を見つけていきたい。力を抜きながらも楽しめて、また探究もできる、ということにこれからも挑戦していきたいと思っています。


取材後記


1995年のデビューから、25年間、わたしたちの心に響く歌声を届けてくれている、山崎まさよしさん。ananwebの取材では、時に穏やかな笑顔を見せていただきながら、和やかに取材を進めることができました。これからも音楽活動や俳優業など、ご活躍が楽しみな山崎さんのメモリアルアルバム『STEREO 3』をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。

写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり

ヘアメイク・島徹郎(juice) スタイリスト・宮崎まどか


プリントシャツ ¥20,680(RAGA MAN / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、カーゴパンツ ¥14,300(REELL / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、バングル ¥5,500(FACTOTUM / FACTOTUM LAB STORE)ほか スタイリスト私物。


<SHOP問合せ先>HOLLYWOOD RANCH MARKET 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町 28-17 Tel・03-3463-5668/FACTOTUM LAB STORE 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-17-16 代官山TKビル1F  Tel・03-5428-3434


山崎まさよし PROFILE

1971年12月23日、滋賀県生まれ山口県育ち。1995年にシングル「月明かりに照らされて」でデビュー。 1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。


精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェスやイベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。


2020年9月25日にデビュー25周年を迎え、アニバーサリーイヤーの締めくくりとなる2021年9月22日に、メモリアルアルバム『STEREO 3』をリリースする。


Information



New Release

『STEREO 3』


(収録曲)

01.Prelude

02.Hello ヘヴン

03.Flame Sign

04.霧雨

05.虹のつづき

06.サイドストーリー

07.斉藤さん

08.泣き顔100%

09.温かい手

10.Updraft


2021年9月22日発売

*収録曲は全形態共通。


(通常盤)

UPCH-20593(CD)

¥3,300(税別)


(完全生産限定盤)

PDCN-1928(CD+プラモデル)

¥7,700(税別)

※プラモデル全長約100mm、スペシャルBOX【縦244mm 横190.5mm高さ48.5mm ※若干の個体差が発生する可能性があります。】に同梱。



写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり

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2021年09月21日 20時00分

エンタメ anan

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