歌の名手・望海風斗「先生から“面白みのない歌”と言われ...」 宝塚時代を振り返る

2021年08月17日 19時10分

エンタメ anan

少女の頃に宝塚の世界に魅了され、自らもその道を歩いてきた。一作ごとに進化を遂げた先に辿り着いたトップスターという場所。そこで大輪の華を咲かせ、この4月に退団した望海風斗さん。宝塚でも屈指と謳われた歌の名手が、新たな世界で見つめるものとは。そして今あらためて、歌への想いを伺った。

美しく深い歌声を携え、新たな航海へ漕ぎ出す。



歌詞に綴られた想いをひとつひとつの音に込め、深く豊かな歌声で歌い上げる。宝塚歌劇団でも群を抜く歌唱力の持ち主だった元雪組トップスターの望海風斗さん。


「歌は小さい時から好きだったみたいです。最初の頃は、ただ叫んでいるようにしか聞こえなかったと思いますが、ずっと歌っていたんだとか。自作で何か歌いだしたと思ったら、途中から『おもちゃのチャチャチャ』に変わっていたり。とにかく今の楽しいと思う気持ちを歌で表現するような子供で。それを毎日のように聞かされていた親は、さぞかし大変だっただろうと思います(笑)」


もちろん音楽の授業も好きで、「とくに歌う時間が好きだった」。そんな少女がある日、宝塚と出合い、タカラジェンヌとなった。しかし、「下級生の頃はあまり歌を披露する機会がなかった」という。



「当時、私が在籍していた花組に歌のうまい方がたくさんいらしたんですね。こういうのをやってみたかったとか、このメンバーに入りたかったと思うような場面があっても選ばれることはなくて。上級生の方からも『下級生で歌の出番をもらえる機会はなかなかないから、ダンスを頑張ったほうがいい』と言われました。その時、もちろんダンスを頑張らなきゃというのと同時に、ちょっとうまいくらいじゃ選んでもらえないならば、相当練習しないといけないんだとも思ったんです。その頃からずっと、『この人の歌をもっと聴いてみたい』と言っていただけるような歌を歌えるようになりたい、と思い続けてきた気がします」


正確なピッチ、声の伸びや声量、声質。歌に必要とされるものはたくさんあるが、望海さんの歌が高く評価されるのはそれだけではない。その歌から、情感がじわりと染み出すように、時に溢れ出てきて、それが深く心に刺さるのだ。



「下級生時代、厳しい先生がたくさんいらして、あまり歌で褒められたことがなかったです。それどころか“面白みのない歌”だとか言われて、どうしたら歌って面白くなるんだろうと考えるようになっていきました。声にばかり頼って歌うと、中身のないつまらないものになってしまう。とくにミュージカルにおいては、お芝居の途中に突然歌いだすわけです。感情がうわーってくる瞬間があって、だから音楽が始まって、その想いが音にのって歌になっていく。音楽がかかったから歌うわけではないんです。それに気づかせていただきましたから、あの時に厳しく言っていただけてよかったです」


その望海さんが4月の退団後初のソロコンサート「SPERO」を開催することを発表。男役でもタカラジェンヌでもない、ソロアーティストとしての本格始動となる。



「これまでは男役という、ある種、作り込まれた世界のなかでやってきました。まずは、無理して女性を作っていくのではなく、いったんニュートラルな状態になって、そこから新たなところに進んでいこうと思っているところです。今の、新しい一歩を踏み出そうとする瞬間を、コンサートという形でお届けしたいと思っています」


ゲストには、ブロードウェイやウエストエンドで『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』の主役も務めるラミン・カリムルーさんのほか、井上芳雄さん、海宝直人さんという、これまた屈指の歌い手たちが名を連ねる。



「ラミンさんと井上さんは、在団中の『NOW! ZOOM ME!!』という公演に出演いただく予定でしたがコロナ禍で叶わなかったんです。こんな状況のなかラミンさんが来日し出演してくださることが信じられないですし、井上さんとは男役としてご一緒する機会はありましたが、今回、違った視点でさせていただけるのが楽しみです。海宝さんとは初めての共演。一緒に歌わせていただくことでどんな世界が広がるかワクワクしています。初めての世界に飛び込む時に、こんな素晴らしいプロフェッショナルの方々に支えていただけてありがたいです」


この謙虚な学びの姿勢が、望海さんの今を築き上げているのだろう。気になるのは、ここからどんな活動をしていくかだけれど、「まだとくに考えていない」そう。



「コロナ禍で自宅にこもっていた時間、タイのドラマをはじめいろんな作品を見たんです。視野も広がったし、そこにいろんな発見がたくさんありました。今はもっといろんな人に出会って、いろんな景色を見て、もっといろんなことを知りたいという気持ちでいっぱいです。そしてそこから得たものを何かの形で還元できるようになったらいいなと思っています」


Q.エンターテインメントのどんなところに魅力を感じていますか?


フィギュアスケートが好きなんです。競技でもありますから、エンターテインメントだけでは括れませんが、観るたびに感動をいただきます。フィギュアは、積み重ねてきた練習の成果を、一回にすべて出しきるわけです。観続けていると、その時その瞬間、その人からしか生まれない“何か”に出合えることがあります。それは必ずしもうまくいった時ばかりではなく、何か不測の事態が起こった時の見事な対処の仕方に惹きつけられる場合もある。どちらにせよ、「今、すごいものを見た!」という体感がしたくて観ているのかもしれない。それはつねにあるわけじゃないからこそ、見逃したくないし、目撃した時に応援し続けてきてよかったと思うんです。


Q.エンターテインメントが自身にもたらしたものとはなんですか?


昨年春、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』という作品の東京公演が開幕したばかりのタイミングでコロナ禍になり、予定していた半分以上の公演が中止になりました。それまで、エンターテインメントは自分を元気にしてくれるものと思ってきたけれど、自分はエンタメを作るほうの側にいて、みんなが元気になるものをお届けする側なんだということを意識するようになりました。それにはただ毎日を漫然と過ごすのではなく、自分自身をもっともっと磨いて、次に生まれてくる作品を観た人が幸せになるような素敵なものにしなくてはいけない。そう考えるようになった今、エンターテインメントは、自分を高めてくれる存在なのかなと思います。



望海風斗コンサート「SPERO」

望海さんの宝塚歌劇団退団後初となるソロコンサート。宝塚時代の思い出の楽曲のほか、ジャズやポップスなどのスタンダードナンバー、海外ミュージカルの楽曲などを歌い上げる。8月11日(水)まで梅田芸術劇場メインホール、9月26日(日)~10月5日(火)KAAT神奈川芸術劇場 ホールほか、福岡、愛知でも公演あり。梅田芸術劇場 TEL:0570・077・039


のぞみ・ふうと 神奈川県出身。2003年に宝塚歌劇団入団。その歌の実力で注目され、’14年『エリザベート』で演じたルキーニで注目を集める。その後、雪組に異動し、’17年に雪組トップスターに就任。今年4月に『fff/シルクロード』で退団。退団後の初舞台『エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート』のトート役も大きな話題に。


衣装はすべてスタイリスト私物


※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・樽木優美子(TRON) スタイリスト・菊池志真 ヘア&メイク・国府田 圭 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES


(by anan編集部)

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2021年08月17日 19時10分

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