林遣都「撮影中、毎日癒されてました(笑)」 中川大志と共演の映画『犬部!』
――可愛い動物に囲まれながら、動物保護をテーマに掲げた作品に、どんな想いを持って臨みましたか。
林:撮影前に、獣医さんなどとお会いしたり、お話しもさせていただきました。動物保護という深いテーマに切り込んでいる作品でもあるので、僕にとっての挑戦でもあったし、覚悟を決めて臨みました。途中、これでいいのかな…なんて悩んだこともありましたが、颯太のモデルになった先生をはじめ、みなさんが「この作品を通して一人でも多くの人たちに動物保護の現場や僕たちの活動が広がるのであればありがたいです」ということをおっしゃってくれて。すごく素晴らしい作品に参加できたことを実感しました。
中川:僕は、動物の殺処分についてや、保健所の歴史など、今まで知らないことだらけだったんだな、と衝撃を受けるところからスタートしたので、現場を知り、柴崎を演じながらたくさん勉強させていただきました。獣医さんの働く現場にもおじゃまして。
林:そうそう、動物の手術現場にも行かせていただきましたね。
――颯太と柴崎、それぞれが演じた役柄とどう向き合いましたか?
林:颯太のセリフにも何度も出てきますが「一匹も殺したくない」という思いを持ち続けた実在のモデルの方の軸を、とにかくブラさずに情熱的に向き合いました。自分の生活を犠牲にしても動物第一の精神や生き様は素晴らしいと思いましたし、完成作を観ても第一にかっこいい人だなと感じました。
中川:柴崎は颯太とはまた対照的な人物で、問題の根源やこの社会が出来上がった構造など広く視野を持てる人。颯太の情熱を活かすために柴崎が存在するというか、颯太がアクセルなら柴崎はブレーキ、そんな関係性ですね。
――なるほど。バランスのいい関係性ですね。そして、映画を観ていても動物が大好きな感じが伝わってきました。中川さんはワンちゃんを飼われていますが、お二人は“動物好き”を演じる上でどんな工夫をされて、また、動物とどんな関係を築かれたのでしょうか。
林:僕、動物全般が大好きで。だからお話をいただき、本を読む前から、お芝居じゃないところで犬たちが心を開いた表情を引き出せたらいいなと期待しました。
中川:僕も、犬だけじゃなく動物全般が大好き。これだけがっつり動物たちとお芝居をするのは初めてだったので、本当に楽しかったです。ほぼ毎日、犬たちと一緒でしたもんね。
林:今日もそうですが、会うだけで一気に3ギアぐらい気持ちが明るくなりますね。撮影中も毎日癒されてました(笑)。大志はワンちゃん飼ってるけど、そこだけじゃない、さらに愛情を持ってグッとワンちゃんたちとの関係性を築くあたり、本物の犬好きだなって。
――飼っているワンちゃんに役作りを手伝ってもらったりも?
中川:あはは(笑)。とくに家で相手をしてもらったとかはないですが、でも犬の処分を考えたりするシーンで愛犬を重ねたりすると一気に自分ごとになって、リアルに辛い感情になったりもして。あとは、動物と一緒にいると自然と地べたに這いつくばって低い目線になったりするんです。そういうのが当たり前に見えたらいいなと思っていました。劇中、颯太が拾ったニコというまだ赤ちゃんの犬が出てくるんですが、最初は警戒心が強くて近づくだけで逃げていくような子だったんです。ニコの心を開こうとみんなで寄り添っていたんですが、遣都さんは途中撮影を止めざるを得ない状況でも諦めずに時間をかけてそばに寄り添っていたことでニコの心を開いていって。見ていて感動しました。
林:心を開いてくれたのには感動しました。撮影を終えた時は、間違いなくワンちゃんたちのいい表情がたくさん撮れていて、諦めなければ思いは届くということを実感して。
――感動のエピソードがあったんですね。一方で、林さんと中川さんは同じ事務所の先輩後輩ですが、この作品を通してどんな関係性が築けたのでしょうか。
林:大志とはそれまであまり接点がなかったんですが、この作品は登場人物たちだけではなく動物たちのケアもしなければいけない。だからしっかり話し合い、協力し合うことで大変な現場を乗り越えられた気がします。その結果、遠慮のない、そして居心地のいい関係性を作れたと思います。
中川:遣都さんはいつかご一緒したいと思っていた先輩。間近で見ていて、作品と真摯に向き合う姿に刺激を受けました。現場であれだけ自然体でいられるのは、しっかり準備をしてこられているからだというのもわかって。さらに尊敬しました。
林:ありがとうございます(笑)。
中川:改めて伝えると、なんか恥ずかしいですね(笑)。
『犬部!』 獣医学部に通う花井颯太は、変人扱いされるほどの犬好き。ある日、動物保護サークル“犬部”を立ち上げ、同級生・柴崎涼介らと動物まみれの青春を送ることに。出演/林遣都、中川大志、大原櫻子、浅香航大ほか 7月22日より全国公開。
はやし・けんと(写真右) 1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。出演映画『護られなかった者たちへ』が10月1日、W主演の映画『恋する寄生虫』が公開予定。出演舞台『友達』が9月3日より開演。オーバーサイズシャツ¥29,700(シュタイン/エンケル TEL:03・6812・9897) 小紋柄シャツ¥35,200(マンド/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575) デニムパンツ¥28,600(ワーダー ) シューズはスタイリスト私物
なかがわ・たいし(写真左) 1998年6月14日生まれ、東京都出身。主演ドラマ『ボクの殺意が恋をした』(日テレ系)が放送中。出演する映画『都会のトム&ソーヤ』が7月30日より公開予定。ジャケット¥118,800 シャツ¥74,800 パンツ¥84,700 シューズ¥72,600(以上ヨウジヤマモト/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500)
ちえ(花子役) 2010年生まれのミックスで保護犬。ドラマ『監察医 朝顔』などに出演。
きぃ(太郎役) 2014年生まれの柴犬。セブン‐イレブンやニチレイなどのCMやドラマに出演。
※『anan』2021年7月21日号より。写真・小川久志 スタイリスト・菊池陽之介(林さん) 徳永貴士(中川さん) ヘア&メイク・主代美樹(GUILD MANAGEMENT/林さん) 堤 紗也香(中川さん) インタビュー、文・若山あや 撮影協力・ZOO動物プロ
(by anan編集部)