井上祐貴と萩原利久が共感「興味がわいてしまう女の子は...」

2021年06月23日 19時20分

エンタメ anan

青春時代を振り返ったとき、誰にでもひとつはある忘れてしまいたいような思い出。まもなく公開の最新作『Bittersand』では、高校生活で起きた“ある事件”によって時計が止まってしまった男女が運命の再会をするところから物語が始まっています。そんな注目の青春ミステリーの見どころについて、こちらの方々にお話をうかがってきました。

井上祐貴さん&萩原利久さん


【映画、ときどき私】 vol. 389


『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』などで活躍している井上さん(写真・左)や『3 年 A組 -今から皆さんは、人質です-』などで知られている萩原さん(写真・右)といった次世代の人気俳優が集結している本作。


井上さんは高校時代に想いを寄せていた同級生の絵莉子にまつわる出来事がきっかけで前に進めずにいる主人公の吉原暁人を演じ、萩原さんは少し空気の読めないところがある、暁人の“悪友”井葉有介を演じています。


7年のときを経て、忌まわしい記憶を塗り替えるために奔走する2人の姿を描いた本作で、それぞれの役を好演している井上さんと萩原さん。今回は、撮影現場の舞台裏や青春時代の思い出、そして塗り替えたい“ビターな記憶”について語っていただきました。


―まずは、最初に脚本を読まれたとき、どのような印象を受けましたか?


井上さん この作品では18 歳と25歳という2つの時系列が同時に描かれているので、最初は少し難しいと感じるところもありました。でも、読むほどにそれぞれのキャラクターのことが理解できるようになりましたし、特に暁人と井葉の関係性がおもしろいなと思いました。


―萩原さんは、どのように井葉を演じようと考えていましたか?


萩原さん 今回は、井葉のテンションによって左右されるシーンがわりと多かったので、失敗できないなという思いが強かったです。なので、どうやって空気を読まずにぶち壊せるか、みたいなことをずっと考えていました。あとは、同じ役でも異なる年齢を演じるということが、プレイヤーとしては挑戦だったと思います。

スイッチを切り替えながら演じ分けた


―おふたりとも、高校生と25歳の両方を演じていらっしゃいましたが、演じ分ける難しさもあったのではないでしょうか?


井上さん もちろん、簡単ではありませんでした。ただ衣装に助けられたというか、制服を着れば高校生になれて、スーツを着れば社会人になれたので、目に見えるもののおかげでそれぞれの気持ちの“スイッチ”を入れることができたのかなと。演技では、年代によって声の高さを変えたり、そういったことを意識しながら演じました。


萩原さん 脚本を読みながら、最初はどういうふうに演じ分けようかなと考えていましたが、登場人物のなかで、井葉だけ変わっていないところがあったので、僕の場合は変わらないことがひとつのテーマなんじゃないかなと。


なので、細かいところで変化をつけつつ、井葉が持つ適当さや自由さといったベースは変わらないように気をつけました。ある意味、井葉だけ取り残されているようなところもあったので、周りの人たちに作ってもらった部分も大きかったと思います。

合宿みたいな楽しい現場だった


―劇中で繰り広げるおふたりのやりとりがすごく絶妙でおもしろかったですが、普段のおふたりの関係性は?


萩原さん 実際も、あんな感じだよね?


井上さん あそこまで高いテンションではないとしても、確かに基本的には変わらないかもね。


萩原さん 現場でもよくしゃべってたしね。


井上さん そうだね。あとは、昼休憩とか夜ホテルに戻ってから一緒にゲームしたり。


萩原さん 今回、男子はみんなで同じ部屋に泊まっていたこともあって、合宿みたいだったからね。大部屋の和室に布団を敷いて、みんなで並んで寝るみたいな。


井上さん 大浴場しかなかったから、毎日お風呂もみんなで一緒に入ったよね。


萩原さん とにかく、みんな仲が良かったから本当に楽しかったです。


井上さん キャストのみんなが自分の役どころとキャラクターが似ていることもあったので、それも撮影の延長みたいに感じていた理由かなと思います。利久くんも自分では井葉とかけ離れているとコメントしてたけど、実際は井葉要素満載だったしね(笑)。


萩原さん いやいや、本当に僕としては心外でしたよ。というのも、最初に脚本を読んだときに「自分とは違い過ぎるからどうしよう。かなり作って現場に行かないといけないかな」と心配していたのに、みんなから「井葉っぽい」と言われたので、自分で自分のことがわからなくなったこともありました(笑)。でも、みんなと生活をともにすることで、きちんとコミュニケーション取れたのはよかったなと思います。


―撮影は1年半ほど前ということで、コロナ禍の前だったからこそ、そういう密なやりとりができたのかもしれないですね。


井上さん 確かに、いまだったら難しいので、あのときだからこそできたことだなと改めて感じます。

いろいろなことをひっくるめて青春だった


―そのなかでも忘れられないエピソードがあれば、教えてください。


井上さん クラスメート役の柾⽊玲弥くんがムードメーカーとなって、みんなの間に入ってコミュニケーションを取ってくれていた気がします。


萩原さん 本当にありがたかったですね。


井上さん ただ、僕はほぼ全部のシーンに出ていることもあって、ひとりだけ撮影が遅くまであったので、みんなといられる時間も少なくて、けっこう寂しい思いをしました。


萩原さん そのとき、僕はみんなとまくら投げとかしてましたけどね(笑)。


井上さん だから、それも知らないんですよ……。帰ったときにみんなが人狼ゲームで盛り上がっていたときもあったんですけど、僕だけ朝が早かったので、「いいなぁ」と思いつつひとりで端っこで寝ていることもありました。でも、それも含めて青春を感じれたなといまは思います。


―ちなみに、自分の青春時代を思い出といえば? 暁人のように女の子をかばった経験はありますか?


萩原さん いや、そんな思い出はないですね(笑)。


井上さん 僕もないですよ(笑)。


萩原さん 映画みたいなキラキラした青春というよりも、思い出すのは高校3年生の午前授業だった月曜日のこと。毎週友達と一番安いうどんを食べながらジャンプを回し読みしていました。1年間、毎週必ず同じことをしてたので、一番の思い出ですね。


井上さん 確かに、僕も学校が早く終わる日は楽しみだったな。友達とボーリングとかカラオケに行ったりして、遅くまで授業がある日にはできないことをするのが好きでした。いま思うと、あれが青春だったなと思います。

基本的に後悔はしないタイプ


―では、本作の暁人のように塗り替えたい“ビターな記憶”はありますか?


井上さん 僕は基本的にあまり後悔しない性格で、楽しいことだけじゃなくて、辛いこともいまとなってよかったかなと思えるタイプなので、特に塗り替えたいことはないかもしれません。ただ、強いて言うなら、もう少しちゃんと勉強しておけばよかったなとは思います(笑)。


萩原さん それは間違いないよね。


井上さん 両親がせっかく塾に通わせてくれて、整った環境があったのに、「何をしてたんだろう」とふと思うことはあります。


萩原さん 僕もやらない後悔をするのが怖くて、とりあえずやるほうなので、あまり後悔はないし、もう一度やり直すほうが嫌かもしれないです。ただ、飲み過ぎて二日酔いになるたびに、「なんで、あんなに飲んじゃったんだろう」という後悔はします(笑)。かなり小さいことですけど、やり直したいと思うのはそのときくらいです。


―(笑)。これに関しては、多くの方が共感しているかもしれません。また、本作では暁人と井葉の恋愛模様も見どころですが、登場するのは、ひとりで内に抱える絵莉子とつかみどころのない自由な澄子。おふたりは、どちらがご自分の好みのタイプに近いですか?


萩原さん 僕は絵莉子みたいに何かを秘めている感じの女の子のほうが、何を考えているんだろうみたいなところから興味がわいて、追いかけてしまうかもしれないです。


井上さん 僕は地に足がついていて尊敬できる人がいいので、ちゃんと仕事をしているという意味でも絵莉子はステキだなと思いました。

休みの日は圧倒的なリフレッシュ感をもとめている


―おふたりとも絵莉子派なんですね。


萩原さん 天真爛漫な子もいいなと思うんですけど、観ていただくとわかるように、澄子はちょっと極端ですからね……。


井上さん 確かに、澄子は情報がなさすぎて怖いかも(笑)。


萩原さん そうそう。ある意味、どんな子なんだろうという興味はあるんだけどね。


井上さん それはあるね。ただ、興味はあっても、付き合うとなると、僕はちょっと疲れちゃうかも。


―観客のみなさんにも、そんな女性陣に注目していただきたいですね。では、おふたりが最近ハマっていることがあれば、教えてください。


井上さん 最近DIYをはじめて、テーブルを作りました。きっかけは、正規品で自分がほしいイメージのテーブルがなかったからなんですけど、昔からDIYに関するテレビとか動画はよく見ていて、すぐに始められるくらい知識はあったんです。それがいまは趣味のひとつになっています。


―いきなり家具を作ってしまうとは、すごいですね。萩原さんは息抜きでしていることはありますか?


萩原さん 僕はひたすら寝ます(笑)。たまに、夕方から翌日の昼間くらいまで、一度も起きることなく、15、6時間寝てしまうこともあるくらいです。起きたときに体のなかが全部入れ替わっているような圧倒的なリフレッシュ感がいいんですよね。

誰もがどこかに共感できる作品になった


―そこまで寝れるのもすごいです(笑)。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。


井上さん 自分の過去のなかで、モヤモヤしていることやひっかかっていることに対して、他人から見たら向き合わなくてもいいこともあるかもしれないですけど、暁人たちのように7年越しに真正面から向き合っていく姿を見て、「自分も一歩踏み出してみよう」とか「いままで目を背けていたことに向き合ってみよう」と少しでも思ってもらえたらいいなと思います。誰もがどこかには共感できる作品なので、楽しんでいただきたいです。


萩原さん コロナによって世の中がすごく変わってしまいましたが、この作品もようやく公開できることになったので、ぜひみなさんにも劇場で観ていただけたらうれしいです。

インタビューを終えてみて……。

劇中で見せている息の合ったやりとりは、実際のおふたりから出ているものだと納得してしまうほど仲の良い井上さんと萩原さん。撮影中のことを振り返る楽しそうな姿から、そのときの様子が浮かぶようでした。おふたりにとっても、新たな青春の1ページとなった本作にぜひ注目です。

過去を変えて新たな未来をつかむ!


些細なことから人生を変えてしまうような大きなものまで、心のなかに残り続けてしまうのは塗り替えたい過去の記憶。カッコ悪くても立ち向かおうとする暁人と井葉の姿は、いまさらどうすることもできないと諦めるのではなく、いつになっても変える力を誰もが持っているのだと教えてくれるはずです。

山本嵩(井上祐貴、萩原利久) 取材、文・志村昌美

井上祐貴 スタイリスト:西脇智代 メイク:松山麻由美

シャツ¥19,800/SHAREEF、ジャケット¥85,800/ato、パンツ¥5,500/WYM LIDNM

萩原利久 スタイリスト:Shinya Tokita メイク:松山麻由美

シャツ ¥23,100、パンツ ¥17,600/ともにワーダー(デザインワークス イチキュウロクゴ トウキョウ03-3406-7669 )

ストーリー


25歳になった吉原暁人は、さえないサラリーマン生活を送っていた。そんなある日、高校時代に想いを寄せていた石川絵莉子と思いがけないところで再会を果たす。ところが、彼女にとっては、暁人を含めた高校時代の思い出はすべて、忌まわしい“黒板事件”によって、拒絶すべき過去となっていた。


そして暁人自身も、その頃から自分が一歩も前に進めていないことに気がつくことに。そこで暁人は悪友で親友の井葉の力を借りて、自分と絵莉子のために「記憶を塗り替える」企てを進めることになるのだが……。

胸がギュッとなる予告編はこちら!


作品情報

『Bittersand』

6月25日(金)シネ・リーブル池袋、UPLINK吉祥寺他、全国順次公開

配給:ラビットハウス


©Bittersand 制作委員会

写真・山本嵩(井上祐貴、萩原利久)

anan

2021年06月23日 19時20分

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