安楽死を選択した母...家族と過ごす最後の週末で明かされる秘密

2021年06月10日 19時00分

エンタメ anan

ステイホームが続くなか、家族と過ごす時間が増えたことで、改めて家族としっかり向き合った人も多いのではないでしょうか? そこで、今回ご紹介するのは、ある決断をした母親と家族の姿から生き方や家族のあり方について考えさせられる話題作です。

『ブラックバード 家族が家族であるうちに』


【映画、ときどき私】 vol. 387


ある週末、医師のポールと病を患っている妻リリーが暮らす海辺の家に集まってきたのは、娘たちとその家族。彼らの目的は、安楽死を決意したリリーが家族と最後の時間を過ごすためだった。


母の意思を受け入れてはいるものの、苛立ちを隠せない長女ジェニファー。いっぽう、次女のアナは母の決意を受け入れられず、姉と衝突を繰り返していた。複雑な思いを抱えながらも、一緒の時間を過ごす家族たち。徐々にそれぞれが抱えていた秘密が明らかになるのだった。そして、ジェニファーとアナは、母の決意を覆そうと試みるのだが……。


アカデミー賞受賞経験のあるスーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットをはじめ、実力派俳優が顔を揃えていることでも注目の本作。そこで、こちらの方にその舞台裏についてお話をうかがってきました。

ロジャー・ミッシェル監督


『ノッティングヒルの恋人』や『恋とニュースのつくり方』など、さまざまな人気作を手掛けてきたミッシェル監督。今回は、本作の現場で初めて経験したことや俳優陣から感銘を受けた瞬間などについて、語っていただきました。


―オファーをもらってすぐに決断したそうですが、普段から作品の題材を決めるときは、即決するタイプなのでしょうか? それとも、この作品は特別でしたか?


監督 普段はわりと頭で物事を考えるタイプではありますが、作品に関しては直感が一番正しいガイドになることが多いですね。今回も、すぐに魅力を感じました。ただ、直感なので、オファーを受けたときは自分と題材とがどうしてつながっているのかわからないことも。撮り終わって数年経ってから、「ああ、こういうことだったんだ!」とわかることもけっこうあるくらいなんですよ(笑)。


―では、本作に関しては、どのような部分に監督の直感が働いたのか答えは出ていらっしゃいますか?


監督 題材はもちろんのこと、ひとつの家に家族全員がほぼ丸3日間一緒にいなければいけないという設定がおもしろいと思いました。それはまるでアガサ・クリスティの作品のように、容疑者たちが集まる週末に誰かが死んでしまうことがわかっているような展開だなと。登場人物も、それぞれのキャラクターに踏み込みやすい物語なので、そういった部分に惹かれました。

スーザンの存在と演技に助けられた


―母のリリーを演じたスーザン・サランドンさんの存在感は、この作品の大きな柱になっていたと思いますが、ご一緒されてみていかがでしたか?


監督 この映画では死よりも、生を描いているので、スーザン自身の魅力をリリーにも吹き込んでいきたいと考えていました。彼女は機知に富んでいて、洗練されたユーモアを持ち、本当にタフでイキイキとした人なんですよね。


撮影中、彼女のアイディアを取り入れながら最終的な脚本を完成させていきました。スーザンのおかげでリリーはセンチメンタルになることなく、リアルでありながらエッジの効いたユーモアのあるキャラクターにすることができたのではないかなと。題材が重いので、なるべくそういった軽妙さを出したいと思っていましたが、アドリブも含めた彼女の素晴らしい演技に助けられました。


―対する娘のジェニファー役を務めたケイト・ウィンスレットさんも、素晴らしかったです。


監督 今回、一番初めにキャスティングされたのは彼女でしたが、「ケイト・ウィンスレット」という名前が自分の企画につくだけでまるでハチミツのようにほかの俳優たちを引きつけてくれました(笑)。そうやって素晴らしいキャストに集まってもらうことができ、より魅力的な作品になったと思います。


―ケイトさんの役との向き合い方は、どのようにご覧になっていましたか?


監督 この役はいままでの彼女が演じてきた役とは違うタイプのキャラクターだったと思いますが、そういう醍醐味も感じながら演じてくれました。実は、公開前に私の知人に作品を見せたところ、驚くことに最後のクレジットになるまで、ジェニファーがケイトであることに気がつかなかった人もいたくらい。つまり、それだけ彼女が役になりきっていたということだと思います。


彼女の冒険心や喜びは周りにも影響を及ぼしていて、みんなのお母さんのようでもありました。そんな彼女が言い出しっぺで、キャストも含めたみんなでブラックバードの柄のタトゥーを入れたことも。私にとって人生で初めてのタトゥーとなりましたが、それくらいみんなの仲がいい現場でした。

映画作りは予期せぬ出来事を見つける作業の連続


―その一体感は、作品からも伝わってきました。


監督 撮影中はみんなで現場に近くに泊まっていたこともあり、つねに一緒の時間を過ごしていたので、ある種のストックホルム症候群のような状態に陥っていたのかもしれませんね(笑)。ただ、それによって、お互いのことを思いやれる関係性を築くことができました。


―舞台となった家にも、そういった空気感を生み出す力があったのではないでしょうか?


監督 今回は家もキャラクターのひとりと言ってもいいほど、重要な存在となりました。当初はイギリスのあらゆる場所を探しても見つからなかったんですが、そんなときにケイトから「うちの近くにいい家があるから見に来てほしい」と。それを聞いた私は、「現場と自宅が近ければ遅く起きても行けるから、すすめているんだろう」くらいに考えていたんです(笑)。


でも、その場に足を踏み入れた瞬間に、「ここで撮影したい」と思うほど素晴らしい場所でした。イギリスにも関わらず、家のデザインはアメリカ的で、海沿いの景色もアメリカの東海岸を思い起こさせるような雰囲気。リリーのキャラクターとも呼応する家になると感じました。


―実際に現場では、監督も予期しないような瞬間が生まれたこともありましたか?


監督 映画作りというのは、毎日現場で自然発生的に起こる予期せぬ出来事を見つける作業でもあると私は思っています。俳優たちの演技に関して言うと、そういった“化学反応”のような瞬間はたくさんありました。


特にテーブルを囲んでのランチやディナーのシーンでは、俳優にアドリブを入れてもいいと伝え、長回しにしているので、そこで生まれたものは多かったですね。監督としてはつねに網を持って待ち構え、突然飛び出してきた蝶々をつかまえるような感覚だと言えると思います。そのためには、準備もきちんとしなければいけないですけどね。


―とても素敵な表現ですね。


監督 あと、もうひとつ気がついたことは、本作のようにシリアスでエモーショナルな作品のときほどジョークが飛び交ったりして笑いの絶えない現場になりますが、逆にコメディのときはすごくダークな雰囲気になることも……。そこが反比例するのはおもしろいですが、人生というのはそういうものかもしれないですね(笑)。

安楽死の持つ複雑な側面を知ることとなった


―なるほど、非常に興味深いお話です。こういった作品と向き合ってみて、監督自身の死生観に影響を与えたことはありましたか? 


監督 この映画を作るにあたって、すごく考えたのは安楽死について。特に、いろんなリサーチをするなかで、「世界中で安楽死を合法にすべき」と主張することがいかに難しいことかを知りました。なぜなら、安楽死には複雑な面がたくさんあり、悪用されてしまう可能性があることもわかったからです。


この作品は安楽死に関する政治的な映画ではありませんが、リリーの選択については、誰もが考えさせられるとは思います。英語で安楽死を意味する「Euthanasia」の語源がギリシャ語の「良い死」から来ていることも、興味深いことだなと感じました。


―監督にとって、この作品で一番の挑戦だったことは?


監督 挑戦でもあり利点でもあったのは、家のなかというひとつのロケーションで少人数の俳優たちと撮影したこと。なぜなら、カーチェイスやファイトシーンのような刺激的なカットを入れることができないだけに、俳優とストーリーだけで観客の関心をずっと引き続けなければいけなかったからです。それだけに、どうやって新しい形で撮影できるかをつねに考えながら撮影していました。


―これまでに日本の作品や文化で、監督が感銘を受けたものがあれば教えてください。


監督 黒澤明監督をはじめとする日本映画を築いた方々の作品が非常に好きで、影響を受けています。とはいえ、これは私だけではなく、世界中の方が同じように感じているのはないでしょうか。私はまだアジアを訪れたことがありませんが、近いうちに日本にはぜひ行きたいです。


―お待ちしております。それでは、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。


監督 観たら気持ちが落ち込んでしまうような物語だと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、「ぜひ観てください」と心の底から言えるような作品になりました。死についてではなく生についての映画になっているので、コロナ禍を経験したいまの時代にぴったりの1本だと思います。

家族だからこその葛藤と秘密に震える


静かでありながら、心の奥に鋭い問いを突きつける本作。家族との向き合い方や目に見えない絆、そして生きるうえで自分が譲れないものについて、思いを巡らせずにはいられないヒューマンドラマです。彼らとともに、濃密な時間を過ごしてみては?

取材、文・志村昌美

胸が熱くなる予告編はこちら!


作品情報

『ブラックバード 家族が家族であるうちに』

6月11日(金)より、TOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー

配給:プレシディオ、彩プロ


© 2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED

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