遠藤憲一、『バイプレイヤーズ』映画化に難色? “元祖”4人のワチャワチャ対談

2021年03月30日 19時10分

エンタメ anan

顔を合わせるやいなや、ワチャワチャと賑やかに話しだす田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さんの4人。‘17年にドラマ『バイプレイヤーズ』がスタートし、3作を経てついに映画化が実現。いまや“元祖バイプレイヤーズ”と呼ばれる4人が語る、これまでとこれからに向けた思いとは。

“元祖”が語る『バイプレイヤーズ』。



――3作のドラマを経て、ついに映画になりました。映画化に対する思いを伺えますか?


田口:僕らとしては瓢箪から駒ですよ。僕ら…いまこの4人は“元祖バイプレイヤーズ”っていわれているんですけれど、元祖としてはやはり、(大杉)漣さん抜きで新しい『バイプレイヤーズ』というのは作り難い気持ちがあったんです。でも、立ち上げから関わってくださっているプロデューサーさんが挫けることなく、粘り強く「やりましょう」と言い続けてくれたんですよね。そのおかげでいまこうして辿り着けたわけで、本当に感無量ですね。


松重:本当にそうですよね。下北沢のイベントをきっかけに立ち上がった企画が、まさかこんなところにまで連れてきてくれるなんて、です。仕事を続けてきたら、こんなご褒美みたいな作品に関わる機会をいただけて。テレビ東京の深夜帯で、変なプレッシャーを感じることもなく、ただただ自由に楽しくやらせてもらってきて、「本当にこれでいいんですか?」って思っていたら映画化ですからねぇ。


光石:映画化かぁ…。


遠藤:えっ、映画館?


光石:映画館なんて言ってないよ。映画化って言ったんだって。


遠藤:そっかそっか(笑)。


光石:映画の前に、まずドラマの第3弾をやりたいっていう話をいただいたんですよね。でも、本当にやっていいのか、やるべきなのかっていうのはそれぞれ心の中にはあったと思うんですよね。


松重:僕らの中で、大杉さんっていうリーダーを亡くした瞬間っていうのはどうしたってすごく大きなことで。…あれから丸3年が経つんですよね。あっという間なんだけれど、どこか現実とは違う時間軸で、『バイプレイヤーズ』の中の俺らが動いているような感覚もあるんです。それが今回、100人のキャストが参加してくれてこんなエンターテインメント作品に成長して、一体この先、どんなところに進んでいくんだろうと思ってます。


光石:まさかのプロデューサーの粘りで、100人の俳優さんを口説いただけじゃなく映画化ですからね。まさかとは思いましたけど、嬉しかったですよ。最初は本当にいいのかなってウダウダ考えたりしていたけれど、こうやって集まった途端、あの時に戻って、みんなではしゃいだりして、僕はそれが楽しくてね。なかには一番難色を示していたのに、めちゃくちゃはしゃぐ人がいたりねぇ。


田口・松重・遠藤:ハハハ(一斉に遠藤さんを見て爆笑)。


光石:あんなに嫌がってたのに…。


田口:それ、エンケン(遠藤)さんのことだよね。自分から出番を減らしてくれって言ってたのにね。


遠藤:やるのを嫌がってたわけじゃないんだよ。


光石:嫌がってたわけじゃないけど、一番熟考なさってはいましたよね。でもそれで現場に来たら一番はしゃいでるっていう様子を見て、僕は十分楽しかったです。なにより、みんなと集えたことが嬉しかったし。


遠藤:漣さん発信で始まった企画だったから、漣さんがいないのに無理だよって気持ちだったんだよね。でも、実際に現場が始まったら、懐かしくなるし楽しくなるし。


光石:楽しかったですよね。


遠藤:だいたい普段、癖のある俳優さんって一作品に出てて2人程度でしょ。それがこの作品ではごっそり出てるんだもん。あんまり現場が楽しくて楽しくてびっくりしたよ。もちろん、漣さんのいない寂しさはあったけど、また違う形の楽しさが生まれた気がする。



――でも今回、ドラマから引き続き、遠藤さんはフィリピンに俳優修行に行かれてますよね。


遠藤:今回はさ、スケジュールのこともあったし、俺、1日だけ撮影に参加しますって言ったんですよ。以前にトモロヲさんも1日でまとめ撮りするっていう形で出演されてたから(※シーズン2)。


田口:そうそう。あの時は演劇の公演と撮影がぶつかってしまって。


遠藤:だから俺も1日でってお願いしたら、フィリピンに俳優修行に行っているっていう設定になったんだけど。結果的に撮影が1日だけってわけにはいかなくて。この日もこの日もって、何度もスタジオに行くことになったし。これなら普通に4人でやらせてもらえばよかったなって。


田口・松重・光石:(大爆笑)


遠藤:だって出来上がりの映像を観たらやっぱり面白いんだもん。4人が集まってると楽しいよ。


田口:ワガママにもほどがある(笑)。今日スタジオに遠藤さんが来てるんなら、みんなで一緒に撮ろうよっていう日もあったもんね。


光石:でも台本ではフィリピンにいることになっちゃってるから、一緒に撮るわけにいかなくて…。


田口:「もういいじゃん、その設定」って言ってたんだけどね(笑)。


松重:俺らは、「遠藤さんはスケジュールの都合で何日か来られない日があるから」って聞いてたんですよね。


光石:しかも、来られる日が限られてるから、その日はかなり撮影が詰まっててキツいらしいよって聞いていて…。


松重:それなのに、スタジオに現れたら、入り時間から帰るまでずーっと喋り倒してたからね(笑)。ちょうどコロナのこともあって、入っていた別の撮影がなくなったりもしたから、たぶん遠藤さん、しばらく人と喋ってない期間が続いてたんでしょうね。この『バイプレイヤーズ』の撮影が、タイミング的に自粛期間明けすぐだったっていうのもあって、人と会えたってこと自体が嬉しかったんだろうと思うんだ。結局、バイバイって言うまで喋ってたから(笑)。


光石:あの日は面白かった。


全員でやる芝居の呼吸が我々の体に染み付いているから。



――遠藤さんに限らず、みなさんもこのメンバーで集まって一緒にお芝居するのが楽しいし、お好きなんですね。


田口:そうだね。結局楽しいんだよね。僕にとってはそれが一番最初に漣さんも含めて“元祖”のみんなで作り上げてきた…大袈裟にいえばシステムなんです。何気ない雑談から始まって台本の話になって、ここはこういうふうにしてみようかと話し合って作っていく。そういう経過が、俳優としても人としてもすごく楽しかったんです。前作の時は、毎回、夜7時半には撮影を終えて飲みに行く流れが自然とできてたんですよね。たまにその時間に終わらなかったりすると、みんなで機嫌を損ねるっていう(笑)。


松重:リハーサルとかセリフ合わせとかをやってると、大抵、途中で誰かが、「もういいから(カメラを)回せよ」って言いだすんですよね。スタッフも慣れたもので、そういう僕らのことをちゃんとわかってて、場があったまってきたなっていうのを感じ取ると、いつしか唐突にカメラを回し始めるようになって。それが臨場感だったり、予定調和じゃない面白さを生んでくれることも多かったし。そういう呼吸を合わせて進めていくっていうやり方が、漣さんを含めたこの面々の密接な関係性の上で、ちゃんとできていたんですよね。全員の呼吸が我々の体に染み付いているから、4人で何かやれって言われたら打ち合わせなしでもできちゃうし、それをちゃんと狙って撮ってくれるスタッフもいるし。おかげで僕らもみんなも楽しくて、しかも早く終われるっていう。


田口:面倒なオジさんたちってイメージが制作陣にも伝わって(笑)、早く撮影を終わらせようとしてくれたのもありがたいことで。


光石:今はこういうご時世だし、飲みには行けないけれど…。


遠藤:そうだね今回は。


松重:でも、遠藤さんに関しては、お酒を飲んでなくても、お腹の中に麹菌を溜めてて自家醸造できるから…。


田口:体の中での密造(笑)。


松重:水を飲むと、それが体内でアルコールに変わるでしょ(笑)。


田口:今日ももうすでに酔ってるんじゃない?


光石:すでにかなり飲んでる状態でいらしてますよね。


松重:遠藤さんは少し前にお酒をやめたけど、もともと酒なしでも酔える、アルコールいらずの人ですよね。


遠藤:たしかに今回はそうだったかもしれないね(笑)。



――ご自身を演じるのはどういう感覚なんでしょうか。本人ではあるけれど“役”でもあって、発するセリフは台本上に書かれたものなわけです。普段との違いというのはあるものですか?


光石:それは違いま…


田口:(間髪入れず)光石さんは全部“地”でしょ。「女優さんに手を出す」とか紹介されてるけど。


光石:違いますよ。そんなことしてないですって!


田口:そこが一番ドキュメンタリーですよね。


光石:やめてくださいって! 僕は完全に役を演じてます。はい。名前は僕本人だし、僕自身を元に書かれたキャラクターではありますけど、普段とは違いますし…。


遠藤:何言ってるかわかんない。


松重:でも、5人なら5人それぞれの役割というのが台本にも徐々に反映されるようになってるし、アドリブにもそれが出てるから、普段の僕らの延長線上にあるキャラクターではあるんじゃないかな。まあ、光石さんに関してはちょっとご本人の生々しい部分が出ちゃってますけど…。


光石:(焦って)だから、そんなことないですって!


田口:(笑)。最初の頃は、台本をもらってから、「俺はこういうことは言わないよ」とか、「みんなで集まるとこうなるよ」とか結構話したりしてたよね。そこで会話のボルテージが上がってくると、プロデューサーを飲みの席に呼び出すっていうのがいつもの流れで。彼も「ええ~っ」って感じで迷惑そうな顔はするけど、じつは真正のMだから喜んで来るっていう。


光石:そんな喜んでたんだ(笑)。


松重:1作目、2作目の頃は、撮影後にみんなで飲み始めて、プロデューサーに電話するまでがルーティンになってましたよね(笑)。


田口:みんな自分の名前で出てるわけだから、やっぱりそこはどうしてもこだわっちゃうし、制作側も当の本人に「僕はこんなふうじゃないです」って言われたら、聞き入れるしかない(笑)。でも、あの時にかなり内容に対してみんなで戦ったこともあって、いまやもう、普通に自然な僕らとしてやれるようになってると思う。


遠藤:…俺さ今回の映画で、フィリピンの女優さんにすごいダメ出しされたのよ。


田口・松重・光石:(大爆笑)


松重:何にダメ出しされたの?


遠藤:僕が抱きしめるシーンがあったんだけど、バッて行ったら「エンドウ、チョット早イネ」って怒られたんだよ。彼女、自分なりに考えてきた役作りがあったみたいで、「コウ来テクレタラ、チャント私ナミダ出ルカラ、ユックリ来テ」ってダメ出し喰らって。あれ、今回の撮影中で一番厳しいダメ出しだったんじゃないかな。


光石:ハハ(笑)。おっかしい。


遠藤:でもやっぱり“元祖”のメンバーで芝居してると、積み重ねてきたものがあるから、変な段取りとか打ち合わせとかしなくても、覚えたセリフを流れにのりながら自然に言えてたりするんだよね。肩の力の抜け加減がすごくよくて、今回のドラマも放送を見たら面白いものに仕上がってて。『バイプレイヤーズ』の中の俺は、まったくの素ではなくてプラスアルファされている部分はあるけれど、肩の力の抜けた正直な自分でいられてるとは思うんだよね。


100人出すという無謀な試みを実現させただけですごい。



――あらためて今回の映画の見どころやオススメポイントを読者に向けて教えてください。


光石:これだけのメンバーが集まっている映画って、この先もなかなかないと思うんですよ。


遠藤:すごく贅沢な顔ぶれだよね。だからこそ、この賑やかなお祭りを楽しんでいただきたいと思うし、やっぱり元祖の4人のシーンもぜひ楽しみにしていてほしいです。


光石:じつはね、昨日ある現場で俳優さん3人と一緒だったんだけど、今回の『バイプレイヤーズ』に出てないってことをすごく悔しがっていて、彼らに「どうしたら出られるんですか?」って聞かれたのよ。それくらいみんなが出たい作品になっているのかなって嬉しかったし、映画も実際にそう思ってもらえる作品に仕上がっているとも思うんですよね。


松重:今回参加してくれた濱田岳くんをはじめとする若い俳優さんたちって、僕らが20代の頃よりも確実に技術も魅力も持っていて、間違いなくこの先の映画を支えていく存在だと思うんですよ。僕はこの映画が、若い俳優たちに焦点が当たってる部分が大きいのがいいなと思ってるんですよね。単なるオジさんたちの慰安場所になっても仕方ない。この先、彼らに続いていく下の世代が、「自分もバイプレイヤーズの一員になりたい」って言ってくれるような契機になる作品になってくれていたらいいなと思って見守ってるんです。


田口:そもそも、バイプレイヤーを100人出すっていう無謀な試みを実現させただけでもすごいことだと思うんです。なにせ撮影がすでに始まってるのに、現場でまだスタッフが出演者の数を数えてましたから。


全員:ワハハ(大爆笑)。


田口:もうね、見切り発車でしょ。まあそれでも、ドラマもある中であれだけの人のスケジュールを調整しながらなんとか100人揃えたわけだからすごいことだよ。


遠藤:本当に100人ちゃんと出てるのかねぇ?


光石:観た方は確認してほしいね。


田口:ある出演者の方に、かなり頓智のきいた役で出られていたから「よく引き受けましたね」って聞いたんです。そしたら、コロナでスケジュールが空いたからっておっしゃっていて、こういう恩恵もあるんだって思ったよね。


遠藤:なるほど。そういう理由もあって、今回のような奇跡的なキャスティングが実現したんだね。



映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 富士山麓に建てられた撮影所・バイプレウッド。ここで濱田岳を中心とした若手俳優たちが、自らの手でとある映画を撮ろうと奮闘し…。監督/松居大悟 出演/田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一、濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子、有村架純、天海祐希、役所広司ほか 4月9日全国ロードショー。


たぐち・ともろを 1957年生まれ、東京都出身。映画『色即ぜねれいしょん』などの監督や『プロジェクトX』ナレーターでも知られる。公開待機作に映画『夏への扉 -キミのいる未来へ-』。


ネイビーウィンドウ・ペーンチェックスーツ¥143,000 ネイビーウィンドウ・ペーンベスト¥39,600 フラワーグラデーションネクタイ¥15,400*すべて税込み(以上Paul Smith/Paul Smith Limited) リング¥25,300*税込み(M・A・R・S TEL:03・3462・8187) ハットは本人私物、その他はスタイリスト私物


まつしげ・ゆたか 1963年生まれ、福岡県出身。4月開始のドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK)に出演。今春、久米繊維とのコラボTシャツ〈mattige〉も発表。


ジャケット¥44,000 パンツ¥33,000(共にENGINEERD GARMENTS TEL:03・6419・1798) シャツ¥33,000(suzuki takayuki TEL:03・5846・9114) メガネ 参考商品(武田メガネ/武田メガネ 天神中央店 TEL:092・715・1188) サンダルはスタイリスト私物


みついし・けん 1961年生まれ、福岡県出身。4月スタートのドラマ『桜の塔』(テレビ朝日系)に出演。Huluオリジナルドラマ『息をひそめて』4話に出演。配信は4月23日より開始。


ジャケット¥28,000 パンツ¥21,000(共にRANDT/NEPENTHES TEL:03・3400・7227) その他はスタイリスト私物


えんどう・けんいち 1961年生まれ、東京都出身。最近のおもな出演作にドラマ『星影のワルツ』『竜の道』『私刑人』などがある。出演映画『地獄の花園』は5月21日公開予定。


ジャケット¥47,000(CONFECT表参道店 TEL:03・6438・0717 ) ベスト¥39,000(suzuki takayuki) パンツ¥46,000(デンハム/デンハム・ジャパン TEL:03・3496・1086) シューズ¥62,000(GARMENT REPRODUCTION OF WORKERS/CONFECTION CO.,LTD TEL:03・6336・4771) その他はスタイリスト私物


※『anan』2021年3月31日号より。写真・笠井爾示(KATT) スタイリスト・DAISY 石橋瑞枝(DAISY M’S OFFICE/田口さん) 増井芳江(松重さん) 九(Yolken/光石さん) 中本コーソー(Leinwand/遠藤さん) ヘア&メイク・大八木智之(田口さん) 林 裕子(松重さん) 山田久美子(光石さん) 村上まどか(遠藤さん) 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES


(by anan編集部)

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2021年03月30日 19時10分

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