フィンランド映画の巨匠「お寿司に大きな感銘を受けた」思い出の味を語る

2021年02月17日 19時00分

エンタメ anan

仕事や人間関係において、悩みが多くなればなるほど“心の健康”を保つのが難しいと感じている人も多いのでは? そこで、「世界幸福度ランキング」で、2018年から3年連続で1位を獲得しているフィンランドから届いた心温まる1本をご紹介します。それは……。

『世界で一番しあわせな食堂』


【映画、ときどき私】 vol. 360


フィンランド北部・ラップランド地方の小さな村にある食堂に現れたのは、上海で料理人として働いていたチェンとその息子。恩人を探すためにやって来たというが、その人物を知る者は誰もいなかった。そんななか、食堂をひとりで経営していた地元の女性シルカは、チェンに食堂を手伝ってもらう代わりに恩人探しに協力することを提案する。


恩人は見つからないままだったが、チェンの料理は評判となり、食堂は大盛況。次第にチェンは、シルカや常連客と親しくなっていく。ところが、チェンの観光ビザの期限が迫り、帰国の日が近づいていた……。


日本でも人気の高い北欧のライフスタイルを垣間見ることができる本作。そこで、こちらの方にさらなる魅力について、お話をうかがってきました。

ミカ・カウリスマキ監督


弟で映画監督のアキ・カウリスマキとともに、フィンランド映画界を代表する存在のミカ監督。今回は、本作の見どころや舞台裏、そして“真の幸せ”について語っていただきました。


―舞台となっているラップランド地方の美しい景色は見どころのひとつだと思いますが、監督にとってこの土地の魅力とはどのようなところでしょうか?


監督 本当に魅力的な場所なので、止めてくれないといつまでも話せるくらい(笑)。ラップランドこそがこの作品のスタートでもありますが、もともとは35年前に現地で始めたミッドナイト・サン映画祭がきっかけでした。そのため、いまでは映画祭を行う6月とクリスマス休暇中の冬に毎年訪れています。


夏でも冬でもそこには美しい自然が広がっていて、寒暖と明暗の両方を味わうことができるので、本当に特別な場所。そのなかでも、僕が好きなスポットは2か所あって、まずは劇中にも出てくる森のなかでダンスができる施設。


ここはいつも映画祭でも使用しているほど、お気に入りの場所です。そしてもうひとつは、美しい山の景色。ラップランドの空気はとても澄んでいますし、湖の水も飲めるくらい本当にキレイなんですよ。


―画面からもその美しさは伝わってきました。そんななか、現地では数年前から中国人観光客が殺到している様子を目の当たりにしたそうですね。それによって街に変化を感じることもありますか?


監督 いろいろな意味で、とても興味深いなと思って見ていました。もちろん、そこに住んでいる人たちにとっては、経済的に良い点もあるけれど、僕としてはあまり観光客が多くなりすぎると、その場所自体が破壊されてしまうのではないかという心配も正直あったので。非常に複雑な気持ちと言えるかもしれませんね。


ただ、地元の人たちには、お金だけを追うのではなく、自然を保つことも忘れずに、バランスを取っていってほしいなとは思っています。

長い歴史を誇る中国の料理との対比を見せたかった


―本作では、料理がもうひとつの主人公のようでした。なかでも中華料理にスポットを当てていますが、劇中に登場する料理で監督のお気に入りはありますか? 


監督 本当に全部美味しかったんですけど、強いて言うならトナカイとハーブを組み合わせた一品。フィンランドにはなかなかない料理なので、印象に残っていますね。今回の現場ではキャストやスタッフ用のケータリングでも劇中と同じメニューを出していたので、休憩になった瞬間にみんな食べ物に飛びついていたほど(笑)。現地で獲れた魚なども使っていたので、最高の食事とともに撮影できる環境でした。


―ただ、監督はフィンランドでは多くの人が不健康な食事をしていると感じているのだとか。どのような食生活を送っているのでしょうか?


監督 「フィンランド」と言われて、最初に「食」が思い浮ぶことがないくらいここには食の文化というものがありません。さすがに最近は以前よりもおいしいレストランが増えてきて、料理も多様化してきましたが、それでも私たちは昔ながらの肉や魚を使ったシンプルな料理を食べています。というのも、フィンランドでは、食べ物に対して「お腹がいっぱいになればいいよね?」みたいなところがありますから(笑)。


そういったこともあり、医食同源的な考えを持ち、長い歴史を誇る中国の料理との対比をコメディとして劇中で見せられたらおもしろいだろうなと思いました。もちろん、フィンランドにもおいしい食べ物はありますけどね!


―(笑)。あと、監督は日本食もお好きだとうかがっていますが、きっかけなどはありますか?


監督 僕が初めてお寿司を食べたのは、1980年代初頭のドイツはベルリン。本当においしくて、すごく大きな感銘を受けた瞬間でした。それ以来、ずっとお寿司やお刺身の大ファンなので、以前作品のプロモーションで日本に行ったときにも、1週間毎日「お寿司が食べたい」と言い続けていたほど。そしたら、配給会社のみなさんから「監督、日本にはほかにも料理があるのですが……」と言われてしまったこともありました(笑)。


でも、それくらいお寿司をずっと食べ続けていたいほど大好きなんですよ。いまでは、いろいろと試しましたが、日本料理はどれもおいしいので一番好きな料理のひとつとなりました。世界中を旅して、現地のものをたくさん味わってきた僕でも、やっぱりお寿司が一番のお気に入りですね。

全人類が力を合わせて地球を守るべき


―日本人としてはうれしいお言葉です。では、弟のアキ・カウリスマキ監督についてもおうかがいしたいのですが、お互いの映画について話し合うこともありますか?


監督 いつも別々の国に住んでいることが多いので、会う機会があるとすれば、2人で始めたミッドナイト・サン映画祭を開催する夏の時期だけ。しかも、映画の話はほとんどしなくて、一緒に経営しているレストランやバーについての話ばかりしていますよ(笑)。


―そうなんですね(笑)。とはいえ、お互いに刺激を与えあっているところもあるのでは?


監督 確かに、一緒にいろいろな映画を観て育ち、一緒に映画を作り始めたので、テイストが似ているところはあると思います。ただ、あくまでもそれぞれが自分の作品を作っている、という感じですね。


僕たちは以前からいくつかのお店を一緒に営んでいますが、そのなかでも30年くらい前からやっている映画館とレストランやバーを合わせた複合施設をちょうど去年リニューアルオープンしたところなんです。だから、余計に会うとその話ばっかりになってしまうんですよね。


ちなみに、お店の名前はなんと偶然にも『コロナバー』と言います(笑)。ヘルシンキではけっこう有名なので、日本からの観光客の方にもよく足を運んでいただいていますよ。


―落ち着いたらぜひ『コロナバー』にお邪魔したいです。また、映画のなかではグローバリズムについても描かれています。海外生活が長い監督だからこそ、その重要性について実感することも多いのではないでしょうか?


監督 本当その通りですね。人類はいま、たくさんの大きな挑戦に直面しているので、それと戦うためには、みんながひとつにならなければいけないと感じています。気候の問題からパンデミック、戦争までいろいろありますよね。


でも、さまざまな場所に住んできたからこそ思うのは、誰にとっても一番重要なのは日々の生活。つまり、食や安全、健康、愛、宗教などですが、信じるものがなんであろうとみんなが必要としているものは共通して基本的なものなんですよね。それを今回の映画でも見せています。


人生において、私たちが目を向けるべきは本当にシンプルなものなのに、クレイジーな独裁者たちが真逆なことをしていて、人々を分断するような怖いシナリオが進められているんです。本来ならいまこそ全人類が力を合わせてひとつになり、私たちが住む美しい地球や自然を守っていかなければならないんですけどね……。

人が幸福になるために必要なのは、シンプルなもの


―そういう状況だからこそ、改めて「幸せとは何か?」を考えている人も多いと思います。“世界一幸福な国”と言われるフィンランドに住む監督にとって、“真の幸福”とは何ですか? 


監督 実は、フィンランドが幸福度ランキングで1位だと知ったときには驚きました。なぜなら、フィンランド人は、そこまで自分たちが幸福だと思っている人は多くないですからね(笑)。おそらく幸福度ランキングというのは、社会福祉や基本的な生活に必要な教育や医療システムといったものがきちんとしているかどうかという意味においてですよね。確かに、そういった幸福であるために必要な土台に関しては、しっかりしていると思います。


でも、真の幸福というのは、家族や子ども、友人、好きな仕事といったものが大事なんじゃないかなとは思います。だから、人が幸福になれる理由はすごくシンプルなことなんですよね。


あとは、安心できる環境かどうかというのも重要なポイントかなと。フィンランドは安全な場所なので、そのあたりの安心感はありますし、税金を払う気になる環境が用意されていると感じています。フィンランドでは子どもがひとりで出かけることはできますが、ブラジルに住んでいたときはボディーガードをつけなければ、絶対に出かけられませんでしたからね。そういったことがかなわない多くの国に比べると、基本的な幸福に必要なものがそろっている国だと思います。

いまこそみんながひとつになることが大事


―では、コロナ禍や分断が広がる社会で幸せを見失っている人も多いと思うので、日本の観客にも伝えたいメッセージがあればお願いいたします。


監督 この作品を観てくださった方のなかで、希望を感じ取ることができたとおっしゃっていた方がいましたが、それこそがこの映画を作った理由のひとつでもあります。なので、他人のことをケアすることで生まれる喜びのように、すごくシンプルなことからスタートするべきかなと。繰り返しにはなりますが、みんながひとつになることが本当に大事だと思っています。


実際に起きてしまったことは喜ばしいことではないけれど、たとえばトランプ前大統領のような人物がトップに立つと世界がどういう方向に行ってしまうのか、ということがわかった人は多かったはずです。なので、教訓を得られたという意味ではよかったのではないかと感じています。


ただ、SNSに対してはまだ心配なところはありますね。「ソーシャル」という言葉が入っているように社交性を促しているものではあるけれど、実際には極論を言う人やテロリストのような人たちに利用されているところもありますから。


ただ、こういった状況が加速していくと、SNSに関連する大手企業がすべての情報をコントロールし、私たちの考え方を支配してしまう可能性もあるのかなと。そうなる前に、みなさんには自分自身で判断できるようになってもらいたいです。SNSは“いい使用人”ではあるけれど、“いい主人”ではありませんから。いくつかの企業にコントロールされてしまわないように気をつけてほしいなと思っています。

寒い国から届いた最高に温かい1本!


美しい自然の景色と思わずのどが鳴る料理の数々に、釘づけになってしまう本作。目が喜ぶだけでなく、文化や言葉を超えて生まれる人と人との絆にも心が満たされるのを感じられるはずです。

取材、文・志村昌美

ほっこりする予告編はこちら!


作品情報

『世界で一番しあわせな食堂』

2月19日(金) 新宿ピカデリー、渋谷シネクイント 他、全国順次ロードショー

配給:ギャガ


©Marianna Films

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2021年02月17日 19時00分

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