元アナ・前田有紀、フラワーアーティストに転身「メディアの世界にいたからこそ...」

2021年01月07日 20時10分

エンタメ anan

「私、本当は何がしたいのかな?」

働いていれば誰だって、一度は考えたことがあるはず。アナウンサーとして活躍していた前田有紀さんも悩みを抱える一人だった。


「仕事はやりがいもありましたが、5年ほど過ぎてから迷いが生じてきて。自分が夢中になれることを見つけようと必死でした」


彼女を変えたのは、スーパーのレジ横で何気なく購入した花。


「玄関に花を飾ったら、空間がパッと明るくなり、疲れて帰った時にすごく癒されて。もっと植物と触れ合う時間が持てたらと考えるようになりました。その気持ちが強くなり、花にまつわる仕事がしたいと思うように。会社を辞めることは人生のレールから外れる気がしてなかなか決断できませんでしたが、不安よりも好奇心が上回り、転職を決意したんです」


会社を辞め、イギリスのガーデナーの下でインターンを経験。


「想像以上に重労働で、毎日泥だらけになっていました。少し前までは身なりをきちんと整えて、カメラの前に立っていたのに、すごい変わりようですよね」


周りの目も気にせず、植物に触れていると心が満たされていたという。修業を経て、帰国後は自由が丘にある生花店に就職した。


「会社員を10年間やっていたので、世の中のことを知っているつもりでしたが、レジ打ちも梱包もまともにできなくて。でも、日々植物に囲まれ、気持ちはとても前向きでした。また、店に立っていると、想像以上に、限られた人しか花を買わないということもわかって。特別な日だけじゃなく、もっと日常で自然の息遣いを感じられる暮らしを多くの人に楽しんでもらいたいと思うようになりました」


約2年半、勤務した後、独立。“都会の暮らしをもっと花と緑に溢れたものにすること”をテーマにオリジナルブランド『gui』を立ち上げた。店舗は持たず、オンラインで注文を受け、フラワーロスを抑えながら、花や緑のある暮らしを提案。また、カフェやアパレルブランドなどに積極的にポップアップショップを出店するなど、植物と触れる機会の少ない人にも出合いの場を創出している。


転職後、着実にキャリアを進めてきた前田さんだが、起業する時には大きな葛藤もあった。


「当時、妊娠していたので、“子育てしながら会社の経営なんて難しいんじゃない?”と、周囲から心配されました。でも、やってみなきゃわからないと思ったし、事実、大変なことはあったけれど、周りに助けてもらいながらできたこともたくさんありました」


やりたいことを叶えるためには、周りの人に助けを求める姿勢も大切だと気づいたという。


「昔は“できない”と言えなかったんです。今思えば、会社員の時は受け身で仕事をしていたし、周りの目が気になって、選択肢も消極的になっていたと思います。でも、好きなことを見つけてからは、人生の舵を切るのは自分しかいないと思えるようになり、やりたいことがクリアになって、すごく強くなったと思います」


順調に仕事も増えていったが、コロナ禍の影響も受けたという。


「イベントの装花の案件はほぼなくなってしまいました。そんな時、花を出荷しても値段がつかないと困っている農家さんもいると知って。もともと関心があった“農家さんの花の直送サービス”をスタートすることに。購入してくださる方が徐々に増え、新たな手応えを感じました」



また、花の農家を取材し、記事を執筆したり、農園の人とインスタライブをして、花作りの現場を伝える取り組みも行っている。


「どういう人がどういう環境で育てているのか、フラワーロスの実情など、知られていないことがこの業界にはたくさんあって。メディアの世界にいた私だからできることがあると思っています」


花を飾る提案以外にも、花を使ったアクセサリーを作ったり、廃棄寸前の植物を活用してドレスを製作するなど表現の幅も広げる。


「全く違う業界から入ってきたので、“花屋さんってこうだよね”っていう常識に縛られずに活動していきたいなと思います」


HISTORY


22歳:テレビ局入社。アナウンサーとして多くの番組で活躍。

スポーツ番組を中心に担当。現場に出向いて、直接話を聞き、感じたことを自分の言葉で伝える大切さを学んだ。


25歳:家に花を飾り、植物のある暮らしの心地よさに開眼。

深夜に帰宅することも多く、不規則だった会社員時代。スーパーで購入した花に癒されている自分に気づく。


32歳:会社を退職後、イギリスのガーデナーの下で修業。

コッツウォルズでホームステイをしながら、中世の古城で庭を管理するガーデナーの下で下働き。泥だらけになりながらも花の仕事が好きだと再確認。


33歳:自由が丘の生花店に勤務。店舗に立ちつつ基礎を学ぶ。

店頭に立ち、花屋の仕事を基礎から学ぶ。「不慣れなため、怒られることもありましたが(笑)、できることが一つずつ増えていき、充実していました」


34歳:花屋の仕事を応援してくれていた彼と結婚。

大学の同級生とパートナーとして歩むことに。


36歳:初めての子供を妊娠。生花店を退職し、独立。

妊娠がわかり、花屋を退職して独立。起業し、ブーケや祝い花など個人向けのオーダーを中心に受ける。


37歳:オリジナルフラワーブランド『gui』を立ち上げる。

自身のフラワーブランドをスタート。育児と両立しながら商業施設のイベントの作品提供や企業コラボなどを行う。


39歳:オンラインサイトで農家の花の直送サービスを強化。

コロナ禍の影響で花を出荷できない農家を支援するため、直送サービスを強化。全国から多くのオーダーを受ける。


まえだ・ゆき 1981年生まれ、神奈川県出身。2003年、テレビ朝日入局。2013年に退社し、イギリスで見習いガーデナーとして修業。帰国後、都内の生花店に勤務し、独立。オリジナルブランド『gui』を立ち上げ、草花の魅力をさまざまな角度から発信中。


※『anan』2021年1月13日号より。写真・大内香織 取材、文・浦本真梨子


(by anan編集部)

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2021年01月07日 20時10分

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