宮野真守「いつも櫻井孝宏さんが立ちはだかる」本気で戦った心境を語る

2020年11月10日 18時40分

エンタメ anan

現在、日本では『鬼滅の刃』が社会現象となっていますが、まもなく公開を迎えるのは、中国を席巻した話題のアニメ『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』。WEBアニメシリーズは2.3億回の再生数を誇り、劇場版は本国で約49億円の大ヒットとなった注目作です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

写真・北尾渉(宮野真守)


日本語吹替版キャストを務めた宮野真守さん!


【映画、ときどき私】 vol. 339


本作では、森を追われた黒ネコの妖精シャオヘイが人間と妖精との関係を揺るがす大事件の中心へと巻き込まれていく様子が描かれています。宮野さんが演じたのは、人と妖精の共存を願う人間のムゲン。今回は、演じるうえで意識したことや共演者への思い、そしていまの心境などについて語っていただきました。


―本作をご覧になったとき、どのような印象を受けましたか?


宮野さん 最初に映像を見させていただいたときは、とても衝撃を受けましたし、非常に感動しました。作品の詳しい成り立ちについて知っているわけではありませんが、日本が作ってきたアニメーション文化が世界に伝わっているのかなというのも感じられてうれしかったです。


―具体的にどのあたりにそういったものを感じたのでしょうか?


宮野さん 日本人になじみのあるルックであることやキャラクターデザインの方向性などを含めて、日本のアニメーションとすごくシンパシーを感じるんですよね。映像だけではなく、声優さんたちのお芝居も素晴らしかったので、お互いにいい影響を与え合えているのかなと思いました。


日本のアニメーションの魅力がどんどん発信できているからこそ、海外でも新たなエンタメが生まれているところもあるんじゃないかなと。そうだとすれば、すごく感動的なことですよね。

映像から作っている人たちの気合を感じた


一では、一観客として、心をつかまれたシーンがあれば教えてください。


宮野さん アクションシーンがすごかったですね。これだけの迫力を手描きのアニメーションで出せるというのは本当に大変な作業ですから。そこに、この作品を作っている人たちの気合いを感じました。


あと、物語のテーマとして自然と人間の共存の難しさなど、普遍的なものを描いていますが、現代の世の中に照らし合わせてみても無視できない問題。それをこの特殊な世界観で描き、しかもエンタメとして人々の心に残る作品にしているのはすごいなと。お国柄も反映されているところもあり、日本の作品とはまた違う空気感のアニメーションになっているので、そういうところも含めておもしろいと思いました。


―今回演じたムゲンは難しい立場にいるキャラクターでしたが、どのような人物だと分析されましたか?


宮野さん おそらくみなさんにも感じていただけると思いますが、ムゲンは自分の存在意義や使命をまっとうしようとしている男。自然と人間の共存が難しいなかで、自分のやるべきことをまっすぐに追求している姿に、彼の人間性が現れていると感じました。


ある意味では自己犠牲でもありますが、自分を律してまで人と妖精の平穏を求めることができるムゲンの精神力の強さはみなさんにも伝わると思っています。そのなかで、主人公のシャオヘイと出会ったことによって、彼の本質的な感情や優しさも垣間見ることができるので、そのあたりも見ていただきたいところです。

意識したのは、セリフになり感情も声に乗せること


―演じるうえで意識したことはありましたか?


宮野さん オリジナルのお芝居が素晴らしかったので、そこで表現されている感情や質感に寄り添いたいという思いは強くありました。ムゲンのそういった部分を踏襲しつつ、僕が考えるムゲンのキャラクター性を意識して作り上げていったという感じですね。


いままでと違うアプローチをしたところがあるとすれば、翻訳の難しいところでもありますが、話し言葉と字幕には多少差があるので、字幕にはあってセリフにはない部分を僕が演じるなかで加味できたらいいなと思い、セリフとしては書かれていない感情も乗せたことです。


オリジナルが持つ要素を自分のなかにも取り入れたうえで、それが声から伝わるような意識を持つことを大事にしました。


―なるほど。では、共演者の方々ともそういったことについて話す機会はありましたか? 


宮野さん アフレコは別々だったので、直接はお会いできていないんですが、僕が収録したときにはすでにシャオヘイ役の(花澤)香菜ちゃんの声が入っていました。それは僕にとって、本当にありがたかったですね。


ネタバレになってしまうので詳しくはお話しできませんが、特にラストシーンは涙なしには観られないくらい本当に感動しました。その思いを僕は香菜ちゃんの声からいただきながら演じられたので、うれしかったです。

人が笑っている瞬間は嘘がない


―では、ムゲンとは対立関係にあるフーシー役を演じられた櫻井孝宏さんについては、いかがでしょうか?


宮野さん ありがたいことに、いつも戦っているなぁ……。本当に、いつも櫻井さんが立ちはだかるんですよね(笑)。ただ、櫻井さんの声やお芝居がすごすぎるので、本気でぶつからないと、たとえ台本が勝つ流れになっていても負けるくらいの感じがあるんです。


でも、そういう櫻井さんの存在感があるからこそ、余計なことを考えずに立ち向かえるので、変な言い方ですが、安心して戦うことができました。


―ちなみに、演じていて好きなシーンがあれば教えてください。


宮野さん 最初はシャオヘイとムゲンもぶつかりますが、一緒に旅をしていくなかで、2人でいるときにしか見せないムゲンのコミカルさや零れ落ちる優しさが見られるので、ラストシーンは非常に印象的だと思いました。


―本作では、立場の違う者同士が共存する際に生まれる対立や感情など、普遍的な部分も描かれています。普段、宮野さんが人とコミュニケーションを取る際に大事にしていることはありますか?


宮野さん 相手が楽しい気持ちになって、とにかく笑ってくれたらいいなとは思っています。というのも、僕はけっこう臆病な人間なので(笑)。実際、人が笑っている瞬間って嘘がないですからね。そういうところが見えると僕自身も安心するので、それは大事にしているところです。

事前の準備をきちんとすることを大事にしている


―相手を笑顔にするために、何かしていることもありますか?


宮野さん 準備をするってほどではないですが、つねにお笑いのセンスは磨いておこうと思うので、テレビをちゃんと見て勉強しています! って、ただお笑いが好きなだけなんですが(笑)。


―ちなみに、いまハマっている芸人さんはいらっしゃいますか?


宮野さん 最近というか前からですが、千鳥さんですね。千鳥さんからは、遊び心を学んでいます(笑)。僕にとって、バラエティ番組を見ることは癒しであり、勉強でもあるので、本当に必要なものですね。


―「笑い」と「遊び心」どちらも大切ですよね。では、仕事をする際に欠かさずしていることはありますか?


宮野さん 特に、ルーティンのように決めていることはありませんが、事前の準備はしっかりしています。というのも、声優のお仕事は、1日のなかでも1週間のなかでも、いくつもの作品を同時に担当することが多いので、瞬発力が求められるんです。


そういったこともあって、事前に作品やキャラクターに関して、自分できちんと埋めていかないと、求められたことに対して対応できないですから。なので、いつでもどこでも“スイッチ”を入れられるように、事前の準備は欠かさずにしています。

できることをひとつずつやっていきたい


―今年もあと2か月を切りましたが、やり残したことでやっておきたいことはありますか?


宮野さん いまはエンタメ業界も含めて、世の中全体が危機ではありますが、ピンチなときこそ新しい何かが生まれるとも思っているので、このなかで何ができるかはつねに考えていきたいですね。


ありがたいことに、僕はアフレコをはじめ、テレビドラマや舞台、歌までいろいろなジャンルのお仕事をさせていただいているので、いまはできることをひとつひとつやっていくという感じです。なので、「何かをやり残している」という感覚よりも、「まだまだできることがある」という意欲のほうが強いかなと思っています。


仕事以外でやりたいことは、クリスマスパーティですかね。どうしたら密にならないかなど、新しいクリスマスパーティの形についても考えていきたいと思います(笑)。

インタビューを終えてみて……。

人とのコミュニケーションにおいて、相手を楽しい気持ちにさせることを大事にしているという宮野さんだけに、取材中も楽しませていただきました。いっぽうで、ひとつひとつの言葉をかみしめるように話される姿からは、この作品に対する強い気持ちが伝わってきたので、ぜひみなさんも劇場でその思いを受け取ってみてください。

アクションもドラマも見どころ満載!


自然と人間の共存における問題や他者との出会いによって成長するキャラクターたちの感情など、いくつもの普遍的なテーマが散りばめられている本作。アニメ好きはもちろん、普段はあまりアニメを観ないという人でも、誰もがストーリーと映像の虜になってしまう作品です。

写真・北尾渉(宮野真守) 取材、文・志村昌美

ストーリー


黒ネコの妖精シャオヘイは森のなかで暮らしていたが、人間によって森が開発されたことで、居場所を失ってしまう。その後、街や村を迷い歩いていたシャオヘイが出会ったのは、同じ妖精のフーシー。シャオヘイはフーシーとともに“霊道”を通り、人里離れた島へ向かうことに。


島に住むほかの妖精とも出会い、シャオヘイはフーシーらとともに穏やかな時間を過ごせると思っていた。ところが、そこに“最強の執行人”とされる人間のムゲンが現れ、シャオヘイを捕らえてしまう。はたして、シャオヘイの運命はどうなってしまうのか……。

釘付けになる予告編はこちら!


作品情報

『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』

11月7日(土)より全国公開

配給:アニプレックス、チームジョイ

© Beijing HMCH Anime Co.,Ltd


スタイリスト:横田勝広(YKP)

シャツ¥22,000(CULLNI/Sian PR 電話03-6662-5525)その他スタイリスト私物

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2020年11月10日 18時40分

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