長澤まさみ「こんな息子がいたらいいな」 祖父母殺しの実話を題材にした映画で

2020年05月23日 20時30分

エンタメ anan

17歳の少年が祖父母を殺害するという、実際に起きた衝撃的な事件に着想を得た大森立嗣監督作『MOTHER マザー』。破滅的な母親に挑戦する長澤まさみさんと、本作が俳優デビューの奥平大兼さんにお話を伺いました。

――この作品でご家族のことを改めて考えられましたか。


長澤:やっぱり私にとってもバイブルはお母さんなので。母親の言葉に耳を傾けて育ってきたから、今の自分がある。もし、自分が親になった時にどうすればいいのかということも、ちゃんと考えながら生きていきたいと思いましたね。


奥平:今まで、母親とか家族とかがどれだけ大きな存在で、どれだけ影響されたり、影響を与えたりするのかを考えもしなかったんですけど。僕が長男で、妹が1人いるという関係がこの映画とまったく同じなので、母親や妹をちょっとは守る立場にいるんだよってことを考えさせられましたね。妹は今年中1なんですけど、環境も変わるじゃないですか。僕にできるサポートはしてあげたほうがいいんだなと、撮影が終わってから正直感じてます。


長澤:しっかりしてるなあ。ほんと、しっかりしてる。


――デビュー作でお母さん役だった長澤さんが、芸能界のお母さん的存在になりそうな予感は?


奥平:そうなんですよ。もう、お母さんが2人いる感覚なんです。


長澤:ほんと?


奥平:こういう仕事をしていくなかで最初に育ててくれたっていうか。親みたいな感覚があるので。


長澤:うれしいよ。


奥平:親子役だったからだけじゃなく、現場で話しかけてくれたり、優しくしてもらって、すごくお母さん感を感じましたね。


長澤:優しいお母さんだった?(笑) 私も、こんな息子がいたらいいなって思いますね。奥平くんにも子役の子たちにも、すごく元気や勇気をもらったんですよ。お芝居とはいえ、ひどいことを口にしたり、態度をとったりすると、私自身も後ろめたさを感じる。でも、その場で、役として純粋に無垢に生きてくれている彼らに救われるというか。この作品の世界に引っ張っていってもらってる感覚がありました。


奥平:お父さんは、阿部さんですかね(笑)。ほんとにお父さん感ありましたね。


長澤:優しいもんね、阿部さん。


奥平:優しかったです。長澤さんは、1回、ごはんも作ってきてくれて。おいしかったです。


長澤:え? 作ってないよ。差し入れじゃない?(笑)


奥平:作ってきてくれませんでした? 差し入れも、どれもおいしくて。芋とか。


長澤:芋!?


奥平:スイートポテトみたいなのです。


長澤:作ってないよ、私は(笑)。あ、差し入れでね。


奥平:撮影の合間に、すごく癒されてました。


長澤:癒されるよね。撮影大変だったもんね。やっぱり、食べ物しか楽しみないもんね(笑)。



――完成した作品を初めてご覧になった時はどうでしたか。


奥平:恥ずかしかったですね。


長澤:ふふふ(笑)。


奥平:自分が出てきた瞬間、「やっば!」って、下向いちゃって。隣にいる監督も笑ってて。試写室には視界に入るだけでも40人ぐらいいて、恥ずかしくて。公開したらもっと多くの人に見られて、いろいろな人からの意見とかあるじゃないですか。


長澤:まだ同級生にも言ってないんだよね?


奥平:言ってないです。友達に見られるのも恥ずかしいと思います。先生にはある程度理由を話してあったんですけど、同級生にはまったく理由を言わずに学校を休むようになって、復活したら髪型が変わっているという(笑)。


長澤:いったい何があったんだ、みたいな(笑)。


奥平:やっと言えるので。“ヤバいヤツ”っていう誤解が解けますね(笑)。


長澤:面白いね、それ。でも、私もずっと恥ずかしい。その感覚は、ひとつの成長に繋がることだから。悪いことじゃないみたいよ。


奥平:恥ずかしいと思って、いいんですね。安心しました(笑)。


ながさわ・まさみ 1987年6月3日生まれ。静岡県出身。2000年にスクリーンデビューし、コメディからシリアスまで幅広い作品で活躍。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が待機中。ワンピース¥82,000(ティビ/ユニット&ゲスト TEL:03・5725・1160) シューズ¥72,000(クレジュリー/ヒラオインク TEL:03・5771・8809) リング、人差し指¥14,000 中指¥21,000(共にマリア ブラック/ショールーム セッション TEL:03・5464・9975)


おくだいら・だいけん 2003年9月20日生まれ。東京都出身。初めてのオーディションで大抜擢され、本作で俳優デビュー。空手初段で、2012年に全国武道空手道交流大会「形」で優勝。ニット¥18,000 パンツ¥28,000(共にウル/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575) その他はスタイリスト私物


『MOTHER マザー』 シングルマザーの秋子から、自分に忠実であることを強いられ続けた周平。母と息子のいびつな絆が、やがて周平を祖父母殺害へ向かわせる。監督/大森立嗣 出演/長澤まさみ、阿部サダヲ、奥平大兼ほか 今夏、TOHOシネマズほか全国公開。


※『anan』2020年5月27日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・木村真紀(長澤さん) 伊藤省吾(sitor/奥平さん)  ヘア&メイク・小澤麻衣(mod’s hair/長澤さん) 永瀬多壱(VANITES/奥平さん) 取材、文・杉谷伸子


(by anan編集部)


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