“青春と胸キュン”に定評あり! 結成10周年・HoneyWorksの魅力

2020年02月20日 20時00分

エンタメ anan

クリエイターユニットHoneyWorksが、今年で結成10周年を迎えます! これまでの作品紹介から、メンバー3人の貴重な座談会まで、魅力をたっぷりお届け! 知っている人も知らない人も要チェックです。

3人が織りなす“青春と胸キュン”のひみつ。



「ハニーワークス」とは、ニコニコ動画やYouTubeといった動画投稿サイトで活動する、Gom、shito、ヤマコを中心メンバーとするクリエイターユニット。今年で結成10周年を迎える。「青春系」とよばれる作品は中高生を中心に支持を集め、関連動画の再生回数は驚異の7億回を超える。


Gom(コンポーザー):作詞、作曲、編曲、プロデュースを担当。結成前から歌い手としても活動している。


Shito(コンポーザー):作詞、作曲、編曲、プロデュースを担当。結成前からベーシストとしての活動も。


ヤマコ(イラストレーター):イラストと動画を担当。バーチャルジャニーズプロジェクトのビジュアルプロデュースも手がけている。


3人に突撃。“ハニワ”をあばけ!


HoneyWorksのGomさん、shitoさん、ヤマコさんによるスペシャル座談会が実現! 3人の出会いから曲作りのこと、そして、お互いへの思いを語ってもらいました。


――みなさんの出会いや結成の経緯を教えてください。


Gom:もともと僕はニコニコ動画で歌い手として、shitoくんはベーシストとして活動していたのですが、ある時から一緒にライブをするようになり。


shito:共通の友人がいて、「会ってみたら?」と仲介してくれて。初対面なのに一緒に鍋をしました(笑)。


Gom:仲良くなるにつれて、自分たちのオリジナル曲を書きたいねという話になったんです。その頃はボーカロイドがものすごく伸びていた時代だったので、自分たちで作ってみようと。投稿するにはイラストが必要なのでイラストレーターを探していた時に、ヤマコを見つけました。漫画っぽい動画を作ってみたい思いが漠然とあったので、かわいいイラストが描ける彼女に声をかけたんです。


ヤマコ:ピクシブにアップしていたイラストを見てくれて。


shito:初めて会ったのはそれから3か月くらい後だったけど、それまでにスカイプでめちゃくちゃしゃべってたよね。


ヤマコ:作品というより、やっていた部活やきょうだい構成とか、プライベートの話。でも、学生時代に会ってたら仲良くできなかったかも(笑)。大人になって出会い、それぞれの役割分担があるからこそ生まれたいい関係です。


――曲やMVはどうやって作っているのでしょうか。


Gom:楽曲は、僕とshitoくんがそれぞれに作ります。基本、家に集まって宅録で作り込んでいく。作詞に関しては、ほとんどは二人で作詞をするのですが、そんなチームは珍しいんじゃないかな。どの曲にも共通しているのは明確なキャラクターがいること。


shito:曲を作った人が“主人公はこういう子で、こういうテーマにしたい”というのを決めて、物語を作っていくように書きます。


Gom:“シャイな子が頑張って告白する物語にしよう”“きっと、この子はこういう時にこうするよね”と、歌詞に落とし込みます。ずっと“歌詞は文学的であるべき”という固定観念があったんですが、どんどん剥がれていって“この子は今何をした”と書くほうがわかりやすいなと思うようになりました。そういうことをやる人も他にいなかったですし。最初は、こんなにわかりやすくていいのだろうかという怖さもあったけど、最近は、詞としてはあまりうまくないのも全然ありだと思っています。


ヤマコ:MVを作る時は、歌詞の意味とかを聞いて、打ち合わせをしながら世界観を把握し、絵を描いていきます。みんなで集まって字コンテを描くんですよ。“こういう小節の時はこういう絵にしよう”“こういう二人がこういうアングルで…”と細かく決める時もあります。二人が目の前でポーズを実演してくれて、それをもとに描いたりしています(笑)。


shito:3人揃ってハニワなので、動画を観て一つの作品を楽しんでもらうような作り方を心がけています。曲を通して漫画を読んだような感覚を味わってほしい。


ヤマコ:より物語が伝わるように、MVに吹き出しをつける手法を組み込んでいるんです。


――青春をテーマにした、キュンキュンする作品が多いですよね。


shito:実は、結成のタイミングで少女漫画にハマっていたんです。ヤマコに声をかけた理由の一つも、少女漫画チックな作風だったから。「目がいい」ってGomさんと話しました。今の方向性でいこうと意識的に決めたというより、ヤマコのイラストに寄せていったところもあります。


Gom:やっぱり、ヤマコの存在は大きいです。


shito:あと、青春は誰もが一度は必ず通るものだから。大人が聴くと当時を振り返ることができるし、若い人は、これから臨む世界だったりするので。


Gom:曲に関していうと、ハニワが活動し始めた時、ボーカロイドの曲はテンポがものすごく速かったし、言葉を詰め込んだものが多かったんです。でも、僕たちが目指したのは、きれいで人が歌えるメロディや気持ちよくカバーしてもらえる曲。僕たちがGLAYやLUNA SEAを好きだということも大きいですね。その世代のシーンとは違う動きをしていたと、今になっては思います。


――印象深い曲を教えてください。


shito:すごく悩むけど、「告白予行練習」かな。多くの人に曲を聴いてもらうため、新曲を1か月に1曲出すことを目標に掲げていた時に作りました。発表した時に、「続きが見たい」「男の子目線のバージョンを見たい」とか、コメントをいただいて。それをきっかけに、違うMVのキャラクターたちを交流させる案も生まれました。


「告白予行練習」




上)1stアルバム『ずっと前から好きでした。』HoneyWorks(2014)収録。下)小説『告白予行練習』角川ビーンズ文庫(2014) 「ヤキモチの答え」「金曜日のおはよう」「初恋の絵本」に代表される人気シリーズ・プロジェクト。MVで描かれる人物を主人公にしたシリーズ小説も大ヒットしている。


Gom:TVアニメ『アオハライド』のOPテーマ「世界は恋に落ちている」は、大好きな作品に関わらせてもらえて嬉しかったし、気持ちを込めて、いくつも曲を提出しました。ボーカルのCHiCOちゃんとの関係が始まる曲だから、大事にしたかったし。


「世界は恋に落ちている」




上)1stシングル『世界は恋に落ちている』(2014) 下)小説『世界は恋に落ちている』角川ビーンズ文庫(2018) TVアニメ『アオハライド』のオープニングテーマ。「ずっとやりたいと願っていた仕事だったので夢が叶い嬉しかったです」(Gomさん)


ヤマコ:最近の曲だけど、「生意気ハニー」。今までで一番褒めてもらえて、すごく嬉しかった。一部小説『イジワルな出会い』のストーリーを元にしているので、読みながら頭に浮かんでくる表情を、とにかく詰め込みました。描いていてすごく楽しかったし、一番、時間をかけたと思います。


「生意気ハニー」




上)5thアルバム『好きすぎてやばい。~告白実行委員会キャラクターソング集~』HoneyWorks(2020)収録 下)小説『告白予行練習 イジワルな出会い』角川ビーンズ文庫(2017) すれ違う恋のもどかしさを描いた作品。「妥協なしにやりたいと思った楽曲です。一番時間をかけた作品になりました」(ヤマコさん)


――手がけた作品が映画や小説になるなど、さまざまな展開を見せています。


shito:素直に嬉しいですね。自分たちじゃない人が話を広げてくれるのは、ネット上で行われていた二次創作の文化と一緒なのかなって。そういう動きがコンテンツを面白くする気がします。


ヤマコ:声優さんの声が入ることで、キャラクターのイメージがさらに固定されたこともあります。「告白実行委員会」の瀬戸口優は、神谷浩史さんの声やクールな口調がすごくいいなと思ったし、だんだん、キャラクターが寄っていった感じもあります。


瀬戸口優



「告白実行委員会~恋愛シリーズ~」に登場する、無意識無自覚モテ系男子。神谷浩史さんが声を担当。


shito:わりかし柔軟なほうだと思うし、面白ければいい、色々チャレンジしたいという気持ちは持っています。


――チームで物作りをするうえで、意見が割れることはありますか?


ヤマコ:そういう時は、一回、視聴者目線になって、どちらが面白いかを考えるんです。そうして意見を変えて失敗だと思ったことはないですね。


shito:むしろ、みんなと一緒に作るほうが、大変なことが分散されるような気がします。


――3人がお互いを大切に思っていることが伝わってきます。


3人:(照れ笑い)


Gom:shitoくんは、世界観に確固たるものがあるし、チームの推進力になっています。ビジョンを出してくれて、自分とヤマコが「だったらこうしよう」と意見を出していく。僕は、彼のビジョンに寄り添える自信はあるので、それがいい結果につながっているのかもしれないです。


ヤマコ:引き出しが少ない私の考えをぶち破るような新しい案を出してくれるので、モチベーションが上がることが多いですね。


shito:そんなふうに言ってもらえると、嬉しいです(笑)。


Gom:ヤマコは根性がすごい。体調に気遣ったほうがいいと言っても、ひたすら描いてるから。


shito:前、丸2日と半日くらい寝てない時期もあったよね。


ヤマコ:追い込みのタイミングは一番体力がなくて疲れているけど、完成が見えて、“早く描き終えたい!”とテンションが上がるんです。ビジョンが見えない時期が、一番、時間がかかるかも。


shito:あと、ヤマコは新作を出すたびにクオリティが上がっているところがすごい。忙しいを言い訳にしない、画力が上がり続けているイラストレーター。


ヤマコ:二人は、のせるのがうまいから気分よく描けます(笑)。それに、Gomさんは、リーダーとしてすごく尊敬してる。メンバーとの距離感が近くて、一人じゃできないことをみんなでやろうっていう気持ちに導いてくれます。作品に関しても、自由度を持たせてくれるので描きやすいし。


shito:僕にとっては師匠みたいな存在。パソコンとか何もわからない状態だった僕に、録音の仕方や曲作り、編曲のアドバイスなど全部を教えてくれました。今はリーダーとして表舞台に立ってくれているし、尊敬してます。


Gom:きれいな感じにまとめたね(笑)。


――今後の目標を教えてください。


Gom:LIP×LIPなどのバーチャルアイドルみんなでフェスをやってみたいです。大きな波が来ていると思うので、参加する形でもいいので関われたら。


LIP×LIP



ハニワプロデュースの、勇次郎と愛蔵からなるアイドルユニット。初となる楽曲「ロメオ」は現在、再生回数2200万を突破。メジャーシングル『ノンファンタジー/必要不可欠』などを発表している。


shito:先日ライブをやってみて実感したのが、キャラクターが愛されているということ。彼らのオリジナル曲を一曲でも多くリリースしたいです。


ヤマコ:新曲「東京オータムセッション」のアニメーションを作った時に、プロフェッショナルな人たちが集まって世界観を広げてくれることが、私の夢だと感じました。MVを作りながら、アニメ作品も出していきたいですね。


※『anan』2020年2月26日号より。取材、文・重信 綾


(by anan編集部)


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