常勝チームは体育会系的“上下関係”がない? 青森大男子新体操部の場合

2019年11月12日 19時00分

エンタメ anan

毎年メンバーが入れ替わる学生スポーツの世界で、驚異のインカレ18連覇を成し遂げているチームがある。それが青森大学(以下、青大)男子新体操部だ。6人の息を合わせる団体競技における、絆の作り方とは。

青大の練習場を訪問。常勝チームの秘密とは。



常勝チームには名将の存在が不可欠なもの。青大にも創部以来、部を率いる中田吉光監督という存在がいる。しかし青大の練習場を訪ねてみると、選手たちが粛々と練習を進める様子を、監督は黙って椅子に座ってじっと見つめるのみ。これってどういうこと…?


練習に区切りがつくたびに、選手たちが一斉に集合し、タブレットを覗き込む。どうやら、いまやっていた練習を録画し、それを見直しているらしい。画面を指差しては、ここはもう少しこうしたほうが…と意見を交わし合う。驚いたのは、下級生からも活発に意見が出ていたこと。上級生にも遠慮なく、指摘された先輩の側もまた真摯に耳を傾け、時にアドバイスを求める姿もあった。そんな意見交換が落ち着くと、選手たちの目線が自然と監督に注がれた。監督はそこでも声を荒げることはなく、ただ熱のこもった口調で細かな修正点を指摘するのみ。時には冗談も交え、心地いい緊張感と、のびのびとした自由な空気とを差配しているようにも見える。どうやらここに常勝の秘訣がありそうだ。


‘02年の創部以来、青大新体操部を率い優勝へと導いてきたのが中田吉光監督だ。毎年メンバーが入れ替わるチームの絆を、どう生み出しどう育ててきたのか、監督のチーム論を伺いました。


――青大は学年関係なく意見を言い合える雰囲気があります。監督のチーム作りが成功しているのかなと感じているのですが。


中田監督:チームには縦のつながりと横のつながりが大事だと思っていて、そこは部を作る時から意識しました。横をしっかり統制するのが学年リーダーの存在です。そして、マットの上では上も下も関係なく意見を言い合うようにしました。ほかにも、トイレ掃除は4年生がやる。お風呂は1年生から順番に入る。下の学年に問題があれば上の学年の指導不足を怒る、などいわゆる体育会系の上下関係の図式とは逆のことをしたんですね。そうすることで下は上を自然と敬うようになりますし。


――青大に来る前から、そういうチーム作りをされていたんですか。


中田:青大に来る前は四国で高校生たちを指導していたんですが、そこで失敗してるんです。強くなっていく時は生徒たちの士気も高いんですが、徐々にチームが勝ち続けることが彼らの重荷になっていって、ある日、合宿中に生徒に逃げられました。後でその理由を聞いたら練習が厳しすぎる、と。それでいったんチームを壊して、生徒に自分たちで目標を決めさせたんです。全国優勝したいのか、ブロック大会で勝てればいいのか、決めたら俺はそれに合う指導をしていくからと。青大に来てからはその苦労がないのはいいですね。ここへはみんな日本一になりたいという強い覚悟を持って入ってきていますんで。


――でもそれもいまのような常勝校になったからですよね。創設当初は、どのように学生たちを引っ張っていかれたんでしょうか。


中田:3人の同好会から始まり、翌年に8人入って部に昇格して、初めて大会に出たんです。でもうちは1~2年だけのメンバー。その時“自分たちが目標にしてきた上級生たちと戦うのは無理だ”と言われてカチンときちゃって、2年後、3年後に勝とうと思ってるようじゃダメだ、いま勝つんだって気持ちにならないとって、まずは意識改革から始めました。僕は選手たちに「俺はあの学校に勝つよ」とはっきり宣言しました。


――それがいまやインカレ18連覇。プレッシャーもありますよね。


中田:それは毎年あります。でも、自分以上に選手たちには重いものがあると思います。こまめに声をかけるようにはしていますけれども、試合が始まれば見ていることしかできない。何もできない無力な監督だなといつも思います。そのプレッシャーをはねのけるには、結局は練習しかないんです。これだけ練習したんだから大丈夫だって自信を、少しでも与えられたらと思っています。


――青大の強さは、選手が自主性を持って強くなろうとしているところだと思います。そういう関係性を築けた理由は何だと思いますか。


中田:求めているものが一緒だからですよ。みんな日本一になりたいし、うまくなりたいってところで同じ方向を向けている。僕は、どの試合もレギュラーだけが戦っているとは思っていません。練習を見ている選手を含めてひとつのチームで、全員で勝ちにいくんだって思わなければ、やっぱりダメなんです。


――理想とするチーム像とは?


中田:とても地味な競技ですが、3分間だけどパッと花開く瞬間があって、その時にすべての苦労が吹っ飛ぶくらいの感動や達成感がある。でもそこに至るまでは地道な作業の連続。それでも上を目指していける人を育てたいですね。


なかた・よしみつ 青森県出身。新体操の選手として活躍した後、高校教諭を経て指導者に。2002年に青大の新体操部を創設し監督に就任。


※『anan』2019年11月13日号より。写真・岡本隆史 取材、文・望月リサ


(by anan編集部)


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2019年11月12日 19時00分

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