「川谷絵音さんのおかげです」声優・結城萌子が感謝する理由

2019年09月04日 19時00分

エンタメ anan

音楽をこよなく愛する、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。【音楽通信】第5回目に登場するのは、ゲスの極み乙女。の川谷絵音さんほか豪華制作陣が手がけるシングルでデビューする、声優・歌手の結城萌子さん!

写真・黒川ひろみ


いまの私を形成しているのはアニメです


【音楽通信】vol. 5


今年1月に声優デビューし、8月28日にはシングルEP「innocent moon」で歌手としても活動をスタートした結城萌子さん。今作は、全曲の作詞・作曲をゲスの極み乙女。の川谷絵音さんが手がけ、アレンジャーには菅野よう子さん、クラムボンのミトさんなどが参加し、プロジェクト全体の監修を冨田明宏さんが担当。そんな豪華なクリエイターが集結したデビュー・シングルについて、お話をうかがいました。


ーー今回、歌手デビューとなりますが、今年1月に公開された劇場アニメ『あした世界が終わるとしても』では声優デビューされています。もともと声優になりたかったのですか。


小さいときから声優さんになりたいと思っていましたが、すぐになれたわけじゃなかったんです。いろいろと人生の紆余曲折を感じてきたこともあって、ここまでくるのは険しい道のりでした。覚悟したり、自分が行動したりしないと結果がついてこないので、夢を叶えるのは簡単ではなかったです。


ーーそこまでの決意で声優になる夢を叶えたきっかけとして、もともと小さいときに影響を受けたアニメなどがあったのでしょうか。


いまの私を形成しているほとんどがアニメだといえるので、影響を受けたアニメはいっぱいあるんですけど、その中のひとつだと、昔から『少女革命ウテナ』(1997年放送のテレビアニメ)という作品がすごく好きです。


天上ウテナ役の声優さんの川上とも子さんという方の人間味あふれるお芝居が好きで、アニメを観ている感じがしなかったんですよね。ファンタジー系のアニメなんですけど、キャラクターはすごく現実主義者で、アニメだけど感情移入できる世界だったんです。


ーー大好きなアニメの世界で声優のお仕事をされたわけですが、手応えはいかがでしたか。


そのときは(声優の)養成所に通っていたので、まだ勉強している身で、右も左もわからなかったんです。歌のレコーディングならひとりで録りますけど、その作品は劇場版でスタジオに20人ぐらいキャストさんがいて、独特の雰囲気でした。


勉強している内容では通用しないというか、現場で得ることが多すぎるので、たくさん勉強していかないと声優として通用しないなと感じましたね。作品に出演できてうれしいという気持ちはもちろんありましたけど、自分の無力さを痛感したことのほうが大きかったです。

ラジオの仕事で「自分とは何なんだろう」と考えた


ーーそれ以前には、2018年10月からラジオパーソナリティとしてラジオのお仕事(文化放送のアニメ&ゲーム系Webラジオ「超!A&G+」でのレギュラー番組)もされていましたね。


ずっとそのラジオが好きで、もともとリスナーとして知っている番組だったので、一番最初のお仕事が文化放送さんのラジオで本当によかったです。スタッフのみなさんも優しいし、不慣れなこともわかってくださっているので、何から何まで教えてくださいました。


ーー声優もラジオパーソナリティも“話す”という言葉を使うお仕事ですが、ご自身の中での違いはありますか。


キャラクターとしてしゃべるのと、自分を出さなきゃいけないラジオでは違いますね。とくにこのラジオに出演しているときは声優としての作品にも出ていなかったので、リスナーさんからも「何者ですか」と聞かれることがあって、「自分とはなんなんだろう」と考えていました。


声優のラジオを聞く人は、作品から入るんです。「このキャラの声を担当している声優はどういう人だろう」と思ってラジオを聞くので、私のラジオ番組を聞くリスナーさんとは別なんです。だからこそ、私のラジオを担当してくださった作家さんやプロデューサーさん、レコード会社さんや事務所も含めて、声優という職業からではなくひとりの新人・結城萌子として多くのみなさんにラジオを聞いてもらおうと話していました。


ーーそうだったのですね。そして歌手としてもデビューされましたが、歌うことには興味があったのですか。


実は歌うのが好きというくらいで、「歌手として絶対にやってやろう!」みたいな感じではなかったんです。もともと声優になるのが夢だったので、その中で歌もやれたらいいなとは思っていました。

歌手活動は川谷絵音からのオファーがきっかけ


ーー今回、作詞・作曲に川谷絵音さんはじめ豪華な面々がそろっていますが、川谷さんとは最初に曲についてお話ししたり、アドバイスされたりしたのですか。


お話もアドバイスもほとんどなかったんです(笑)。それまで川谷さんとしゃべったこともなかったんですけど、冨田さんには「ふたりはコミュニケーションをとったことがないけどシンクロしてるよ」とおっしゃっていただいて。それを聞いて「そうなんだ」って納得していたぐらいです。


ーー川谷さんとのお仕事は、冨田さんがきっかけだったんですか。


もともとは川谷さんのほうから「やりませんか」というお声がけをいただいたのがきっかけです。


そこからわたしがアニメ好きなのもあって、そういう曲が歌いたいと言っていたら、まわりにアニメに精通している方がいらっしゃらなかったので「人を加えてどういうふうにするか考えたほうがいいね」という話になりました。


そこで共通の知り合いを通じて、(アニメに詳しい)冨田さんを紹介していただいたという経緯です。


ーー川谷さんをはじめとして、冨田さんなど、それだけ豪華なみなさんが協力したいと思うのは、結城さんの魅力なのでしょうね。


私としては、川谷さんが動いてくださったから、みなさん協力してくれたところがあると思うんです。川谷さんのおかげです。


ーーそういう人とのめぐり合わせもタイミングがありますよね。


そうですね。タイミングがよかったですね。


ーーシングルのジャケットも雰囲気があります。


松田聖子さんや昭和の歌姫が好きで、昔の昭和の歌い手さんのジャケットがすごくキュートだと思っていて。そんな温かみのあるジャケットにしたいという話をアートディレクターの木村豊さんにお伝えして、それでできあがったのがこのジャケットです。


ーー今日もレトロな感じのお衣装ですね。


今日は、本当は珍しい衣装なんですよ。普段は真っ白の衣装が多いんですが、『ananweb』さんだからこの衣装です。(笑)

バラードを歌うと涙がこぼれそうになる


ーーシングルの収録曲のお話をうかがえればと思うのですが、1曲目「さよなら私の青春」では、「責任取ってよね」という歌詞がありますが、インパクトがあります。


「責任取ってよね」という言葉は、わたし自身では言ったことがないです(笑)。ただ、この歌詞の世界ではたぶん受験生が主人公で、思春期だと学校という空間にほとんどの時間があって、視野が狭いと思うんです。


だから歌詞に出てくる女の子も、限られた世界を見ていると感じて、この子が歌の中でしている恋愛はすごく大切なものだから、「責任を取ってよね」というのは、相手にも自分と同じくらいの気持ちでいて、という意味かなと思って歌っていますね。


ーー歌詞では、先生に対して言っているようにも受け取れます。


私も先生に言っている歌詞かと思っていたんです。レコーディングのときに、マネージャーさんと歌詞を考察していたら、マネージャーさんは「女の子と先生の恋愛じゃなくて、また別のクラスメイトとの恋愛だと思う」と。私はその考えがなかったので新しい発想だと思ったんです。


その場に川谷さんもいらしたので、歌詞の設定を聞いてみたら、川谷さんもマネージャーさんタイプだったとわかりました。でも、「先生との恋愛という解釈もできるから、ふたつの意味でとらえられる曲だね」と話していました。


ーー面白いですね、解釈も受け手でさまざまです。続く2曲目「散々花嫁」は、サビの部分がずっと頭の中で鳴ってしまうキャッチーなメロディですね。


この曲の歌詞は幸せじゃない感じなんですけど、メロディをすごく明るく作っていただいているから、聴く方も暗くならずに聴けるのではないかなと思います。


ーーでは3曲目「幸福雨」はどんな曲でしょうか。


この曲は一番最初に録ったんですよ。川谷さんとちゃんとしゃべったのも、この曲をレコーディングする1時間くらい前です。


初めてご一緒したので、川谷さんがどういうディレクションをされるのか、求めているものがあったら応えないといけないと思っていたので、言われたことに対してちゃんとやらないとという気持ちでレコーディングに臨んでいましたね。


ーーすごく気合が入っていたのですね。


はい、頑張らないといけないという気持ちだったと思います。でもレコーディングはツルッと終わって、ホッとしました。


ーー歌声には高音の伸びやかさがあって、そしてセリフもありますね。そのつぶやきかたと歌とのメリハリのある曲だと感じました。


実はこの曲は、声優の勉強をする前に録った曲なんですよ。ですから、この曲を最初にいただいたときに、たくさん練習したんです。このときは「あ! セリフが来たーっ」て思っていました。(笑)


ーー(笑)。そういう意味では、いろいろな表現を発揮されていますし、楽しい曲ですね。


自分の中でも、歌っていて、すごく楽しかったです。


ーー4曲目「元恋人よ」は、クラムボンのミトさんが編曲をご担当されていますね。


はい。最初にこの曲を聴いたとき、感動しました。すごい大好きな曲なんですよ。バラードでシンプルだから、ほかの楽曲と比べるとごまかせない。


こういうシンプルな曲を歌うと、パーソナルな部分が明るみに出ちゃうから、慎重に歌わないといけないと思いつつも、この曲を聴くと気持ちを持っていかれそうになって、涙がこぼれてしまいそうになっちゃうんです。


この曲以外はパートごとに区切って録っていたんですけど、この曲でそれをすると気持ちが死んでしまうので、1曲通して録って、スタミナを使いました。

アニメやゲームの作品に「結城萌子」として出るのが目標


ーー歌手活動も始められてお忙しいと思いますが、普段されている趣味があったら教えてください。


最近はずっとゲームの「どうぶつの森」をやっています。いろいろな動物と仲良くなるんですよ。自分のキャンプ場に来てもらって、動物にくつろいでもらうんです。すっごくかわいい、白くてクマさんみたいな“ゆきみちゃん”というキャラクターの写真を毎日撮っています。


ーー楽しそうですね。


すごく楽しいです。ゲームの世界でも「生きている」という感覚があるので、いまはこういう歌手活動もしていて「現実世界を生きている」とも思ってもいるんですけど、ゲームのようなバーチャルの世界でも、「バーチャルとしての自分の世界でも生きている」と考えているんです。


だから、あんまりゲームにログインしていないと、(ゲームでつながっている)まわりの人たちに「生きているのかな?」と心配されるので、ログインはちゃんとしていますね。


ーーでは現実の世界で、今後こういうふうになりたいという目標があれば教えてください。


声優としても歌手としても駆け出したばかりというか、この間スタートラインに立ったばかりで、これからという感じなんです。小さい頃からアニメやゲームが好きだから、そういう作品に自分が出て、その作品の曲を自分でキャラ上だったり主題歌だったり、どんなかたちでもいいんですけど、「結城萌子」として作品に出られたらというのが一番の目標ですね。

取材後記

取材時には、まわりへの気配りを欠かさない奥ゆかしさとチャーミングさを見せてくれた結城萌子さん。声優になる夢を叶えた結城さんの歌手としての才能を川谷さんが引き出し、実に有能なクリエイターたちがデビューを後押ししています。まずはシングルをチェックしてみてくださいね。


結城萌子 PROFILE


3月31日生まれ。千葉県出身。幼少期より音楽に親しみ、さまざまな楽器にふれて育つ。特技はフルートで、音楽学校ではフルートを専攻。また、物心ついたときからアニメや漫画を愛し、自然と「いつか自分も演じる側に立ちたい」と思うようになり、声優を志す。2018年10月から2019年6月まで、文化放送 超!A&G+でレギュラー番組を担当。2019年1月公開の劇場アニメ『あした世界が終わるとしても』への出演で念願の声優デビューを果たす。さらに、2019年8月28日リリースのシングルEP「innocent moon」で歌手としてもデビュー。


スタイリスト・石井なお子

Information


New Release

「innocent moon」

1.さよなら私の青春

2.散々花嫁

3.幸福雨

4.元恋人よ


8月28日発売

WPCL-13091

¥1,500(税別)


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2019年09月04日 19時00分

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