『君の名は。』で批判受け...新海誠が『天気の子』で目指したこととは?

2019年08月03日 19時30分

エンタメ anan

前作『君の名は。』からの怒涛の3年を経て、さまざまな思いを詰め込んだ新作映画『天気の子』が完成。「良いことも悪いこともありました」。そう語る新海誠監督の想いを聞きました。

日本国内のみならず、世界をも感動させた映画『君の名は。』。国内で1900万人以上が観たというその事実は、新海誠さんの中でもかなり大きな出来事だったよう。


「正直ちょっと、桁の違う観客との出会いでした。最初は、熱狂の中にいて幸せだったんです。でも観客数が増えるに従って、面白かったという声と同じくらい…いや、それ以上に批判のほうが耳に入るようになって。有識者がメディアであれこれ書いているのも読みましたし、それこそ外で飲んでいるときに批判的な声が聞こえてくることもあった。もちろん皆さんお金を払って観ているわけですから批判する権利はあります。ただ、想像もしていなかった視点からの批判や、映画によって傷ついてしまった人からの意見というのは、予想もできていませんでした」


そんな経験の中で、次の映画をどのようなものにするかを思案していたとき、考えた選択肢は2つあったそう。一つは『君の名は。』を観て怒った人たちが怒らない映画にする。もう一つは逆に、彼らがもっと怒るような映画にする。新海さんが選択したのは、後者でした。


「人はたぶん、どうでもいいことには怒りませんよね。もし僕の中に何か作家性のようなものがあるとしたら、そこに彼らを怒らせた何かがあるんだろう、と。ならばそこをもっと追求したいと思い、『天気の子』の制作に取り掛かりました。まあ僕は、あまのじゃくなのかもしれません(笑)」


その思いの延長線上に見つけたのが、10代の、『君の名は。』の瀧と三葉と同じくらい若い主人公とヒロインでした。


「もともと僕はアニメーションをはじめとするエンタメは、悩める10代の人のためのメディアだと思っていて。なので、思春期の人たちが共感できる同世代のキャラクターを出すことは、僕の作品作りの前提条件の一つです。それから『君の名は。』に関して批判を浴びたとき、僕は“社会”から何かを言われたような気持ちになっていたんですが、ただよく考えれば“社会”というのは概念であり、いろいろ言っているのは、その中の個々人なんですよね。SNSなんかを見ていても、毎日誰かがどこかで揉めていて。人はそれを眺めて娯楽として消費している場合もあるし、正義感から立ち向かうこともあるだろうけれど、でもそれもある種の消費の形であって。そういう状況を見ていると、人間って、随分と原始的な生き物であり、同時に社会ってなんて窮屈なんだと改めて感じさせられて。そのときに、この、僕が感じている社会に対する憂鬱や憂慮を物ともせず、軽々と乗り越えて別の場所に走っていく、そんな人たちを描きたいと思いました。そしてそれはきっと、“今”を一生懸命生きている10代の若者たちだろうと。そこから帆高と陽菜という二人が生まれました」



『天気の子』の舞台は、数か月も雨が降り続けている東京。劇中の須賀のセリフを借りるなら、〈狂った天気〉の世界。’16年あたりから、昔に比べて天候が変わってきたと思うことが増えた、と監督は語ります。


「僕は今まで作品の中で、日本の季節の移り変わりとして、あるいは情緒的な表現として雨を描いてきましたが、でもどうもここのところ雨は情緒的なものではなく、備えるもの、準備をしなければならないものに変わってきた実感があって。“今年の夏は大変に暑くなります。命に関わるかもしれないので、気をつけて”とか、“命に関わる寒波が来ます”とか、よく聞くようになりましたよね。たぶん僕だけじゃなくて、たくさんの人が気候変化を実感しているのでは、と思ったとき、これをエンターテインメントの形にして何かが言えるのではないかと考えたことが、天気をテーマにしようと思ったきっかけです。’11年の震災以降、穏やかな時代は一度途切れてしまったのかもしれない、という気持ちもあります。その中で、映画監督という立場の自分が何ができるのか。その矜持もあります」


今作で描かれるのは、雨に濡れて色が変わっていく東京の風景と、晴れ女という役割を担った天野陽菜の“祈り”で晴れていく、雨上がりの空。雨の東京は切なさとやるせなさ、晴れた空には清々しさが溢れていて、どちらも違う美しさがあり、胸が打たれます。


「僕自身が雨が好きか…? 大好きなわけではないですが、部屋で一人で雨の音を聞いたりするのは好きです。水たまりに雨が落ちて広がる波紋も好きだし、雨が塗り替えていく街の色も結構好き。あ、あと雨の日の夜って、特に人を内省的にさせますよね。普段考えないようなことを考えたり、ちょっといいことが思い浮かんだり…。孤独と雨って、意外と相性がいいのかもしれません。でも、“天気が狂ってるね”と言うのは、“その前の天気”を知っている世代の人間であり、今しか知らない10代の人たちにとっては、正直きっと、別にどうでもいいんだと思うんです。そういう人を描くことで、たぶん僕自身もスッとできると思ったし、僕が思う窮屈さの背中を笑って蹴飛ばしてくれるような気がしたんですよね」


しんかい・まこと 1973年生まれ、長野県出身。’02年、個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。’16年に公開された『君の名は。』で、国内外で数々の映画賞を受賞。


『天気の子』 家出少年の帆高と、天気を操り、晴れにできる不思議な能力を持つ少女・陽菜が、東京の歌舞伎町で出会う。天気の調和が狂っていく時代の中で、運命に翻弄される少年と少女が生き方を“選択”する、切なく美しい愛の物語。全国東宝系で公開中。©2019「天気の子」製作委員会


※『anan』2019年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)


(by anan編集部)

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2019年08月03日 19時30分

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